2005年08月01日

映画『コースト・ガード』

「韓流シネマ・フェスティバル2005」なるものがサロンシネマで行なわれている。その中の上映作品に『コースト・ガード』という作品があった。

『コースト・ガード』はキム・ギドク監督の作品。僕は『サマリア』が初キム・ギドク作品鑑賞だったけれど、妙な余韻の残る不思議な作品だった。自分の脳の使われていない感情領域が刺激されるような感じがした。

その後、『悪い女 青い門』という映画もDVDで観た。この映画の主役はちっとも悪い女ではなかった。もっともこれは邦題が良くないんだけど。(原題では悪い女を意味する語は入っていないそうな。)この映画も妙で不思議な余韻が残る作品だった。特にラストは「あれれれ?」な展開を見せる。他にもいろいろな作品をこの監督は撮っているんだけど、彼は常にセンセーショナルな作品を世に送り出すことで有名な監督の一人だ。そういうわけで『コースト・ガード』を観ることにした。

『コースト・ガード』には韓流四天王の一人チャン・ドンゴンが主演で登場している。チャン・ドンゴンはキム・ギドク監督の才能に惚れ込み破格の安いギャラで出演したとか。チャン・ドンゴンは湾岸警備隊のカン上等兵を演じている。

湾岸警備の兵隊の任務は北朝鮮スパイの侵入を監視すること。兵役中のカン上等兵はスパイを捕まえる気満々で日々任務に着いていた。

カン上等兵が湾岸警備中、怪しい人影を発見し北朝鮮のスパイと思い銃撃した。しかしその男は村の民間人ヨンギルだったという痛ましい事件が起こる。恋人のミア(パク・チア)に誘われヨンギル(チェ・ヒヨン)は一緒に夜間進入禁止区域に入り、そこで情事を繰り広げていたところその事件は起きてしまった。

カン上等兵がスパイだと思った人物を凄まじい勢いでこれでもかと言わんばかりに殺してしまうシーンの凄惨さは目も当てられない。ヨンギルは背中に何発も銃弾を浴びせられ手榴弾でバラバラにされるのだ。身の毛がよだつ恐ろしいシーンだった。

情事の最中、目の前で恋人を殺されたミア、そして意図せず民間人を殺めてしまったカン上等兵。取り返しの付かない事件が二人の精神状態を狂わせる。

殺された男の恋人ミアと加害者のカン上等兵の変貌ぶりがこの映画の核だ。おおよそ人の理解を超えた変貌振りを彼ら二人は見せる。カン上等兵は隊員に暴力を振るったり、物を盗んだりする。また、ミアは魚をおもちゃにして遊んだり、髪の毛を包丁で叩き切ったり、湾岸警備隊の隊員と体の関係を持ったりする。

カン上等兵はどうして除隊されたのに湾岸警備隊に戻ろうとしたのだろう。殺人を犯す前の日々に戻りたかったのだろうか。そして部隊に戻ることを許されないカン上等兵は次第に狂気のエネルギーを逆恨み的に湾岸警備隊員に向けるようになる。

ミアはどうして湾岸警備隊員の何人かと肉体関係を持つのだろう。彼らを恋人と思い込んでの行動だろうか。それほどまで精神状態が変わってしまったことがとても痛ましい。そしてミアはさらに自分自身を痛めつけることになってしまう。

この映画にはおそらく何も救いはなく、『サマリア』や『悪い女 青い門』のラストで感じることができるほのかなやさしさは微塵もない。被害者だけでなく意図せず加害者になった人の壮絶なドラマが描かれている。そしてやはりラストは意表を付く展開が待っている。

それにしてもキム・ギドク監督は水をつかった場面が好きなようで。服着たままシャワーを浴びる場面がこの映画でも見られた。おお、この場面『サマリア』でも見たなと思ったよ。あと、あの鉄条網のリングのボクシング。見ているだけで痛いです。

お気に入り度:★★★★★★★☆☆☆(7/10)

監督:キム・ギドク
脚本:キム・ギドク
音楽:チャン・ヨンギュ
出演:チャン・ドンゴン、キム・ジョンハク、パク・チア、ユ・ヘジン、キム・テウ
製作年度:2001年
製作国:韓国
上映時間:94分


By NOV at 2005年08月01日 01:40
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