2012年09月27日

映画『ブラック・ブレッド』

映画『ブラック・ブレッド』(原題 Pa Negre)はスペイン最高の映画賞であるゴヤ賞で、作品賞ほか計9部門で受賞したそうだ。スペイン内戦が終わったスペインのカタルーニャ地方で起きたある殺人事件を中心に物語は進んでいく。

あらすじ: 1940年代のカタルーニャ。11歳の少年アンドレウ(フランセスク・コロメール)は、森の奥深くで息絶える幼なじみとその父を目の当たりにする。そのとき、幼なじみが森の洞窟(どうくつ)に潜むとされる羽を持った怪物ピトルリウアの名を口にしたのを耳にする。やがて、警察は事件を殺人と断定し、アンドレウの父ファリオル(ロジェール・カサマジョール)を第一容疑者として挙げる。ファリオルが姿を消し、母親も働かねばならないことから、アンドレウは祖母の家に引き取られることに。そんなある日、森の中で怪物ピトルリウアのように全裸で走り回る青年と遭遇するが……。(シネマトゥデイより)

スペイン内戦については詳しく知らないけれども、以前観た映画『パンズ・ラビリンス』も時代背景がスペイン内戦だった。スペイン内戦はスペイン史上において非常に大きな出来事であったことが『パンズ・ラビリンス』を観た時嫌というほどわかった。そして、この映画『ブラック・ブレッド』においても辛い過酷な時代感がぎっしり。予感通り、見てはいけないものを見せられる作品だ。

そして、主人公である少年アンドレウも見たり聞いてはいけないものをいろいろと通過儀礼のごとく見たり聞いたりしてしまう。とりわけ大好きな父の重大な事実を知ってしまうことになるとき、翳りのない少年の時代は完全に終わるのだ。どうしようもない断絶感だけが残ったな。

登場人物が多く、外国人の名前なのでいろいろとややこしくて内容理解が正直難しかった(リピーター割引があるくらいだからね)。多分3割くらいは理解できなくて、帰ってからネット情報を見て映画の理解を深めた。

サロンシネマにて観賞

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2012年09月17日

映画『私が、生きる肌』

映画『私が、生きる肌』は、『オール・アバウト・マイ・マザー』『トーク・トゥ・ハー』『バッド・エデュケーション』などの作品で著名なペドロ・アルモドバル監督の作品だ。

あらすじ(シネマトゥデイより): 最愛の妻を亡くして以来、完ぺきな肌の開発研究に打ち込む天才形成外科医のロベル(アントニオ・バンデラス)。あらゆるモラルを打ち捨ててしまった彼は、ある人物を監禁して禁断の実験に取り掛かることに。それは開発中の人工皮膚を全身にくまなく移植して、被験者を亡き妻へと作り変えてしまうことだった。着々と妻の代役を創造させていくロベルだったが、思いも寄らぬ事態が起こってしまう。

こういう作品にはなかなか出会えない。偏執と狂気に満ちた医師が、何者かを妻に似せた形成外科を行うと聞いただけで怪しさ満点。音楽、演技、衣装どれをとっても見ごたえあり。

誰が被験者になって手術されたのかが中盤までの鑑賞者たちの最大の興味の一つであろう。その誰かがわかった時には、ただただ驚くばかり。亡くなった妻の姿にうり二つにされた被験者と天才外科医に訪れる運命はいかに、といったところか。

テアトル徳山にて観賞

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2007年10月21日

映画『パンズ・ラビリンス』

1944年のスペイン内戦で父を亡くし、独裁主義の恐ろしい大尉と再婚してしまった母と暮らすオフェリア(イバナ・バケロ)は、この恐ろしい義父から逃れたいと願うばかり自分の中に新しい世界を創り出す。オフェリアが屋敷の近くに不思議な迷宮を見つけ出して足を踏み入れると、迷宮の守護神が現われ彼女に危険な試練を与える。 (シネマトゥデイ)


この映画、パンズ・ラビリンスは、いろいろ高く評価を得ているようだし、ファンタジーとスペイン内戦の史実が交錯した内容に、どんな映画なのかと興味をかきたてられた。

そんなわけで、サロンシネマ1へ行った。サロンシネマ1は久しぶり。約二年ぶりに中へ入ったが、相変わらず独特の臭いがした。ちょっとカビくさいけど、なぜか懐かしい。

で、映画はスペイン内戦という史実的な場面とファンタジーであるパンズ・ラビリンスのを折り混ぜているためか、ファンタジーのみの物語よりもこの映画のファンタジーの部分は、妙に現実感があって不思議な感じがする。まるで本当に起きた出来事のように見えるのだ。

ファンタジー的な映画ではあるけれど、スペイン内戦を背景にしているので、容赦ない乱暴な場面が多々ある。思わず目を背けてしまう。大尉が自分で口を縫うシーンも本当に痛そうだった。PG-12も納得。

ファンタジーと悲しい現実が交錯しながら物語は進む。観客は、オフェリアに救いを!と思いながらスクリーンを前にする。絶望の中に人々がいる時、救いの手が伸びてくる訳でもない時の最後の希望を教えてくれた気がした。オフェリアは幸せになったのだろうか?そんな思いが劇場を出てしばらく続いた。合掌。


パンズ・ラビリンス オリジナル・サウンドトラック
サントラ
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2005年05月22日

映画『バッド・エデュケーション』

『バッド・エデュケーション』公式サイト
『バッド・エデュケーション』を上映している映画館は?
バッド・エデュケーション@映画生活

バッド・エデュケーション 『バッド・エデュケーション』は『オール・アバウト・マイ・マザー』、『トーク・トゥ・ハー』に続くスペイン映画界の巨匠、ペドロ・アルモドバル監督の最新監督作品。この『バッド・エデュケーション』はペドロ・アルモドバル監督の半自伝的作品と言われている。アルモドバル監督が10年以上の構想で製作されたというだけあり、十分に練られた脚本が見事に展開していく。最後にきっと愛や人生について深く考えてしまうだろう。

エンリケは若き映画監督。エンリケ(フェレ・マルティネス)が次回作の構想を練っている時、突然事務所を一人の男が訪れる。その男の名はイグナシオ(ガエル・ガルシア・ベルナル)。16年前に別れたきりの親友だ。劇団の俳優をしているというイグナシオは、エンリケに役者として雇って欲しいと懇願する。そして、イグナシオは映画の脚本『訪れ……』をエンリケに手渡す。その脚本にエンリケは強くに惹き付けられて行く。なぜなら、その脚本にはイグナシオと共に過ごした神学校の寄宿舎時代がそこにあった。しかし、エンリケはイグナシオが本当にイグナシオなのか確信を持てなかった。

この映画『バッド・エデュケーション』は男性の同性愛的内容を多く含んでいる。多くの日本人男性にとって生理的にそういったものは受け入れることができないだろう。また、それは同性愛指向の男性にとってヘテロセクシャルが受け入れられないのと多分同じようなことと思われる。

私自身同性愛指向はないので、正直これは気持ち悪いと思う場面もいくつかこの映画の中にはあった。そういう場面もある程度包み隠さず映像表現しているので同性愛の実際も垣間見たような気になれる。何も知らずにこの映画を鑑賞に行った場合、固まってしてしまう人がかなりいるかもしれない。

同性愛に関する内容が含まれてはいるものの映画としてとてもしっかり作られているので鑑賞に堪えられないということはなく、むしろ新鮮でインモラルで面白い作品だった。ペドロ・アルモドバル監督の作品はいつもちょっと危ない雰囲気が漂うのに落ち着いて観れてしまう。不思議だ。
最終的に明らかとなるイグナシオの衝撃の真実に驚いた。そのイグナシオの人生を方向付けたように描かれているマノロ神父(ダニエル・ヒメネス・カチョ)の執拗で嫉妬深い小児偏愛にも驚く。少年時代のイグナシオが歌うムーン・リバーがとても儚い。

ところで余談ですが、ガエル・ガルシア・ベルナル(通称ガエル君)は今回、女装をしたり同性愛のラブシーンをしたりとかなり大胆な役柄に挑戦。彼のヌードが見られるので女性としては生唾ゴックンって感じかも。パンツ一枚で泳ぐお宝映像もあったりします。観客に女性が多かったのも納得。(2005年5月20日サロンシネマの最終上映日に鑑賞)

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原題:La Mala educación
監督:ペドロ・アルモドバル
脚本:ペドロ・アルモドバル
音楽:アルベルト・イグレシアス
出演:ガエル・ガルシア・ベルナル、フェレ・マルティネス、ハヴィエル・カマラ、 ルイス・オマール、ダニエル・ヒメネス・カチョ
製作年度:2004年
製作国:スペイン
上映時間:105分

映画『バッド・エデュケーション』の関連本やサウンドトラック

バッド・エデュケーション 文庫本
ペドロ・アルモドバル
バッド・エデュケーション
巨匠ペドロ・アルモドバルの半自叙伝。

「バッド・エデュケーション」オリジナル・サウンドトラック
サントラ サラ・モンティエル ヴィヴァルディ・イプシ・カタルーニャ少年合唱団
「バッド・エデュケーション」オリジナル・サウンドトラック

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2005年05月06日

映画『海を飛ぶ夢』

『海を飛ぶ夢』公式サイト
『海を飛ぶ夢』を上映している映画館は?
アレハンドロ・アメナーバル『海を飛ぶ夢』独占インタビュー - FLiXムービーサイト

映画『海を飛ぶ夢』を見ました。実在した人物、ラモン・サンペドロが前向きに死ぬ権利を勝ち取ろうとする話です。この作品『海を飛ぶ夢』は第77回(2005年)アカデミー賞外国語映画賞を受賞。最近は伝記映画にアカデミー賞が贈られることが多いと聞きます。もしかしたら『海を飛ぶ夢』もその一連の流れ中にあるのかもしれませんが、『海を飛ぶ夢』がそのような流れの中で単純に選ばれた映画ではないと思います。アレハンドロ・アメナバール監督が見事にラモンの人生を描いています。生きることの意味を深く観客に突きつける映画です。また、主演のハビエル・バルデムの表現力豊かな演技が素晴らしい。人生とは?、命は誰のもの?、様々な答えの無い問いがそこにある。

ラモン(ハビエル・バルデム)は25歳の時に引き潮の海へ飛び込んだために頚椎損傷する。四肢麻痺となりラモンが船員だった時代の自由な時間は過去のものとなってしまった。それ以来ラモンは家族の手厚い看護で生活していた。しかし、事故から26年後、ラモンはそのような人生を自由に楽しめない生き方に疑問を感じ、自ら命を絶つことを希望するようになる。ラモンは人権支援団体や弁護士の力を得て合法的に命を絶つことを可能にしようと活動する。

四肢麻痺のラモンの周りには多くの人がいます。兄、義姉、父や甥など、ラモンの家族、ラモンを支援する弁護士フリア(ベレン・ルエダ)や人権支援団体のメンバーのジュネ(クララ・セグラ)、テレビでラモンのドキュメンタリー番組を見て勇気付けられたロサ(ロラ・ドゥエニャス)。彼らとラモンとの交流を見ていると、本当はラモンは人生を楽しんでいるのではないかという錯覚を感じます。とても死を望んでいるようには思えなかったりします。とても妙な違和感を感じました。なかなかこういった感覚を覚える映画はないと思います。

この先少しネタバレ含みます。

単純に言えば、ラモンはとにかく命を断ち、人生を終わらせたかったのでしょう。明日も生きることを望んでいる死に直面した人とは対極の位置にあったラモン。「人はいつか死ぬのだからそんなに死に急がなくても」と私は思うのですが、死を自ら決定するということがきっとラモンに残された唯一の本当の自由だったのでしょう。

しかし、家族の側に立つとそれはとても悲しく思えます。特にラモンが青酸カリウム水溶液を飲む前の言葉「今まで生きてきて楽しいことなんて何も無かった」は家族にとって悲しいメッセージです。わざと挑発的なメッセージを投げることによって、ラモンは世間にいろいろと問いたかったのかもしれません。亡くなる前の期間、ラモンは恋愛を楽しんでいたように見えただけに「今まで生きてきて楽しいことなんて何も無かった」の言葉は衝撃的でした。

ところで、この映画は尊厳死がテーマと言われていますが、尊厳死とは少し違うような気がしました。このことに関して専門家ではないのではもしかしたら見当違いかもしれませんが、私が認識していた尊厳死は該当患者が不治の病であり、死期が迫っていて、延命治療をしないと生存できない状態となった場合それを行わずに該当患者が死を選択することと捉えていました。

ラモンの場合、四肢麻痺なので不治の病には当てはまりますが、死期が迫っているとまでは言えません。また、一般的に延命治療と呼ばれるものは行われておらず、看護あるいは介護を受けている状態でした。その考えで行くと、ラモンはどちらかと言うと積極的な安楽死を求めていたような気がします。(2005年4月23日TOHOシネマズ緑井で鑑賞)

海を飛ぶ夢@映画生活にもレビュー・批評・感想があります。
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監督:アレハンドロ・アメナバール
脚本:アレハンドロ・アメナバール、マテオ・ヒル
音楽:アレハンドロ・アメナバール
出演:ハビエル・バルデム、ベレン・ルエダ、ロラ・ドゥエニャス、クララ・セグラ、マベル・リベラ
製作年度:2004年
製作国:スペイン
上映時間:125分

映画『海を飛ぶ夢』の本やサウンドトラックあります

海を飛ぶ夢 本
ラモン・サンペドロ
海を飛ぶ夢
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海を飛ぶ夢 オリジナルサウンドトラック
サントラ
海を飛ぶ夢  オリジナルサウンドトラック

By NOV at 07:18 | Comments [4] | Trackbacks [21]