2005年06月20日

映画『大統領の理髪師』

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『大統領の理髪師』は、たまたま大統領のお膝元、孝子洞に住んでいた庶民的な理髪師、ハンモ(ソン・ガンホ)が大統領御用達理髪師となり、それからの抗えない運命を描いた韓国庶民の物語。

ソン・ガンホのユーモラスな演技とシリアスな演技の対比が見事に決まっています。生き生きとした庶民生活には笑いが溢れ、また、政府に翻弄され、ただ従うしかない悲しい庶民の姿が悲しくもある映画なのです。

理髪師ハンモは妻のミンジャ(ムン・ソリ)と息子のナガン(イ・ジェウン)と三人で平凡に暮らしていました。ところが、ハンモは、偶然にもパク大統領(チョ・ヨンジン)の専属理髪師となってしまいます。大統領は素直で素朴なハンモの人柄を気に入り、おおむね良好な関係をお互いに築きます。

ところが、北朝鮮のスパイが広げたというマルクス病騒ぎから事態は一変。下痢症状を呈する者は北朝鮮のスパイと関わっている疑いで拷問を受けることに。

1960年代から1970年代のパク大統領就任時代を中心に、韓国の激動の歴史が伝わってきます。庶民の立場で作られたこの映画には、ユーモラスな場面が多くあります。

そこで描かれるユーモアは、悲しみを和らげるためのユーモアのようでもあるし、悲しみを引き立てるためのユーモアのようでもあり、ちょっと複雑なユーモアです。

ソン・ガンホの芸達者な演技はもちろん、不遇な運命にあるナガンを演じるイ・ジェウンの演技も目を引きます。そして、政治というものについて深く考えさせられる作品です。

ちょっとネタバレしています。ご注意を!

この映画で全然知らなかった韓国の当時の歴史について断片的にでも知ることができ、なかなか興味深いものでした。

この映画でのパク大統領の描き方から推察すると、韓国の歴史上相当重要な人物のように思われましたが、朴正煕 - Wikipediaをみると確かにそのように思えます。独裁的だったけれど彼の治世を懐かしむ声は今もあるとのことです。

この映画での中心となる場面の一つがハンモの息子、ナガンの拷問シーン。ナガンも下痢症状を訴え、マルクス病の者として政府の電気拷問に遭ってしまうのです。

色とりどりの電球をピカピカさせて幻想的に描いていますが、政治のことを何も知らないナガンを襲う拷問がとても痛々しい。

そして、なんとか家に帰されたナガンを襲う次の悲劇がもう笑えない辛いものでした。電気ショックのせいで神経機能が弱まったのでしょうか。ナガンは歩けなくなってしまいます。政府に対してやり場のない怒りが起こる場面でした。

その後、漢方医をあちこち訪ねますが、少しもナガンの足は良くなりませんでした。そして数年後、10・26事件でパク大統領が射殺されてしまいます。

漢方医の言葉にハンモは従って、大統領の遺影の眼を必死の思いで削って、菊花茶に混ぜて息子に飲ませたのです。

やがて、何と言うことでしょう。ナガンは自分の足で立ち、再び歩き始めたのです。父と一緒に自転車で走るラストシーンに深い感動を覚えました。(2005年6月11日サロンシネマで鑑賞)

原題:효자동 이발사
監督:イム・チャンサン
脚本:イム・チャンサン
出演:ソン・ガンホ、ムン・ソリ、リュ・スンス、イ・ジェウン、ソ・ビョンホ
製作年度:2004年
製作国:韓国
上映時間:116分

映画『大統領の理髪師』のDVDや書籍の紹介

大統領の理髪師 DVD
ソン・ガンホ
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大統領の理髪師 文庫本
中村 祐介
大統領の理髪師 文庫本


By NOV at 2005年06月20日 07:48
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