2005年07月31日

映画『亡国のイージス』

見るんじゃなかった……と、この私が珍しく思ってしまった作品。この映画に原作小説があることはもちろん知っている。しかし、私はそれほど小説を読まないし、ましてや映画原作になっているから前もって読むということはしないのである。

基本的に映画というのものは一度観てそれを概ね内容を消化できるものでないといけない。そのことが不十分な映画作品は、どんなに原作小説が面白くても駄作といわざるを得ないと言いたいくらい映画『亡国のイージス』は消化不良でわけのわからない映画だった。

宮津がなぜ外国人と協力してテロを行なおうとしているのかの描写もあまりわかりやすく伝わらなかった。如月が何者なのかもいまひとつわからなかった。それにヨンファって一体どこの国の人かわからないし、FTGが何の組織なのかもわからない。ジョンヒが艦内にいる理由ももちろんわからなかった。

原作小説を読んでいる人にとっては、小説の一部が映像化されているこの作品を別の角度から楽しめると思われるが、読んでない人にとっては、チンプンカンプンな映画である可能性がかなり高いのではないかと。

画面の雰囲気も決して悪いものではなかったし、出演者も有名な面々が出演していた。しかし、説明不足な脚本が映画そのものを台無しにしている。作品としてきちんと成り立った映画作りをして欲しいと思うばかりである。観客は原作小説を読んでくるだろうとか後で本を読んでくれと言わんばかりの映画作りは止めて欲しい。小説のプロモーションビデオじゃないんだからさ……。
(2005年7月30日広島スカラ座で鑑賞)

お気に入り度:★★★★☆☆☆☆☆☆(4/10)

監督:阪本順治
原作:福井晴敏
脚本:長谷川康夫、飯田健三郎
音楽:トレヴァー・ジョーンズ
出演:真田広之、寺尾聰、佐藤浩市、中井貴一、勝地涼
製作年度:2005年
製作国:日本
上映時間:127分

By NOV at 09:52 | Comments [7] | Trackbacks [33]

2005年07月26日

映画『アイランド』

近未来SFアクション映画『アイランド』です。わかりやすい脚本とド派手なアクションシーン満載のこの映画、手に汗握りながらドキドキして鑑賞してしまいました。単純だなあとは思いつつも結構ハマって観てしまいました。この夏の娯楽大作といってもいいでしょう。

西暦2019年、特殊なコミュニティの中で生きているリンカーン・6・エコー(ユアン・マクレガー)とジョーダン・2・デルタ(スカーレット・ヨハンソン)がこの映画の中心人物です。リンカーンという名前は奴隷解放宣言で有名なアメリカのリンカーン大統領を思わせますね。

そのコミュニティの住人たちは「アイランド」へ行くことを夢見ています。「アイランド」を彼らは楽園と思っています。ところが、リンカーン・6・エコーは偶然コミュニティの外の世界へ足を踏み入れます。そこでリンカーン・6・エコーは自分がクローン人間であることを知ることに。「アイランド」へ行ったはずの者が殺される現場を目撃します。自分もいずれ殺されてしまうことを悟るのです。

ジョーダン・2・デルタが「アイランド」行きの抽選に当ります。そして、「アイランド」は存在しないと知ったリンカーン・6・エコーはジョーダン・2・デルタが「アイランド」に連れて行かれることを防ごうとします。

この映画、前半はクローン人間コミュニティが描かれています。クローン人間はありがちな近未来をイメージした白い上下一揃いの服を与えられ、食事や健康を管理をされています。仕事や娯楽はあるもののそれもコミュニティの管理下にあります。とても人間らしさからはかけ離れた気味悪い環境ですが、クローン人間たちにとって「アイランド」よりはずっと楽園的な場所でしょう。

なんとかコミュニティを脱出したリンカーンたちは、コミュニティの秘密を守ろうとする者たちに追い駆けられます。奇跡的な逃亡劇の連続で、手に汗握る展開でした。クローン人間たちの手首に装着された標識が展開上カギとなっています。

利己的欲求剥き出しの人間を見ているとなんともやりきれない気分になります。本当に人間は自分勝手だと痛感させられます。牛を殺すのもクローン人間を殺すのも近未来ではほぼ同じ扱いなのです。あり得ない話なのに、近い将来、本当にあり得るかもと思わせられました。

自分たちがクローンだと知ってからわずかに自分自身を思いつめるリンカーンとジョーダン。しかし思い悩む時間はあまりないままアクションの連続です。そんな二人の気持ちを代弁するかのようなアルバート・ロレント(ジャイモン・フンスー)が印象的です。はじめはクローンの二人を捉える立場でしたが、ラストシーンでの彼の眼差しがクローンに対する気持ちを物語っています。「きみたちも同じ人間なんだよな」と。

『真珠の耳飾の少女』や『ロスト・イン・トランスレーション』のスカーレット・ヨハンソン。今までと違い今回はかなりアクティブに動き回る役でした。人工的なクローンな感じがクールに決まっていたと思います。
余談ですが、ラブ・シーンでスカーレット・ヨハンソン自身ははブラを外して演技してもよいと言ったそうですが、PG-13だからダメなんだよと監督に止められたそうですね。(参考:スカーレット・ヨハンソン、ラブシーンは裸で
(2005年7月25日ワーナー・マイカル・シネマズ広島で鑑賞)

お気に入り度:★★★★★★★☆☆☆(7/10)

『アイランド』公式サイト
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監督:マイケル・ベイ
脚本:カスピアン・トレッドウェル=オーウェン、アレックス・カーツマン、ロベルト・オーチー
音楽:スティーヴ・ジャブロンスキー
出演:ユアン・マクレガー、スカーレット・ヨハンソン、ジャイモン・フンスー、スティーヴ・ブシェミ、ショーン・ビーン
製作年度:2005年
製作国:アメリカ
上映時間:136分


By NOV at 15:07 | Comments [6] | Trackbacks [36]

2005年07月21日

映画『星になった少年 Shining Boy and Little Randy』

映画『星になった少年 Shining Boy and Little Randy』の話の前に個人的な話から。私はタイが好きです。私の数少ない海外旅行歴の中でダントツの訪問回数を誇る。手頃な予算で旅ができて、リラックスできるところがお気に入りの理由かな。

ちょっと、今回は特別に、タイ旅行の写真を公開させていただきます。ゾウ絡みの写真がほとんどですが、どうぞご覧ください。(クリックすると写真は拡大します。)

象に乗って1
私は左側から数えて二番目に写っています。
トレッキングの途中、象に乗せてもらいました。

象に乗って2
上の2つの写真は人に撮ってもらった写真です。

首長族の村の風景
首長族村のおみやげ屋。観光地となっています。

川で水浴びする象
首長族の村にいた象たち。気持ち良さそうですね。

それでは、そろそろ『星になった少年 Shining Boy and Little Randy』の話を始めたいと思います。

小川哲夢(柳楽優弥)の家は動物プロダクション。犬、猫、ポニー、牛、ロバ、羊、山羊、ラクダ、チンパンジーなどと家族は共に暮らしていた。ある日、哲夢の母、佐緒里(常盤貴子)が購入したゾウのミッキーと出会う。その後、仔ゾウのランディもやってきたが、ランディは人のいうことを聞くように訓練されていなかった。哲夢はゾウ使いになるためタイへ行くことを決意する。

この映画は映画好きならもう誰もが知っているご存知カンヌ賞受賞俳優の柳楽優弥君の主演作品です。日本で3週間、タイで2週間のゾウ使いの訓練を受けたという。哲夢役の彼がゾウ使いの術を体得していくタイでの場面に引き込まれました。ゾウを扱えるようになった頃の彼は本当のゾウ使いにしか見えなかったですね。

タイのゾウ使い学校の生徒との距離に現実感がありました。「こいつ、日本から何でゾウ使いの勉強に? 道楽で来ているんじゃないのか」という眼差しを哲夢に向けます。まったくゾウを扱えず、ゾウに振り回されてばかりいた哲夢にはとても痛そうな眼差し。家でゾウを飼っている人は大金持ちだとタイ人は言う。

ゾウを扱えない苦難を乗り越えた哲夢は、やがて生徒たちとも打ち解けます。タイ語もかなり板についていました。訓練を終える頃、もう哲夢はタイ人にしか見えなかったです。本当に。
余談ですが、基本的にタイ人はテツをテツと発音しません。テスになってしまいます。カズヤはカスヤと発音してしまうのがタイ人です。まあ、そういうわけで哲夢はタイ人の発音を正す場面があります。

ちょっと知っておくといいかもしれないタイ語をいくつか。
チャーン:ゾウのことです
アオ:食べるという意味です。
アローイ:おいしい。うまい。
ヌン、ソン、サーム:1、2、3
マイペンライ:気にしない。ドンマイ。
タイ語の堪能な方、他の言葉もコメントしてくれると嬉しいです。

ウルルンのようなタイ留学も終わり、日本に帰った哲夢はその後夢をひたすら実現しようとします。タイでゾウ使いの術を学んだ哲夢はもう昔の哲夢とは違い、自信に満ちた行動を取るようになっていました。ゾウさんショーの開催も見事に成功を収めましたが、「ゾウの楽園」を夢見たまま哲夢は星になったのです。あの瞬間のゾウたちの叫びが今でも耳に残っています。

偶然にも、テレビで坂本哲夢さんの葬儀シーンを見ましたが、大切な人を失ってゾウさんたちは本当に悲しんでいるように見えました。そして、映画での葬儀シーンのゾウさんたちも悲しんでいました。映画の世界でゾウが悲しみを表現するとは思いも寄らなかったことです。

実話では坂本哲夢さんは12歳でタイへ行ったのですが、映画ではその点は大きく違うところです。柳楽君の年齢に合わせてその辺は調整されたのだろうと思います。そして、賢いゾウさんたちと代役なしでゾウ使いを演じトカゲを食べ(たのかな?)タイ語を駆使した柳楽君に私は拍手を送りたいと思います。
(2005年7月16日広島宝塚で鑑賞)

お気に入り度:★★★★★★☆☆☆☆(6/10)

『星になった少年 Shining Boy and Little Randy』公式サイト
『星になった少年 Shining Boy and Little Randy』の上映映画館
星になった少年@映画生活
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監督:河毛俊作
原作:坂本小百合(ちび象ランディと星になった少年
脚本:大森寿美男
音楽:坂本龍一
出演:柳楽優弥、常盤貴子、高橋克実、蒼井優、倍賞美津子
製作年度:2005年
製作国:日本
上映時間:113分
キャスト&スタッフについてもっと詳しく


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2005年07月19日

映画『カナリア』

『カナリア』という映画を観た。一瞬『サマリア』と聞き間違えそうになる。東京ではもう何カ月も前に公開された作品だが、広島でようやく公開されたので鑑賞できた。この映画は、地下鉄サリン事件を起こした宗教団体オウム真理教にいた子どもたちのその後をモチーフにした作品である。

題名は、地下鉄サリン事件の後、教団の強制捜査時に有毒ガス探知に用いられたカナリアや、教団の中に閉じ込められた子どもたちをカナリアにたとえられるところから由来しているようだ。

岩瀬光一(石田法嗣)は、新興宗教団体「ニルヴァーナ」の崩壊後、児童相談所に妹の朝子と共に預けられた。光一の祖父(品川徹)は朝子だけを引き取った。光一は妹を奪い返し、行方不明の教団幹部の母(甲田益也子)を捜し出すため、児童福祉施設を抜け出した。

児童相談所を脱出した光一は、東京へ行き、妹を奪い返すつもりだが、所持金をロクに持たぬ状態で、ただひたすら歩いて単独で東京へ行こうとしていた。ところが光一は偶然トラブルに巻き込まれた少女と出会う。彼女の名は、由希(谷村美月)。由希は父親の虐待から逃げたい気持ちと光一の役に立ちたい一心で東京へ一緒に行くことに。

旅の途中、光一は無口であまり笑ったりせず押し殺したような表情でいることが多い。一方、由希はおしゃべりで表情豊かで光一とは対照的。閉塞的環境の象徴としての光一は、開放的で世俗的な世界の象徴の由希と出会うことで少しずつ新たな世界に光一は馴染んでいく。

光一の教団生活時代の一部も描かれている。家族揃って出家して教団に入団する場面。親と子を引き離す場面。お供物と称される妙な食べ物が光一と朝子に与えられる場面。光一が折檻を受ける場面。現実に存在する教団とどれくらい似せているのかよくわからないけれど、カルト教団の特殊な雰囲気自体はよく伝わってくる。

光一は由希やニルヴァーナの元信者たちと出会ったことで新たな自分を築きつつあったが、新たな悲劇が光一を襲う。その後の光一の身体変化はちょっと信じられないくらい急すぎるものだったが、悲劇の影響をあえてわかりやすく表現したのかもしれない。

由希がいうように、子どもは親を選べないけれど、大人も子どもも今より明日がよくなるよう前向きに歩くことからはじめるしかない。元教団の子どもに限らず、すべての人へ向けたそんなメッセージを感じる作品である。

この作品で、由希を演じた当時12歳の谷村美月の演技は評判通り素晴らしい。不安定な少女時代特有の危うさ、少年を守りたい母性、ボーイッシュな雰囲気を持つ由希のキャラクターが彼女の演技によく表れていたように思う。今後の活躍にも期待したいです。

(2005年7月16日シネツイン2で鑑賞)

『カナリア』公式サイト
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監督:塩田明彦
脚本:塩田明彦
音楽:大友良英
出演:石田法嗣、谷村美月、西島秀俊、りょう、つぐみ
製作年度:2004年
製作国:日本
上映時間:132分


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2005年07月18日

映画『リチャード・ニクソン暗殺を企てた男』

映画『リチャード・ニクソン暗殺を企てた男』を観ました。この映画は、弱い弱いアメリカの一国民が当時のアメリカ大統領、リチャード・ニクソンを暗殺しようとした事件に基づくものです。リチャード・ニクソンを暗殺しようとした男役をショーン・ペン、その彼の妻役をナオミ・ワッツが演じています。21グラムにも出演していた二人、今度は別居中の夫婦役で共演しています。

リチャード・ニクソン暗殺を企てた男、サム・ビックを演じるショーン・ペンの演技が際立っています。彼は人生をやり直そうと彼なりに悩んでいました。サムが、悲哀、苦悩、焦り、閉塞感、絶望、孤独、といったものに支配されていく。そんな役柄をショーン・ペンは見事に演じられています。特に暗殺計画当日、金属探知ゲートでのサムの臆病な様子が印象的。

正直すぎる人ゆえに自暴自棄になっていく人の精神病理の一端が描かれているような映画です。サムにはポニー(ドン・チードル)という友人がいたにも関わらずどんどん自分で自分を追い込みます。自分は悪くない、そして世の中が悪いのは他人のせいとサムは勝手に思い込みを強くしていきます。そして、彼はリチャード・ニクソンを元凶と思うのです。

最後、彼はハイジャックした機内で自分の名前を連呼します。己の存在を誇示するかのように。そして彼が求めたウソの無い世界への行動の代償はあまりにも大きい。ハイジャック事件のテレビ報道があっても、マリーやポニーはニュースに気付きません。その時、40代男性の名前は報道されなかったのですから。なんともいえない寂しくて虚しい感情が後を引く映画でした。
(2005年7月16日サロンシネマで鑑賞)

お気に入り度:★★★★★★★☆☆☆(7/10)

『リチャード・ニクソン暗殺を企てた男』公式サイト
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監督:ニルス・ミュラー
脚本:ケヴィン・ケネディ、ニルス・ミュラー
音楽:スティーヴン・M・スターン
出演:ショーン・ペン、ナオミ・ワッツ、ドン・チードル、ジャック・トンプソン、マイケル・ウィンコット
製作年度:2004年
製作国:アメリカ
上映時間:107分

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映画『彼女を信じないでください』

映画『彼女を信じないでください』は、キム・ハヌル主演の奇妙なラブコメディ。刑務所を出所したばかりの女詐欺師、ヨンジュ(キム・ハヌル)は、素朴で真面目な薬剤師、ヒチョル(カン・ドンウォン)を痴漢と間違え大騒ぎ。車内でしばらくすると、ヒチョルは恋人へのプロポーズに用意した指輪を見知らぬ男に掏(す)られてしまう。列車を降り、ヨンジュはその指輪を見事に取り戻したが、姉への結婚祝いの贈り物の雁の木工芸品が入ったカバンを列車に置き去りにしてしまう。大切なカバンを探しにヨンジュは、ヨンガンにあるヒチョルの家を訪ねる。ヨンジュはなぜかヒチョルの恋人のふりをしてしまうことになる。

主演女優のキム・ハヌル。刑務所を出所したばかりの女詐欺師役の演技が冴え渡ります。ヨンジュはヒチョルの恋人ではないのに、ヒチョルの親戚一同に恋人のフリをしてしまう一連の流れが面白い。特に、あの病院でのエピソードは抱腹絶倒ものでした。そして、ヨンジュはヒチョルの婚約者として受け入れられてしまいます。
一方、ヨンジュがヒチョルの婚約者という扱いを受けていることにヒチョルは驚きます。ヒチョルは必死でヨンジュの言うことを否定するのに、家族は誰一人信じてくれません。信じてくれないばかりか、ケダモノ扱いまで受けることに。

この作品は、キム・ハヌルとカン・ドンウォンのラブコメディということではありますが、ちょっとひねりが利いています。カン・ドンウォン演じるヒチョルにはチェウン(ナム・サンミ)というプロポーズをしようとした恋人がすでにいることです。一体、この辺をどうクリアして、刑務所を出所したばかりのヨンジュと純朴な青年ヒチョルとのありえないカップルがどうでき上がるのかが見物でしたが、とても上手く構成されていたと思います。
そして、単なる二人のラブコメディの枠に収まらず、田舎の地縁や血縁、ヨンジュの姉の結婚などでストーリーにいい具合に幅をもたせています。私にとって意外にも面白くそしてちょっぴり感動できるラブコメディでした。
Mr.唐辛子にはなりたくないなあ……。あれは本当に辛そうだ。
(2005年7月15日サロンシネマで鑑賞)

お気に入り度:★★★★★★★☆☆☆(7/10)

『彼女を信じないでください』公式サイト
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監督:ペ・ヒョンジュン
脚本:チェ・ヒデ 、パク・ヨンソン
音楽:チョ・ヨンウク
出演:カン・ドンウォン、キム・ハヌル、ソン・ジェホ、キム・ジヨン、イ・ヨンウン
製作年度:2004年
製作国::韓国
上映時間:115分


映画『彼女を信じないでください』関連商品

彼女を信じないでください サントラ
デラ・リーズ キム・ハヌル
このサントラ、アマゾンカスタマーレビューによると、劇中カン・ドンウォンが歌う『Aubrey』も収録されています。残念ながら、Mr.唐辛子の大会の時の曲は入っていないようです。
彼女を信じないでください  サントラ

彼女を信じないでください 文庫本
入間 真
彼女を信じないでください 文庫本


By NOV at 08:41 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2005年07月16日

映画『皇帝ペンギン』

まもなく公開の『皇帝ペンギン』。楽しみにしている人、多いのではないでしょうか。私もそんな楽しみにしている一人です。前売り券も購入し、携帯クリーナー「ペン太」もゲットしてしまいました。

2005年7月15日の日本経済新聞朝刊の最終項にはリュック・ジャケ監督自身の記事があった。当時研究者を目指していた監督の南極との出会いや『皇帝ペンギン』撮影の時のことが語られている。特に皇帝ペンギンの産卵場面をフィルムに収められなかったことを残念に思っていると言っていたのが印象的。

マイナス40℃の一面氷の世界。そんな凍てつく寒さの中で、皇帝ペンギンが群れを成し生きている。予告編を見ただけなのに、そのような奇跡的とも思える生命の逞しさに身の引き締まるような感動を覚えずにはいられない。
『皇帝ペンギン』予告編(wmp):512Kbps1000kbps

2005年1月、フランスで公開されると、またたく間に『WATARIDORI』『ディープ・ブルー』の10倍以上の大ヒットを記録したというこの南極での物語。撮影は、リュック・ジャケ監督とたった3人の仲間で8880時間の時間をかけて行なわれたそうである。

この映画は、まるで一組の皇帝ペンギンの夫妻を追いかけたかのような物語仕立てのドキュメント。120日間何も食べずに卵を温め守る父ペンギンと産卵で体重の1/5を減らしてまでもヒナのため命がけでエサをとりに100km先の海へと旅立つ母ペンギンをメインに、極寒の南極で逞しく生きるペンギンや親子の愛、愛らしいヒナがフィルムに収められている。

劇場公開は7月23日から全国拡大公開。なお、恵比寿ガーデンシネマではもう既に公開中。吹替版では、大沢たかおが父ペンギン、石田ひかりが母ペンギン、神木隆之介が子ペンギン、また、字幕版では、ロマーヌ・ボーランジェが母ペンギン、シャルル・ベルリングが父ペンギン、ジュール・シトリュックが子ペンギンの心の声を語る。吹替版が主に全国で公開され、字幕版の公開は、東京、大阪、神戸、広島と福岡の5都市に限定されている(詳しくはコチラ)。ペンギンたちに会える夏、もうすぐです。

7月24日に吹替版の『皇帝ペンギン』を鑑賞しました。生命体には非常に厳しい氷の大地で暮らす皇帝ペンギンたちのライフサイクルを追ったドキュメンタリーでした。

海から弾丸のように飛び出し白い大地に着地する。よちよち歩きで行進したり、腹ばいになりソリみたいに滑りながらペンギンたちは前進する。そんな皇帝ペンギンたちの姿が愛らしい。

皇帝ペンギンたちが目指す場所は彼らの生誕の地、氷山に囲まれたオアモックと呼ばれるところだ。彼らは繁殖のために100キロ以上も行進してその土地へたどり着くのだ。

この映画はかわいらしいペンギンの姿だけではなく、過酷な自然の厳しさも伝える。群れから逸れたペンギンの運命、抱卵できずに避けてしまった卵、外敵の襲来など、厳しい自然の掟を目の当たりにする。

世界一厳しいとも言われる皇帝ペンギンの子育ては、私の想像を遥かに超えて厳しい。母ペンギンは産卵後、卵を父ペンギンに渡しエサを海へ出発する。その後2カ月ほど父ペンギンは何も食べずにずっと抱卵する。どんなに吹雪がすさまじくても必死に卵を孵(かえ)すためオスは卵を守り抜くのだ。

過酷な抱卵が終わり、かわいらしいヒナが孵っても、母ペンギンが戻ってくるまで父ペンギンはヒナを守らねばならない。悲しいことに厳しい南極の自然の犠牲になってしまうヒナもいる。母ペンギンが戻ってくると今度は父ペンギンが海を目指す。海で父ペンギンはエサを食べてから戻る。

少しばかり成長したやんちゃな子ペンギンは元気に歩き回る。大自然の厳しさと子ペンギンたちのかわいらしさが非常に際立っているように思えた。やがて子ペンギンは子ペンギンたちで生きていく。母ペンギンや父ペンギンもそれぞれ海を目指し別の道を歩くのだ。そして、再びオアモックを目指していく。

擬人化したペンギンたちのナレーションは押し付けがましく感じないわけでもなかったけれど、8880時間も撮影したフィルムを凝縮しただけあって映像は実に素晴らしいものであった。個人的には海中で空を飛ぶかのごとく自由に泳ぐペンギンが気に入っている。繁殖地を旅立つ母ペンギンを追い駆ける子ペンギンの姿がかわいらしくもあり、また切ないものでした。

参考サイト:『皇帝ペンギン』公式サイト
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原題:LA MARCHE DE L' EMPEREUR
監督:リュック・ジャケ
脚本:リュック・ジャケ、ミシェル・フェスレール
音楽:エミリー・シモン
声の出演:ロマーヌ・ボーランジェ、シャルル・ベルリング、ジュール・シトリュク
製作年度:2005年
製作国:フランス
上映時間:86分


映画『皇帝ペンギン』の関連グッズはこちら

皇帝ペンギン -La Marche de l'empereur-
リュック・ジャケ 岡田 好恵
かわいいペンギンたちの姿が満載のオフィシャルガイドブック。ソフトバンクパブリッシングより好評発売中。
皇帝ペンギン -La Marche de l'empereur-

皇帝ペンギン サウンドトラック
エミリー・シモン
アルバム収録曲
(1)凍った世界 (2)南極 (3)たいせつなタマゴ (4)海の詩 (5)赤ちゃんペンギン (6)襲いくる鳥達 (7)南のオーロラ (8)海豹 (9)嵐の詩 (10)母の苦しみ (11)氷上のダンサー (12)すべて真っ白 (13)冒険 (14)雪の足跡 (15)アイス・ガール
皇帝ペンギン


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2005年07月14日

映画『マゴニア』

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マゴニアとはヨーロッパに古くから伝わる想像上の世界。映画『マゴニア』は、船乗りの父親が、マゴニアでの3つの物語を息子に語って聞かせる三話形式のオムニバス映画となっています。

最初のお話は、「師の歌を奪った青年」。モスクのあるイスラムの街が舞台です。師と青年と師に仕える女性を中心に物語は進行する。
この話では、なんといっても師の歌を奪った青年の歌に驚きました。何を歌っているのかはさっぱりわからないのですが、あれほど宗教的な精神にみなぎる力で心にしみる歌を歌うところをはじめてみました。異国情緒にあふれていて美しい画面を見せてくれます。この章が一番「マゴニア」という雰囲気に溢れているように私は思いました。

次のお話は、「砂漠の孤島に訪れた夫婦」。白人夫婦の乗る自動車が故障して、彼らは砂漠の一軒家に立ち寄る。そこには年老いた黒人と彼の息子が住んでいた。
先進的な文明とプリミティブな文明の出会いを例えたようなお話でした。そのどちらが良いとか悪いとかそういうことが表現されているわけではなく、互いに何か惹かれているといった雰囲気で物事が描かれています。

3つ目のお話は、「恋人の迎えを待つ女」。風が吹き、陰鬱な曇り空の港町、今日もヨセは、船乗りのラムジーを待っていた。そして、船の設計士の若者はヨセに思いを寄せている。
3つ目のお話の世界は、今までの世界よりずっと現実的で俗っぽいものでした。ヨセのような女性も現実にいそうな気がしました。酒場のぶてっとした店主がとてもいやらしいキャラだったので一体マゴニアって何が何だかわからなくなり混乱しました。地上からこんな世界へ果たして行きたいと思うのでしょうか。

エピローグです。その日、息子はいつものように父と会おうとしましたが会えません。息子は、父といつも別れていた門をくぐりました。そこの敷地にある病院あるいは療養所みたいな場所へ入ります。
このエピローグで3つの物語の世界がまとまります。そのようにまとまっていくのはいいのですが、あのラストは一体何を意味するのか未だによくわかりません。なんであんなひどいラストなんだろう。帆船の形をした凧が宙に舞うまでは良かったのに……。最後、なんだかぶち壊された気分になってしまいました。3つの話の中では、「師の歌を奪った青年」がよかったですね。詩的な美しさを感じました。あー、でもやっぱり、ラストが……です。この思い、わかってくれる人いるでしょうか。(2005年6月27日シネツイン1で鑑賞)
お気に入り度:★★★★★☆☆☆☆☆(5/10)

監督:イネケ・スミツ
原作:アルチュール・ジャピン
脚本:アルチュール・ジャピン
出演:ウィレム・フォーフト、ディルク・ローフトホーフト、ラムゼイ・ナスル、ナト・ムルバニゼ、ノダル・ムガロブリシヴィリ
製作年度:2001年
製作国:オランダ
上映時間:112分


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2005年07月13日

映画『オープン・ウォーター』

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この映画がワーナー・マイカルで上映されたことは、ちょっと驚きなできごとと言えるかもしれない。広島だとこの作品は、サロンシネマやシネツイン、あるいは横川シネマあたりで上映されそうなのに……。

スキューバダイビングをしたことがなくてもちょっと想像してほしい、あなたは海の真ん中に取り残される。周りは水平線しか見えない。まさしくオープン・ウォーター。まったく救助がくる気配はなし。

そんな状況に実際陥ってしまう話がこの『オープン・ウォーター』だ。ダイビングを楽しんでいた夫婦が海に取り残されてしまう恐ろしい話だ。実際、こういうことは本当にあるようだ。

前半、海に取り残されてしまう場面までの展開。いかにして夫婦は海に取り残されたかが描かれる。マスクを忘れてダイブできない男の存在が夫婦の悲劇を招く一因とはなったが、やはりいいかげんな人数チェックを行ったクルーの責任は重大である。ボンベチェックくらいきちんとしていれば……。
夫婦がいかにして海上に置き去りにされてしまうかという一連の流れは、一般に過ちがどのようにして起こるかの典型例でもあった。

後半は、取り残されてしまった夫婦の様子が映し出される。海に取り残されたことを、受容できない段階を経て、どうしてこんな目に遭うのかと怒る夫婦の様子は、まるでキューブラー・ロスの「死ぬ瞬間」までの段階を辿るかのようである。

後半はほとんど海上のシーンで、海中の場面はあまりない。夫婦が海中でクラゲに刺されたり、魚に咬まれたりする。そして、恐ろしいサメも忍び寄ってくる。夜、夫婦が宿泊していたリゾート地では、観光客が大いに夜を楽しんでいる場面が映る。一方、夜になっても救助は無く、絶望の底に二人は追いやられていく。

ジョーズのように危機迫る様子がこの映画では描かれているわけではないので、エキサイトな要素に乏しい。画面もデジタルビデオで撮影した画像で、それほど美しい画像ではない。そして、あまりにも呆気ないラストに怒る人もかなりいるというこの作品。あなたも試してみますか?

アメリカでヒットしたということのほうが映画よりも恐ろしいと言えなくもない。あと、娯楽性を期待してはいけない。じわりじわりと見えない恐怖におびえる感覚は体験できるかもしれない。実際にサメをおびき寄せて撮影したこの作品。俳優たちは、保険にも入らず命がけで撮影に挑んだという。

「サメに襲われそうになった時 乾電池を持っているとサメは逃げ出す」(トリビアの泉)を思い出した。海には乾電池をもって行こう(笑)。(2005年6月25日ワーナー・マイカル・シネマズ広島で鑑賞)

お気に入り度:★★★★★☆☆☆☆☆(5/10)

原題:Open Water
監督:クリス・ケンティス
脚本:クリス・ケンティス
出演:ブランチャード・ライアン、ダニエル・トラヴィス
製作年度:2003年
製作国:アメリカ
上映時間:79分


オープン・ウォーター DVD
オープン・ウォーター

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2005年07月12日

映画『ヒナゴン』間もなく東京でプレミア上映

5月から広島で先行上映をしている映画『ヒナゴン』。いよいよ7月30日、東京・渋谷、シアターイメージフォーラムで公開されます。そして、公開一週間前の7月23日の舞台挨拶付き先行プレミア上映が決まりました。

◆先行プレミア上映について
 7月23日(土) 12:00~ 14:30~ の2回
 1回目上映終了後、2回目上映前に、伊原剛志さん、井川遥さん (予定)による舞台挨拶があります。
※7月22日(金)17:00より、シアターイメージフォーラムにて整理券を発行。定員になり次第締め切りとなります。
(情報元:映画「ヒナゴン」特設ページ


映画『ヒナゴン』リンク

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2005年07月10日

映画『サマリア』

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『サマリア』は、援助交際をする女子高生を主題にした物語。この物語は三部構成になっている。

第一章は「バスミルダ」。バスミルダとはインドの伝説の娼婦の名。バスミルダと寝た男は仏教を信仰するようになったという。
ふたりの女子高生、チェヨン(ソ・ミンジョン)とヨジン(クァク・チミン)は親友同士。チェヨンは天真爛漫な笑顔で、自分をインドの伝説の娼婦バスミルダと呼ぶ。父ヨンギ(イ・オル)と二人暮しのヨジンは、ためらいなく援助交際をするチェヨンの見張り役や稼いだ金銭の管理をする。いつかふたりでヨーロッパ旅行にいくことを夢見て貯金をする。
ところがある日、悲劇は訪れる。いつものようにヨジンは、チェヨンが客の相手をしているホテルの監視をしていたが、目を離した隙に警察はチェヨンの部屋に捜査突入。警察の手を逃れたいチェヨンは、ホテルの窓から身を乗り出し飛び降りる。

第二章は「サマリア」。この章は、聖書に登場する「サマリアの女」を題材にしているという。
チェヨンは飛び降りた後この世を去ってしまった。ヨジンはチェヨンに対して罪の意識を背負っていた。そして贖罪の為にヨジンは、チェヨンが援助交際した相手を呼び出し、その男たちとセックスしてお金を返していく。
男を汚らわしいと思っていたころが嘘のように、次から次へと男を相手にし、お金を返していくヨジン。しかし、刑事として勤務中のヨジンの父は、娘がホテルで男と一緒にいるところを目撃してしまう。

第三章は「ソナタ」。これは韓国でもっとも大衆的な乗用車「ソナタ」にちなんでいるとか。
娘の不道徳な場面を見た父は娘の行為を妨害する。父は妨害を繰り返すうちに社会常識を逸脱した行為をエスカレートさせていくこととなった。そして、ヨジンは父と一緒に車で旅に出発する。

『サマリア』を製作したキム・ギドク監督は、『魚と寝る女』や『悪い男』といったセンセーショナルな作品を世に送り出しているという人である。今作でも援助交際という不道徳なテーマで話題を喚起した。
ヨーロッパ旅行を夢見る親しいふたりの女子高生、本能的でどうしようもない男たち、社会の枠からはみ出してしまう父親の姿を通して見えてくるものは何か? 世の中に潜む悲痛な叫びが私たちの胸を鋭くえぐる衝撃の作品。本作はペルリン国際峡画祭で、銀熊賞(監督賞)を受賞したキム・ギドク監督の作品。一見の価値ありです。

この先、ネタバレをしている可能性があります。ご注意を。

第一章ではふたりの親友模様が描かれています。「ソンユド公園」でふたりが駆り遊んでいる場面、今しかないふたりの儚い時の流れを感じさせる詩的情緒が漂っています。

援助交際をためらい無く満面の笑顔でやるチェヨン。彼女の行う行為は一般には不純な行為というけれども、彼女のその行為は不思議なことに不純のかけらは微塵もなく、むしろ純粋で清らかな行為にさえ思えてしまう。そのギャップは私を当惑させます。援助交際は善なのか、それとも悪なのか、私はとても混乱してしまいました。

チェヨンの親友ヨジンは、チェヨンとは異なり援助交際で知らない男と寝ることは汚らわしいことと考えていました。ヨジンは、チェヨンが他の男と寝ることを嫉んでいるかのようにも見えます。チェヨンとヨジンのふたりの世界はやがてチェヨンの死で失われるのです。

第二章「サマリア」では、ヨジンはチェヨンに対する罪の意識を背負うことになります。ヨジンにとって、チェヨンに命を絶たせてしまった罪を悔い改める行為は、チェヨンが相手した男と連絡しセックスをしてお金を返すことでした。このことに対してもまた私はとても驚きました。どうしてそれが贖罪行為になるのかちょっとひねりが利きすぎていてすぐには理解できなかったような気がします。

ヨジンが贖罪行為を繰り返していきます。ヨジンはチェヨンが行ったことと同じ行為を男たちに与えていきます。違うのはお金を男に返すところだけです。
この行為を通じてヨジンはチェヨンに近づきながら、やがて同化していく様子がわかります。かつては男を汚らわしく思っていたヨジンですが、少しずつチェヨンのように男と寝ることを楽しんでいるようでもありました。そして、私は、ヨジンの精神が解放され救われていく様子に安堵感を覚えました。このころには、ヨジンのこの行為をなんだか理解できるようになってきました。

第三章では、娘の不純な行為を見つけた父親が、どうしようもない怒りの感情にまかせ、娘と関わった男たちを妨害したり傷害を加えたり、時には殺めてしまいます。娘の不純な行為を目撃した父親ですが、彼は一切娘には注意できません。世の中の道徳のラインが非常に曖昧なところを如実に表わしているのかもしれません。なぜなら、援助交際が絶対的な悪であるなら父親は娘を厳しく注意できると思うからです。

男たちに狂気なエネルギーで制裁を加えた父親はやがて決心をして娘ヨジンと旅に出ます。
旅で立ち寄ったヨジンの母の墓参りのあと、自動車は坂道の途中石に進路を妨害され、父親は運転を諦めて休憩します。一方、チェヨンは車の邪魔をしている石を取り除きます。この場面には、それぞれの人生に対する心理状態が反映されているように感じました。もう進めないなあという諦めの心理と、何かがあっても前へ進むという前向きな気持ちです。

旅の途中、ヨジンは父親の前で泣き叫ぶ場面があります。娘に対して父親は何も言いません。ヨジンは、ヨジン自身が行った贖罪行為を父親が気付いたことを確信したのでしょう。チェヨンに対する贖罪はできても父親に対しては罪の意識をきっと感じたのだろうと思います。救いを求めて行った行為が一方では絶望的な行為になってしまうのです。非常に心苦しい場面でした。

ラストは、まさか、ヨジンが父親に殺されて本当に終わるのかと思ったら、それはヨジンが車の中で見た夢でした。その夢からも、父親に対する罪の意識の自覚が伺えます。
不快な夢から覚めたヨジンは、父親から強引に自動車の運転を教えられます。そして、父親は警察に連絡しそれまでの犯罪を告げるのです。
しばらくしてヨジンと父親のいる川原へ警察がきます。父親は警察に連行されます。「これからは一人で生きるんだ」とヨジンに言い残して。
ヨジンは覚えたばかりの自動車運転技術で父親を連行する車を追いかけます。まだ危なっかしい車は父を追い駆けます、ぬかるみにはまっても必死でヨジンは父親を追い駆けようとしますが、父親の乗せられた車にはもう追いつけません。こうして父親と娘の旅は終点を迎えるのです。この最後の父を追い駆ける場面が、この先のヨジンの人生をいろいろと暗示していることはいうまでもありません。

『サマリア』を観て、当惑させられ、心の一部を剥がされ、そこの空間に何かを注入されてしまいそう感覚を覚えました。このような作品を製作できるキム・ギドク監督は稀有な才能の持ち主であることは間違いないと思いました。信じられないほどの狂気の父親を演じたイ・オルの演技も迫真でした。体当たりの演技で女子高生を演じた、クァク・チミン、ハン・ヨルム(サマリア撮影後、ソ・ミンジョンより改名したそうです。)の今後も期待ですね。(2005年6月25日サロンシネマで鑑賞)

お気に入り度:★★★★★★★★★☆(9/10)

原題:사마리아
監督:キム・ギドク
脚本:キム・ギドク
音楽:パク・ジウン
出演:クァク・チミン、ソ・ミンジョン、イ・オル、クォン・ヒョンミン、オ・ヨン
製作年度:2004年
製作国:韓国
上映時間:95分

映画『サマリア』の関連商品の紹介

サマリア DVD
クァク・チミン キム・ギドク ハン・ヨルム イ・オル
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サマリアの少女 単行本
映画『サマリア』のノベライズ本あります。
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2005年07月06日

映画『猟人日記』

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『猟人日記』は、アレグザンダー・トロッキの自伝的小説「ヤング・アダム」の映画化作品である。1950年代のスコットランド・グラスゴーで、本能のままに生きる青年の行動を通して運命の残酷さや虚無感が描かれる。

青年ジョー(ユアン・マクレガー)は、船長のレズリー((ピーター・ミュラン)と二人で海に漂う若い女性の水死体を、桟橋の上に引き上げる。貨物船で運搬業を営む夫妻のもとでジョーは、作業員として働いていたが、夫のレズリーがパブへ出かけた隙に、その妻エラ(ティルダ・スウィントン)と性的関係を持つ。そして、水死体にまつわる事実がやがて明かされていく。

この作品は、ジョーが貨物船で作業員をしている時間軸と元恋人のキャシー(エミリー・モーティマー)と出会ってからの時間軸の二つで構成されている。ジョーの元恋人キャシーとの回想シーンが進行していくと、やがて女性の水死体に隠された真実が明らかとなる。

画面は、全体を通じて鬱陶しい気分にさせるようなく重々しさが漂っており、不倫や殺人、冤罪などといったダーティーな事柄ばかりが起きそうな雰囲気に満ちていた。

ユアン・マクレガー最新作の『アイランド』も気になる今日この頃ではあるが、『猟人日記』に出演しているユアン・マクレガー演じる小説家志望のジョーの放蕩青年ぶりにはかなり驚かされる。「女なら誰でもいいのか?」って思ってしまうくらい次から次へと成り行きまかせに女性をハシゴすることに。
ジョーは女をいろいろ抱くわけであるが、そこにおそらく愛はなく、ただ渇きを癒すかのごとく女を求める男の姿があるだけだ。ユアン・マクレガーは、そんなふうに衝動のまま行動するジョーを見事に演じていた。

エラを演じるのはティルダ・スウィントン。最近私が観た映画『コンスタンティン』ではガブリエル役としても出演していた。この映画の登場人物の中で、彼女の演技は特に目を見張るものだった。
ジョーに対して冷淡であるかのように見えたエラだが、一度、肉体関係をジョーと持ったとたん、とてもオープンになる。この変貌振りに驚かずにはいられなかった。ユアン・マクレガーとの情事は、薄汚く本能的で、妙なリアリティが感じられる。

この映画は、鑑賞して感動したり、心の糧となったり、わくわくして楽しめたりするわけではないので、誰にでも薦められるというものではない。しかし、退廃的で本能的、不条理なこの物語は一見の価値はあるだろう。妙に後を引く一本である。それから、ユアン・マクレガーのファンの女性にはちょっとキツイ一本かもしれないことを付け加えておきたい。(2005年6月日シネツイン1で鑑賞)

お気に入り度:★★★★★★☆☆☆☆(6/10)

原題:Young Adam
監督:デヴィッド・マッケンジー
原作:アレグザンダー・トロッキ
脚本:デヴィッド・マッケンジー
音楽:デヴィッド・バーン
出演:ユアン・マクレガー、ティルダ・スウィントン、ピーター・ミュラン、エミリー・モーティマー、ジャック・マケルホーン
製作年度2003年
製作国:イギリス/フランス
上映時間:98分


映画『猟人日記』のDVDと原作本の紹介

猟人日記 DVD
ユアン・マクレガー
猟人日記

ヤング・アダム 単行本
アレグザンダー・トロッキ 浜野 アキオ
映画『猟人日記』の原作小説です。
ヤング・アダム

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2005年07月05日

映画『マイ・ブラザー』

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『マイ・ブラザー』はウォンビンとシン・ハギュンが共演する兄弟と母の人間関係を描いたドラマ。ウォンビンは明るくケンカが得意で破天荒な弟役を、そして、口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)の状態で生まれたシン・ハギュンはちょっと内気で繊細で秀才な兄役を演じる。そんなふたりの絆と母の情愛たっぷりの世界に感動せずにはいられない。

弟ジョンヒョン(ウォンビン)は、ケンカばかりして周りにいつも迷惑をかけている。同じ学年の兄ソンヒョン(シン・ハギュン)は、弟とは違い学業優秀で、母親(キム・ヘスク)にとても可愛がられている。弟は周囲の期待を受ける兄をうらやましく思っている。いつもいつも弟は、ケンカを繰り返し母に叱られる日々を送っていた。
ふたりがお互いに女子高生のミリョンを好きになってしまった高校時代もやがて終わりを告げ、兄はソウル大学の医学部へ進学、弟は予備校通いとなる。ある日のこと、母親は食堂を始めようと思い不動産会社と物件の契約を交わしたが、母親の希望を覆す事件が発生する。

『マイ・ブラザー』の試写会に運良く当ったのでシネツイン2へ試写会でこの作品を観に行かせていただきました。ところで、試写会の参加者は私を含めて男は3人ほどしかいなかったから、なんだか落ち着きませんでした。本当、驚くほど女性ばかりの試写会でした。ちょっと肩身の狭い思いがしました。

私は五人兄弟の真ん中で、兄が2人、あとは妹と弟がいます。そういうわけで、僕にはたくさんブラザーがいます。そのせいでしょうか、この映画は私にとって結構泣けてしまったお話です。全然映画に出てくるふたりのような兄弟関係ではないのですが、幼いころのケンカや遊んだ時のことを思い出したりして不思議なほど涙もろくなりました。

それにしても、男兄弟をテーマに映画を作る発想は韓国ならではといったところでしょうか。日本はこういう男くさくちょっとマザコン気がないともいえない映画は生み出されない土壌のような気がします。

今秋、兵役による約2年の活動停止となるウォンビンは、見事に母ちゃんには甘ったれで、外では弟なのに実にいい兄貴っぷりを見せて素晴らしい演技をしています。母親役のキム・ヘスクも韓国らしいオモニ(に私には思える)になりきっています。弟役のシン・ハギュンを含め3人ともまるで本当の家族のようです。

映画で面白かったシーンの一つは、アスピリンの詩の朗読シーン。ちょっと妙な詩をヒロインの女子高生ミリョン(イ・ボヨン)がマジメに朗読していておかしかったですね。そして、怒濤のように押し寄せる展開をみせるラストには胸が張り裂けそうでした。日本全国のお母さんたちや兄弟のいる男性には特にオススメできる作品です。(2005年6月23日シネツイン2で鑑賞)

原題:우리형
監督:アン・クォンテ
脚本:アン・クォンテ
音楽:キム・ヒョンソク
出演:ウォンビン、シン・ハギュン、キム・ヘスク、イ・ボヨン
製作年度:2004年
製作国:韓国
上映時間:112分


映画『マイ・ブラザー』の関連商品の紹介

ウォンビン主演映画「マイ・ブラザー」オフィシャルフォトブック
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マイ・ブラザー
佐野 晶
映画『マイ・ブラザー』のノベライズです。
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その他関連本
ウォンビン主演映画「マイ・ブラザー」オフィシャルフォトブック
It's KOREAL (イッツコリアル) 07月号 [雑誌]
「KOREA MOVIE」 コリア・ムービーVol.3
TJムック「大好き!韓国スターNews」
韓国ドラマ&シネマFAN Vol.2 バイリンガル韓国スター芸能
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2005年07月04日

映画『電車男』

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巷では大大評判の映画『電車男』をようやく観た。『電車男』がどんな話かということはもう説明の必要がないくらいネットの世界の人たちは知っていると思うけれど、その話の一部を簡単にちょっとおさらい。

電車男はたまたま電車の中で酔っ払いにからまれた女性を助ける。電車男はその若い女性に恋心を抱き、巨大ネット掲示板、2ちゃんねるにことの成り行きを書き込む。その後、助けた女性から電車男の家宛てにエルメスのカップアンドソーサーが届く。それから、2ちゃんねるに書き込む人たちがそれぞれ電車男に恋愛のアドバイスをする。

電車の中にいた女性はエルメスのカップとソーサーを贈ったことから彼女はエルメスと呼ばれるようになる。この話では中谷美紀がエルメスを演じ、山田孝之は電車男に扮する。女性とは縁の少ないいわゆるオタク青年と高嶺の花、エルメスとの恋愛成就なるかどうかの物語。

映画では、『電車男』の世界が映像化されていてなかなかいい感じ。電車男の気持ちはエルメスに対してとても強いものがあるように描かれている。その一方、エルメスは受身的な態度なので電車男を気に入っているかどうかは一見よくわからない。

いいとこ育ちのお嬢さんっぽいエルメスが実際には妄信的に電車男を気に入っているところが不思議でしょうがないけれど(理由はそれなりに描かれているけど足りない気がする)、まっすぐな電車男がいいヤツだった。

でも、ちょっとしたトラブルですぐネットに頼る電車男はちょっと情けないかなあ。あー、でも、これを否定したら作品が成り立たない。2ちゃんねるなしでこの話は成り立たないのだ。

私がもし都会で毎日電車を利用する生活を送っていると『電車男』にもっと現実味を感じたかもしれない。都会で生きる人々にとっては身近な感覚がきっとあるのだろうと思う。私は毎日チャリ通なもんで……。

いいですねえ。あのように高嶺の花の女性と知り合い、そこから恋愛が生まれるようになるなんて。これこそ現代の都会で生きる自称もてない人たちへ向けたファンタジーだろう。

ところで、2ちゃんねる発祥の『電車男』はいろいろ物議をかもしている。電車男 - Wikipediaを読むとちょっと素直に物語に入り込みにくい自分がいる。メディア各社の謀略だったらかなりイヤだなあ。それにしても、ちょっと売れ過ぎ。この『電車男』ヒット現象そのもののほうが『電車男』の物語よりも劇的に感じる。(2005年6月18日広島宝塚で鑑賞)

監督:村上正典
原作:中野独人(電車男
脚本:金子ありさ
出演:山田孝之、中谷美紀、国仲涼子、瑛太、佐々木蔵之介
製作年度:2005年
製作国:日本
上映時間:101分

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