2005年05月27日

映画『復讐者に憐れみを』

『復讐者に憐れみを』を上映している映画館は?
復讐者に憐れみを@映画生活
blogランキングへ

復讐者に憐れみを 『復讐者に憐れみを』は『JSA』、『オールドボーイ』のパク・チャヌク監督が描く復讐三部作の一つ。一切の妥協を許さない凄惨な映像が観客を圧倒する。脚本の凄まじさにソン・ガンホが出演依頼を二度断ったというこの作品で見せる渾身の演技に注目。

リュ(シン・ハギュン)は聴覚障害で聞くことも話すこともできない。リュは姉(イム・ジウン)に助けてもらいながら生きていたが、姉は腎臓病を患ったため、リュは美大への進学を諦めて工場で働いていた。リュは病院に自分自身の腎臓を姉に移植することを申し込んだものの、姉の身体にリュの腎臓は適合しないことが判明した。それから、たまたまトイレで臓器移植の広告をリュは見つける。腎臓移植をして姉を助けたい一心で闇の臓器密売組織と接触する。ところがリュは腎臓と1000万ウォンを騙し取られることとなってしまう。

『復讐者に憐れみを』はひょっとしたら悲惨な事件をただ並べただけの悪趣味な映画のように見えるかもしれない。臓器密売組織による腎臓搾取および詐欺、誘拐が起こり、その後も事件は起こる。事件の背景の描写が強引ながらも巧みなので、この世界で悲惨なできごとが起こる背景を現実的に感じることができる。そのためこの作品『復讐者に憐れみを』はそういった映画にはならずにすんでいる。

題名『復讐者に憐れみを』から想像できるように復讐者が登場する。実は一人ではなく何人かの復讐者が出てくるが、おそらく憐れみの対象となる復讐者はソン・ガンホ演じるパク社長だろう。
パク社長は真面目に生き苦学し社長になった人物だ。パク社長の愛娘は何者かに誘拐され、ある日、死体となって見つかる。警察に連絡せずに解決しようと用意した身代金2600万ウォンだけでなく娘の命まで奪われてしまう結果となる。
警察に頼らず誘拐事件を解決しようとしたパク社長は、その後自力で犯人探しをして私刑を行おうとする。その後の復讐劇でパク社長は迫真の演技を見せている。

また、もう一人の復讐者は姉の腎臓移植を切望していたリュ。しかし、リュは闇市場の臓器売買グループにはめられ、大金を奪われ、体内からは腎臓を摘出され奪われる。間の悪いことに、その後一文無しとなったリュには病院から姉に適合する腎臓が見つかったと連絡がある。途方に暮れるリュは、アナーキーな恋人ヨンミ(ペ.ドゥナ)の善意ある誘拐の言葉にそそのかされパク社長の娘の誘拐を実行し、パク社長から2600万ウォンを手に入れる。
そんな二人の復讐者だが、やがて共通の目的で近づくこととなる。その時の二人の運命に観客はただ黙ってスクリーンを見守るだけだ。

ここからはネタバレあります。ご注意を

『復讐者に憐れみを』では身体的に感じるような生々しく痛ましい場面がかなり多い。
パク社長の解雇した従業員が自分の腹部をカッターで切りつけ、そこから血液がたらりと滴り落ちる場面。パク社長の娘の司法解剖で死体の解剖に伴って発生する音にシンクロしてパク社長が悲痛な表情を見せる場面。リュが臓器密売組織のメンバーの頚動脈に凶器を刺し、血液を噴出させてしまう場面。パク社長に電気拷問を受けるヨンミが失禁する場面。自殺した姉の腐乱した顔に虫がわいている場面。川の中でパク社長がリュの両足のかかとをすぱっと切り、その裂け目がぱっくり開いている場面。そのいずれもが鮮烈であり、監督のごまかしのない表現意識を感じる。

生々しく痛ましい場面以外にも、監督のごまかしのない表現は見られる。リュとヨンミのベッドシーンもそういった場面の一つだろう。予想外のオールヌードのペ・ドゥナに少々当惑してしまったが、そのような演技をしたペ.ドゥナはプロ意識が高いのかもしれないし、あるいは映画製作時のペ.ドゥナとシン・ハギュンの関係が功を奏して実現されたのかもしれない。そこまでする必要があるのかないのかという議論もあるだろうが、私はこのシーンが他の惨たらしい一連の場面を引き立てるのに効果的だと考えている。

娘を亡くしたパク社長の変貌振りは恐ろしい。感情が徐々に破壊され冷徹な人物に変貌していく。その感情の破壊は二度ある司法解剖シーンに如実に表れている。
一度目の司法解剖で娘が解剖される場面では人間らしく表情を歪めるパク社長。二度目の司法解剖でリュの姉が解剖される場面では表情一つ変えず、あくびをしているパク社長。
また、司法解剖で人間の解体を見たことは後々リュを殺し解体する時にも役に立ったのかもしれない。

臓器移植の密売組織の人間を除いて、いずれの人物も表の世界で平穏に暮らしていた。ところが、良かれと思い行動したことが裏目に出て、それを取り取り繕おうとすればするほどさらに救いはなくなる。やがて意図せず命を落としていく者たちに観客は何を思うだろう。パク社長の言葉にならないような声の流れるエンドロール終了後、立ち上がると私はふらふらで全身疲労感で一杯だった。(2005年5月22日サロンシネマで鑑賞)

原題:복수는 나의 것
監督:パク・チャヌク
脚本:イ・ジョンヨン、パク・リダメ、イ・ムヨン
出演:ソン・ガンホ、シン・ハギュン、ぺ・ドゥナ、イム・ジウン、イ・デヨン
製作年度:2002年
製作国:韓国
上映時間:117分


映画『復讐者に憐れみを』のDVDと本の紹介

復讐者に憐れみを デラックス版 DVD
復讐者に憐れみを デラックス版

発売予定日は2005/07/22です。

復讐者に憐れみを 文庫本
パク チャヌク
復讐者に憐れみを

By NOV at 2005年05月27日 01:57
トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL:
http://eversmile.sakura.ne.jp/mt/mt-tb.cgi/30

コメント

ペ・ドゥナはは最近お気に入りなので、ぜひ観てみたいです。でももう映画館でやっていないので、ビデオになるのを気長に待つしかないかも。

Posted by よしえもん at 2005年06月15日 16:51

***よしえもんさんへ***

ベ・ドゥナはすんごい飛んじゃってる役をやってますよ。18禁映画の一端をしっかりと担っています。かなりハードな映画なので覚悟して観てください。
DVDは来月22日に発売なので、それまで待つしかないですね。

Posted by NOV at 2005年06月17日 00:54
コメントしてください




保存しますか?