2007年10月25日

映画『シッコ』

ようやく先週土曜から広島でも上映が始まった。日曜の朝一番で見ようとシネツイン1に出かける。シネツイン1のあるビルの地下へ降りると、なんと、扉が閉まったままだ。扉の横の劇場に直接つながるドアは開いていたので、そちらから劇場に入って、チケット売り場へ回る。

ボウリング・フォー・コロンバイン」や「華氏 911」のマイケル・ムーア監督の今回の作品「シッコ」は、アメリカの医療制度、とりわけ保険会社にスポットを当て、アメリカの医療保険制度の暗部を晒す。作品中のマイケル・ムーアのスタンスは、 よその国では当たり前のことが、「何故?アメリカが、出来ないのか?」である。

有効な治療法であると医師が考え、それを患者に提案しても、実験的であるとして却下してしまう保険会社。
救急車で病院に運ばれたが、事前に救急車の使用許可を得なかったという理由で保険会社から保険金が下りなかった女性。
保険の加入を拒むための数多くの疾病リスト。
法の網をくぐるようにして、隣国カナダでがん治療を受けるアメリカ人女性。

実態が全て映画の通りかどうか分からないが、とにかく難癖をつけ、保険金は基本的に出さないようなシステムにしかなっていないみたいに思われた。アメリカでは、治療方針を患者でもなく医師でもなく保険会社が決めるなんて聞いた事が以前あったが、まさしくそうだなあと感じた。

アメリカの医療保険制度では、かなりの割合のアメリカ国民が民間の保険会社に加入。民間会社であるが故、利益の追求、保険会社は保険金の不払いにどうしてもなってしまうのだろう。でも、なぜ保険金支払いのサービスそのものの顧客満足度で争わないのか。そうすれば利益率は下がるが、加入者を多く集められるのでは。そういう精神はアメリカ企業には欠如しているのだろうか。
また、利益をあまり追求しない団体みたいなのが存在して、そういうところが、運営するような保険団体はないのかなあと思ったりもした。

もちろんアメリカにも数多く意見があるので、国民皆保険制度を導入しようとした政治家は最近でもいた。ヒラリー・クリントンがそうだ。ところが、保険会社のロビー活動等により、結局、ねじ伏せられたようだ。多額の献金を、政治家に保険会社は行なっているとのことだった。

アメリカの医療制度を浮き彫りにするため、外国と比較。カナダ、イギリス、フランスなどと比べていた。それらの国は、それなりの税負担が国民にはあると思われるが、医療のことは相互扶助の精神で助け合うことで国民は合意しているのであろう。概ね、最低限の医療は遍くそれぞれの国民が受けることができるようである。それにしても、フランスのバカンス期間の長いことはうらやましい。

あんな医療保険制度で本当にアメリカ人は良いと思っているのかどうか本当に不思議だった。きっと、それを変えていくのはアメリカ国民なのだろうけれど、日本も医療制度はそのうち他人事ではなくなってくるでしょう。監督には日本も取材して欲しかったなあ。

いつ観ても思う事だけど、マイケル・ムーア監督の行動力には脱帽。今回は、911のレスキュー隊員を含んだ医療を受けることが困難な多くの人々とともにマイケル・ムーア監督はアクションを起こす。パフォーマンスかもしれないけど、本当、感動したな。あっ、それからどうやってキューバに入国したのだろうか。

こういう映画は一方的な作りになってしまうことを考慮しても、アメリカの民間保険会社に医療保険を任せるやり方は、患者に多くの困難を生じさせているのは事実だと思うし。国民会保険制度のある国のほうが安心なのは間違いないと思う。こういうことは民間に委ねるべきではないのだ。でも、日本の医療制度にも多くの問題はあると思うが、患者の経済的な負担はアメリカよりずっと少ないと思う。今後、アメリカのようにならないため、また日本の医療制度に関心を持つためにも多くの人に観て欲しいなと感じた。

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2007年10月21日

映画『パンズ・ラビリンス』

1944年のスペイン内戦で父を亡くし、独裁主義の恐ろしい大尉と再婚してしまった母と暮らすオフェリア(イバナ・バケロ)は、この恐ろしい義父から逃れたいと願うばかり自分の中に新しい世界を創り出す。オフェリアが屋敷の近くに不思議な迷宮を見つけ出して足を踏み入れると、迷宮の守護神が現われ彼女に危険な試練を与える。 (シネマトゥデイ)


この映画、パンズ・ラビリンスは、いろいろ高く評価を得ているようだし、ファンタジーとスペイン内戦の史実が交錯した内容に、どんな映画なのかと興味をかきたてられた。

そんなわけで、サロンシネマ1へ行った。サロンシネマ1は久しぶり。約二年ぶりに中へ入ったが、相変わらず独特の臭いがした。ちょっとカビくさいけど、なぜか懐かしい。

で、映画はスペイン内戦という史実的な場面とファンタジーであるパンズ・ラビリンスのを折り混ぜているためか、ファンタジーのみの物語よりもこの映画のファンタジーの部分は、妙に現実感があって不思議な感じがする。まるで本当に起きた出来事のように見えるのだ。

ファンタジー的な映画ではあるけれど、スペイン内戦を背景にしているので、容赦ない乱暴な場面が多々ある。思わず目を背けてしまう。大尉が自分で口を縫うシーンも本当に痛そうだった。PG-12も納得。

ファンタジーと悲しい現実が交錯しながら物語は進む。観客は、オフェリアに救いを!と思いながらスクリーンを前にする。絶望の中に人々がいる時、救いの手が伸びてくる訳でもない時の最後の希望を教えてくれた気がした。オフェリアは幸せになったのだろうか?そんな思いが劇場を出てしばらく続いた。合掌。


パンズ・ラビリンス オリジナル・サウンドトラック
サントラ
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By NOV at 20:45 | Comments [0] | Trackbacks [0]