2005年08月30日

映画『恋する神父』

日本での題名は『恋する神父』ですが、実際は、「恋する神学生」といったところでしょうか。この映画ではクォン・サンウが神学生のギュシク役に挑みます。ちなみに原題の신부수업(シンブスオブ)が意味するところは神父(新婦)授業だとか。新婦と神父が同音意義なところがポイントのようです。そのため、例の映画ポスターは神学生のクォン・サンウとキュートな花嫁姿のハ・ジウォンが写っているわけです。
・参考:http://abbiemay.exblog.jp/3044136/
welcome to abbie may's cafe

ギュシクは1カ月後に聖職授任式を控えていた。そんな頃にアメリカ帰りの若い娘ボンヒ(ハ・ジウォン)と出会い、気付いたらお互い恋に落ちていたというような話です。しかし神父となる者は生涯独身を貫かなければならず、女性と恋愛などということはとても考えられません。そんな彼は罪の意識を背負い思い悩む。

特に驚くようなストーリーではないけれど、実際にこの映画を神学生が観たらどうなんだろう。その世界の人たちから見ればこの話はとても驚くような内容なのかもしれないなあって少しばかり思った。

これまで映画では不良じみた役柄の多い気がするクォン・サンウですが、今回の神学生役もなかなか似合っていたと思います。信仰に生きる青年の純粋さがよく出ていました。

バンヒ役のハ・ジウォン。ちょっとお転婆なキャラですが、だんだんとかわいさがアップしていくんですね。彼女のキュートさにはっとさせられました。まるで自分自身が神学生ギュシクになった気分。でも、しゃべりというか声の調子なんかはキム・ハヌルっぽいなあ……。

ギュシクの持っているロケットペンダントが展開上ちょっと重要なアイテムになっています。みなさんもああいうふうにロケットペンダントを使ってみてはいかがでしょうか。もうひとつのアイテムというか、まあ、これはセリフなんですが、「デオ・グラシアス」という語も重要でしたね。ところで、ボンヒの付き合っている男性や彼のもうひとりの彼女の描き方がちょっと浅いかなと思いました。

神学生の生活風景や教会の様子はこだわりを持って製作されているようです。恥ずかしながら最近牧師と神父の違いがわかった私にとって目新しいものでした。

この映画の結末に関していろいろな意見があると思うけれど、僕はなんだか受け入れがたい気持ちと、それでいいんだよという気持ち、両方混ざって何だかすっきりしない気分になってしまいました。一時の気持ちが長年の人生設計をスポイルしてしまうかもしれないという場面は誰にでもあると思います。僕の感じたこういう不快感は妙に現実的でした。

お気に入り度:★★★★★★☆☆☆☆(6/10)

『恋する神父』公式サイト
『恋する神父』を上映している映画館は?
恋する神父@映画生活
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原題:신부수업
監督:ホ・インム
脚本:ユン・ウンギョン、ホ・インム
音楽:スルヴィアン
出演:クォン・サンウ、ハ・ジウォン、キム・イングォン、キム・インムン、キム・ソンファ
製作年度:2004年
製作国:韓国
上映時間:108分


映画『恋する神父』の関連商品の紹介

「恋する神父」オリジナル・サウンドトラック
サントラ
♪この音楽お掃除の時にどう?
なんとこのサントラには映画名場面集クリップ映像DVDが付いているそうです。
「恋する神父」オリジナル・サウンドトラック

韓国盤のオリジナルサウンドトラックもあります。
韓国盤にはDVDは付いていません。


By NOV at 23:55 | Comments [0] | Trackbacks [2]

2005年08月24日

映画『マルチュク青春通り』

TVドラマ『天国の階段』有名な人気俳優クォン・サンウの主演映画。そういうわけなのか観客は9割方が女性でした。映画そのものは450万人もの観客を本国では動員したというだけあってなかなか本格的な青春活劇です。

当時を生きた監督の反省的な姿勢がこの映画には反映しているという。ナイーブな少年だった監督は、高校時代怖いもの知らずでマッチョな男になった。しかしそれが本当の男ということなのかという疑問が映画製作の動機の一つになったようだ。また当時軍事政権下にあった教育体制に対する批判も込められている。


この物語の主役はクォン・サンウ演じる高校二年生のヒョンス。1978年、母が地価高騰を見込み新しい家に引っ越しをしてから、ヒョンスはマルチュク通りの近くにある男子校に転校することになる。そこはガラの悪い生徒ばかりの実に荒れた学校。教師は威圧的で、生徒への苛烈な体罰は日常茶飯事だった。

ブルース・リーに憧れる内気なヒョンスはそんな過酷な環境の中でも、友達を見つけたり、恋をしたり、ケンカをしたりと彼なりの青春を送るのだ。


僕はこの映画を観て、この高校って凄くコワイなあって思った。みんなマジで殴ったり蹴ったりで凄いケンカをする。また、軍事政権下の当時、教師の方は強権的で事あるごとにいきなり暴力を生徒に加える。「韓国の教育、クソくらえ」に相応しい教師ばかりだ。こんな高校では亀田兄弟くらいウデに覚えがないと生きていけそうにない。

ストーリーの線としては、学校内の生徒の権力抗争とヒョンスの恋愛がメインかな。ヒョンスは友達がまだいないころバスケットボールを上手くキメてウシク(イ・ジョンジン)と仲良くなる。彼は校内での一勢力のボスであり、風紀委員のジョンフンと勢力を争っていた。また、ヒョンスはバスの中で美少女に一目惚れをする。その相手は高校三年生のウンジュ(ハン・ガイン)だ。しかしウンジュはウシクと付き合い始めてしまう。

決して戻ることのできない懐かしくて思い出すと恥ずかしいような時代がある人ならなんか共感するものはあるんじゃないのかなあ。要領よく青春時代をくぐり抜けたような人はそうでもないかもしれない。僕はあんまり器用に生きたほうじゃないから主人公のヒョンスの気持ちはなんかわかるなあ。あんなに荒れた高校でもなかったしあそこまで暴力的な先生はいなかったけど。この時代はマッチョでなくても強がっていないと生きていけそうにない。

ヒョンスがウンジュを連れて逃げるところがいい。ああいうのに青春のエッセンスが凝縮されていると言ってもいいかな。ケンカはかなり派手にやってくれるので、かなりの見どころでもあるけどそういうのがイヤな人には見たくない場面かもしれない。また、当時の韓国の若者文化を垣間見ることができるのも面白い。エンディングは時代の流れを感じさせる。過ぎ去った時間を懐かしむような余韻に浸りながら劇場を後にした。

お気に入り度:★★★★★★★☆☆☆(7/10)

『マルチュク青春通り』公式サイト
『マルチュク青春通り』を上映している映画館は?
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原題:말죽거리 잔혹사
監督:ユ・ハ
脚本:ユ・ハ
音楽:キム・ジュンソク
出演:クォン・サンウ、イ・ジョンジン、ハン・ガイン、イ・ジョンヒョク、パク・ヒョジュン
製作年度:2004年
製作国:韓国
上映時間:118分


サウンドトラックあります

マルチュク青春通り オリジナル・サウンドトラック
心を癒してくれるような懐かしいギターサウンド、あのころの行き場のない気持ちを表現したようなラップ、そしてクォン・サンウのソロも入っています。
マルチュク青春通り オリジナル・サウンドトラック


By NOV at 08:34 | Comments [0] | Trackbacks [6]

2005年08月11日

映画『受取人不明』

『受取人不明』は、キム・ギドク監督の作品。最近のキム・ギドク監督の作品では『サマリア』が有名。1970年代、米軍が駐留する村に住む混血児とその母、若者たちを中心に村の人たちの人間模様を鮮烈に描く。


少女ウノク(パン・ミンジョン)は、幼少時、兄に右眼を傷つけられた容貌にコンプレックスを持っている。愛犬だけが唯一の心を開く相手だ。
混血児チャングク(ヤン・ドングン)は、村人とトラブルを起こす母親を足蹴にして、黒人米兵と韓国人との間に生まれた自分自身のアイデンティティに苦悩する。犬肉解体卸業を営む男(チョ・ジェヒョン)の元で気が進まない仕事を手伝う。
ジフム(キム・ヨンミン)は経済的理由で学校に行けず肖像画専門店で働くが、学校に通う悪ガキ二人組からはしょっちゅうイジメられている。ウノクに想いを寄せるが右眼が傷ついているウノクは心を開こうとしない。

ウノクの母(イ・イノク)は、朝鮮戦争で亡くなった夫の年金を頼りに生活している。
チャングクの母(パン・ウンジン)は村の外れにあるバスに住み村人たちと距離を置き、受取人不明で戻ってきた手紙を黒人米兵宛てに再び差し出す。出会った村人とは英語で会話をする。
ジフムの父(ミョン・ゲナム)は朝鮮戦争で右足を負傷し月30000ウォンの年金を頼りにして生活している。
犬肉解体卸業を営む男はチャングクの母を愛している。彼女に暴力を振るうチャングクを許せず仕返しをするものの彼女にそのことを逆に責められる。
異国での軍隊生活に堪えられない米軍兵のジェームズ(ミッチー・マローム)はウノクに近づき眼の治療を提案する。


キム・ギドク作品を観る時はいつも心の痛みを伴う。そして何かを見せ付けられハッとすることが多い。もちろんこの作品もそうだ。解決しがたい問題を抱えて傷ついた村人たちの暮らしぶりが描かれるこの映画には、見事な場面の数々が精密機械のようにびっしりと詰め込まれている。

若者が中心となる展開していくが、最終的に明るい展望が開けるという映画では決してない。どちらかというとかなり悲劇的だ。とりわけ犬肉業者やチャングクの母とチャングクに訪れる運命の悲惨さといったら見るに堪えない。朝鮮戦争や米軍の存在が背景となって悲劇が生まれたかのように描かれている。

多くの人が朝鮮戦争で直接的あるいは間接的に傷付いた人たちだ。しかしジフムをいじめる悪ガキ二人組はやや異質だ。彼らは朝鮮戦争の影響で駐留している米軍駐屯地の米兵からポルノグラフを買ったりジフムに英語で話しかけてからかったりするアメリカかぶれの韓国人として描かれている。彼らの存在は韓国内に駐留する米軍を利用するものの象徴だろう。

映画には犬が登場する。ウノクやジフンは犬を可愛がる。一方、犬肉で商売をする男は犬を撲る。実際に撲る場面は映像にはないものの、音だけでまるで本当に犬を撲っているかのように思わせられる。韓国の犬肉産業の一面が伺える。

韓国内に米軍はいらないという政治的メッセージを含んでいるかのような作品である。とりわけチャングクがアメリカかぶれの二人組に対して「お前たちみたいなアメリカかぶれが韓国をダメにする」と言うところに監督の意識が表れているように感じた。朝鮮戦争がなければ確かに彼らには違う運命があっただろう。しかし、村人は無関係といわんばかりに米軍機は空を飛ぶのだ。

お気に入り度:★★★★★★★★☆☆(8/10)

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原題:수취인불명
監督:キム・ギドク
脚本:キム・ギドク
音楽:パク・ホジュン
出演:ヤン・ドングン、パン・ミンジョン、キム・ヨンミン、チョ・ジェヒョン、パン・ウンジン
製作年度:2001年
製作国:韓国
上映時間:119分


By NOV at 18:11 | Comments [0] | Trackbacks [1]

2005年08月01日

映画『コースト・ガード』

「韓流シネマ・フェスティバル2005」なるものがサロンシネマで行なわれている。その中の上映作品に『コースト・ガード』という作品があった。

『コースト・ガード』はキム・ギドク監督の作品。僕は『サマリア』が初キム・ギドク作品鑑賞だったけれど、妙な余韻の残る不思議な作品だった。自分の脳の使われていない感情領域が刺激されるような感じがした。

その後、『悪い女 青い門』という映画もDVDで観た。この映画の主役はちっとも悪い女ではなかった。もっともこれは邦題が良くないんだけど。(原題では悪い女を意味する語は入っていないそうな。)この映画も妙で不思議な余韻が残る作品だった。特にラストは「あれれれ?」な展開を見せる。他にもいろいろな作品をこの監督は撮っているんだけど、彼は常にセンセーショナルな作品を世に送り出すことで有名な監督の一人だ。そういうわけで『コースト・ガード』を観ることにした。

『コースト・ガード』には韓流四天王の一人チャン・ドンゴンが主演で登場している。チャン・ドンゴンはキム・ギドク監督の才能に惚れ込み破格の安いギャラで出演したとか。チャン・ドンゴンは湾岸警備隊のカン上等兵を演じている。

湾岸警備の兵隊の任務は北朝鮮スパイの侵入を監視すること。兵役中のカン上等兵はスパイを捕まえる気満々で日々任務に着いていた。

カン上等兵が湾岸警備中、怪しい人影を発見し北朝鮮のスパイと思い銃撃した。しかしその男は村の民間人ヨンギルだったという痛ましい事件が起こる。恋人のミア(パク・チア)に誘われヨンギル(チェ・ヒヨン)は一緒に夜間進入禁止区域に入り、そこで情事を繰り広げていたところその事件は起きてしまった。

カン上等兵がスパイだと思った人物を凄まじい勢いでこれでもかと言わんばかりに殺してしまうシーンの凄惨さは目も当てられない。ヨンギルは背中に何発も銃弾を浴びせられ手榴弾でバラバラにされるのだ。身の毛がよだつ恐ろしいシーンだった。

情事の最中、目の前で恋人を殺されたミア、そして意図せず民間人を殺めてしまったカン上等兵。取り返しの付かない事件が二人の精神状態を狂わせる。

殺された男の恋人ミアと加害者のカン上等兵の変貌ぶりがこの映画の核だ。おおよそ人の理解を超えた変貌振りを彼ら二人は見せる。カン上等兵は隊員に暴力を振るったり、物を盗んだりする。また、ミアは魚をおもちゃにして遊んだり、髪の毛を包丁で叩き切ったり、湾岸警備隊の隊員と体の関係を持ったりする。

カン上等兵はどうして除隊されたのに湾岸警備隊に戻ろうとしたのだろう。殺人を犯す前の日々に戻りたかったのだろうか。そして部隊に戻ることを許されないカン上等兵は次第に狂気のエネルギーを逆恨み的に湾岸警備隊員に向けるようになる。

ミアはどうして湾岸警備隊員の何人かと肉体関係を持つのだろう。彼らを恋人と思い込んでの行動だろうか。それほどまで精神状態が変わってしまったことがとても痛ましい。そしてミアはさらに自分自身を痛めつけることになってしまう。

この映画にはおそらく何も救いはなく、『サマリア』や『悪い女 青い門』のラストで感じることができるほのかなやさしさは微塵もない。被害者だけでなく意図せず加害者になった人の壮絶なドラマが描かれている。そしてやはりラストは意表を付く展開が待っている。

それにしてもキム・ギドク監督は水をつかった場面が好きなようで。服着たままシャワーを浴びる場面がこの映画でも見られた。おお、この場面『サマリア』でも見たなと思ったよ。あと、あの鉄条網のリングのボクシング。見ているだけで痛いです。

お気に入り度:★★★★★★★☆☆☆(7/10)

監督:キム・ギドク
脚本:キム・ギドク
音楽:チャン・ヨンギュ
出演:チャン・ドンゴン、キム・ジョンハク、パク・チア、ユ・ヘジン、キム・テウ
製作年度:2001年
製作国:韓国
上映時間:94分


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2005年07月18日

映画『彼女を信じないでください』

映画『彼女を信じないでください』は、キム・ハヌル主演の奇妙なラブコメディ。刑務所を出所したばかりの女詐欺師、ヨンジュ(キム・ハヌル)は、素朴で真面目な薬剤師、ヒチョル(カン・ドンウォン)を痴漢と間違え大騒ぎ。車内でしばらくすると、ヒチョルは恋人へのプロポーズに用意した指輪を見知らぬ男に掏(す)られてしまう。列車を降り、ヨンジュはその指輪を見事に取り戻したが、姉への結婚祝いの贈り物の雁の木工芸品が入ったカバンを列車に置き去りにしてしまう。大切なカバンを探しにヨンジュは、ヨンガンにあるヒチョルの家を訪ねる。ヨンジュはなぜかヒチョルの恋人のふりをしてしまうことになる。

主演女優のキム・ハヌル。刑務所を出所したばかりの女詐欺師役の演技が冴え渡ります。ヨンジュはヒチョルの恋人ではないのに、ヒチョルの親戚一同に恋人のフリをしてしまう一連の流れが面白い。特に、あの病院でのエピソードは抱腹絶倒ものでした。そして、ヨンジュはヒチョルの婚約者として受け入れられてしまいます。
一方、ヨンジュがヒチョルの婚約者という扱いを受けていることにヒチョルは驚きます。ヒチョルは必死でヨンジュの言うことを否定するのに、家族は誰一人信じてくれません。信じてくれないばかりか、ケダモノ扱いまで受けることに。

この作品は、キム・ハヌルとカン・ドンウォンのラブコメディということではありますが、ちょっとひねりが利いています。カン・ドンウォン演じるヒチョルにはチェウン(ナム・サンミ)というプロポーズをしようとした恋人がすでにいることです。一体、この辺をどうクリアして、刑務所を出所したばかりのヨンジュと純朴な青年ヒチョルとのありえないカップルがどうでき上がるのかが見物でしたが、とても上手く構成されていたと思います。
そして、単なる二人のラブコメディの枠に収まらず、田舎の地縁や血縁、ヨンジュの姉の結婚などでストーリーにいい具合に幅をもたせています。私にとって意外にも面白くそしてちょっぴり感動できるラブコメディでした。
Mr.唐辛子にはなりたくないなあ……。あれは本当に辛そうだ。
(2005年7月15日サロンシネマで鑑賞)

お気に入り度:★★★★★★★☆☆☆(7/10)

『彼女を信じないでください』公式サイト
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監督:ペ・ヒョンジュン
脚本:チェ・ヒデ 、パク・ヨンソン
音楽:チョ・ヨンウク
出演:カン・ドンウォン、キム・ハヌル、ソン・ジェホ、キム・ジヨン、イ・ヨンウン
製作年度:2004年
製作国::韓国
上映時間:115分


映画『彼女を信じないでください』関連商品

彼女を信じないでください サントラ
デラ・リーズ キム・ハヌル
このサントラ、アマゾンカスタマーレビューによると、劇中カン・ドンウォンが歌う『Aubrey』も収録されています。残念ながら、Mr.唐辛子の大会の時の曲は入っていないようです。
彼女を信じないでください  サントラ

彼女を信じないでください 文庫本
入間 真
彼女を信じないでください 文庫本


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2005年07月10日

映画『サマリア』

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『サマリア』は、援助交際をする女子高生を主題にした物語。この物語は三部構成になっている。

第一章は「バスミルダ」。バスミルダとはインドの伝説の娼婦の名。バスミルダと寝た男は仏教を信仰するようになったという。
ふたりの女子高生、チェヨン(ソ・ミンジョン)とヨジン(クァク・チミン)は親友同士。チェヨンは天真爛漫な笑顔で、自分をインドの伝説の娼婦バスミルダと呼ぶ。父ヨンギ(イ・オル)と二人暮しのヨジンは、ためらいなく援助交際をするチェヨンの見張り役や稼いだ金銭の管理をする。いつかふたりでヨーロッパ旅行にいくことを夢見て貯金をする。
ところがある日、悲劇は訪れる。いつものようにヨジンは、チェヨンが客の相手をしているホテルの監視をしていたが、目を離した隙に警察はチェヨンの部屋に捜査突入。警察の手を逃れたいチェヨンは、ホテルの窓から身を乗り出し飛び降りる。

第二章は「サマリア」。この章は、聖書に登場する「サマリアの女」を題材にしているという。
チェヨンは飛び降りた後この世を去ってしまった。ヨジンはチェヨンに対して罪の意識を背負っていた。そして贖罪の為にヨジンは、チェヨンが援助交際した相手を呼び出し、その男たちとセックスしてお金を返していく。
男を汚らわしいと思っていたころが嘘のように、次から次へと男を相手にし、お金を返していくヨジン。しかし、刑事として勤務中のヨジンの父は、娘がホテルで男と一緒にいるところを目撃してしまう。

第三章は「ソナタ」。これは韓国でもっとも大衆的な乗用車「ソナタ」にちなんでいるとか。
娘の不道徳な場面を見た父は娘の行為を妨害する。父は妨害を繰り返すうちに社会常識を逸脱した行為をエスカレートさせていくこととなった。そして、ヨジンは父と一緒に車で旅に出発する。

『サマリア』を製作したキム・ギドク監督は、『魚と寝る女』や『悪い男』といったセンセーショナルな作品を世に送り出しているという人である。今作でも援助交際という不道徳なテーマで話題を喚起した。
ヨーロッパ旅行を夢見る親しいふたりの女子高生、本能的でどうしようもない男たち、社会の枠からはみ出してしまう父親の姿を通して見えてくるものは何か? 世の中に潜む悲痛な叫びが私たちの胸を鋭くえぐる衝撃の作品。本作はペルリン国際峡画祭で、銀熊賞(監督賞)を受賞したキム・ギドク監督の作品。一見の価値ありです。

この先、ネタバレをしている可能性があります。ご注意を。

第一章ではふたりの親友模様が描かれています。「ソンユド公園」でふたりが駆り遊んでいる場面、今しかないふたりの儚い時の流れを感じさせる詩的情緒が漂っています。

援助交際をためらい無く満面の笑顔でやるチェヨン。彼女の行う行為は一般には不純な行為というけれども、彼女のその行為は不思議なことに不純のかけらは微塵もなく、むしろ純粋で清らかな行為にさえ思えてしまう。そのギャップは私を当惑させます。援助交際は善なのか、それとも悪なのか、私はとても混乱してしまいました。

チェヨンの親友ヨジンは、チェヨンとは異なり援助交際で知らない男と寝ることは汚らわしいことと考えていました。ヨジンは、チェヨンが他の男と寝ることを嫉んでいるかのようにも見えます。チェヨンとヨジンのふたりの世界はやがてチェヨンの死で失われるのです。

第二章「サマリア」では、ヨジンはチェヨンに対する罪の意識を背負うことになります。ヨジンにとって、チェヨンに命を絶たせてしまった罪を悔い改める行為は、チェヨンが相手した男と連絡しセックスをしてお金を返すことでした。このことに対してもまた私はとても驚きました。どうしてそれが贖罪行為になるのかちょっとひねりが利きすぎていてすぐには理解できなかったような気がします。

ヨジンが贖罪行為を繰り返していきます。ヨジンはチェヨンが行ったことと同じ行為を男たちに与えていきます。違うのはお金を男に返すところだけです。
この行為を通じてヨジンはチェヨンに近づきながら、やがて同化していく様子がわかります。かつては男を汚らわしく思っていたヨジンですが、少しずつチェヨンのように男と寝ることを楽しんでいるようでもありました。そして、私は、ヨジンの精神が解放され救われていく様子に安堵感を覚えました。このころには、ヨジンのこの行為をなんだか理解できるようになってきました。

第三章では、娘の不純な行為を見つけた父親が、どうしようもない怒りの感情にまかせ、娘と関わった男たちを妨害したり傷害を加えたり、時には殺めてしまいます。娘の不純な行為を目撃した父親ですが、彼は一切娘には注意できません。世の中の道徳のラインが非常に曖昧なところを如実に表わしているのかもしれません。なぜなら、援助交際が絶対的な悪であるなら父親は娘を厳しく注意できると思うからです。

男たちに狂気なエネルギーで制裁を加えた父親はやがて決心をして娘ヨジンと旅に出ます。
旅で立ち寄ったヨジンの母の墓参りのあと、自動車は坂道の途中石に進路を妨害され、父親は運転を諦めて休憩します。一方、チェヨンは車の邪魔をしている石を取り除きます。この場面には、それぞれの人生に対する心理状態が反映されているように感じました。もう進めないなあという諦めの心理と、何かがあっても前へ進むという前向きな気持ちです。

旅の途中、ヨジンは父親の前で泣き叫ぶ場面があります。娘に対して父親は何も言いません。ヨジンは、ヨジン自身が行った贖罪行為を父親が気付いたことを確信したのでしょう。チェヨンに対する贖罪はできても父親に対しては罪の意識をきっと感じたのだろうと思います。救いを求めて行った行為が一方では絶望的な行為になってしまうのです。非常に心苦しい場面でした。

ラストは、まさか、ヨジンが父親に殺されて本当に終わるのかと思ったら、それはヨジンが車の中で見た夢でした。その夢からも、父親に対する罪の意識の自覚が伺えます。
不快な夢から覚めたヨジンは、父親から強引に自動車の運転を教えられます。そして、父親は警察に連絡しそれまでの犯罪を告げるのです。
しばらくしてヨジンと父親のいる川原へ警察がきます。父親は警察に連行されます。「これからは一人で生きるんだ」とヨジンに言い残して。
ヨジンは覚えたばかりの自動車運転技術で父親を連行する車を追いかけます。まだ危なっかしい車は父を追い駆けます、ぬかるみにはまっても必死でヨジンは父親を追い駆けようとしますが、父親の乗せられた車にはもう追いつけません。こうして父親と娘の旅は終点を迎えるのです。この最後の父を追い駆ける場面が、この先のヨジンの人生をいろいろと暗示していることはいうまでもありません。

『サマリア』を観て、当惑させられ、心の一部を剥がされ、そこの空間に何かを注入されてしまいそう感覚を覚えました。このような作品を製作できるキム・ギドク監督は稀有な才能の持ち主であることは間違いないと思いました。信じられないほどの狂気の父親を演じたイ・オルの演技も迫真でした。体当たりの演技で女子高生を演じた、クァク・チミン、ハン・ヨルム(サマリア撮影後、ソ・ミンジョンより改名したそうです。)の今後も期待ですね。(2005年6月25日サロンシネマで鑑賞)

お気に入り度:★★★★★★★★★☆(9/10)

原題:사마리아
監督:キム・ギドク
脚本:キム・ギドク
音楽:パク・ジウン
出演:クァク・チミン、ソ・ミンジョン、イ・オル、クォン・ヒョンミン、オ・ヨン
製作年度:2004年
製作国:韓国
上映時間:95分

映画『サマリア』の関連商品の紹介

サマリア DVD
クァク・チミン キム・ギドク ハン・ヨルム イ・オル
サマリア DVD

サマリアの少女 単行本
映画『サマリア』のノベライズ本あります。
サマリアの少女

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2005年07月05日

映画『マイ・ブラザー』

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『マイ・ブラザー』はウォンビンとシン・ハギュンが共演する兄弟と母の人間関係を描いたドラマ。ウォンビンは明るくケンカが得意で破天荒な弟役を、そして、口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)の状態で生まれたシン・ハギュンはちょっと内気で繊細で秀才な兄役を演じる。そんなふたりの絆と母の情愛たっぷりの世界に感動せずにはいられない。

弟ジョンヒョン(ウォンビン)は、ケンカばかりして周りにいつも迷惑をかけている。同じ学年の兄ソンヒョン(シン・ハギュン)は、弟とは違い学業優秀で、母親(キム・ヘスク)にとても可愛がられている。弟は周囲の期待を受ける兄をうらやましく思っている。いつもいつも弟は、ケンカを繰り返し母に叱られる日々を送っていた。
ふたりがお互いに女子高生のミリョンを好きになってしまった高校時代もやがて終わりを告げ、兄はソウル大学の医学部へ進学、弟は予備校通いとなる。ある日のこと、母親は食堂を始めようと思い不動産会社と物件の契約を交わしたが、母親の希望を覆す事件が発生する。

『マイ・ブラザー』の試写会に運良く当ったのでシネツイン2へ試写会でこの作品を観に行かせていただきました。ところで、試写会の参加者は私を含めて男は3人ほどしかいなかったから、なんだか落ち着きませんでした。本当、驚くほど女性ばかりの試写会でした。ちょっと肩身の狭い思いがしました。

私は五人兄弟の真ん中で、兄が2人、あとは妹と弟がいます。そういうわけで、僕にはたくさんブラザーがいます。そのせいでしょうか、この映画は私にとって結構泣けてしまったお話です。全然映画に出てくるふたりのような兄弟関係ではないのですが、幼いころのケンカや遊んだ時のことを思い出したりして不思議なほど涙もろくなりました。

それにしても、男兄弟をテーマに映画を作る発想は韓国ならではといったところでしょうか。日本はこういう男くさくちょっとマザコン気がないともいえない映画は生み出されない土壌のような気がします。

今秋、兵役による約2年の活動停止となるウォンビンは、見事に母ちゃんには甘ったれで、外では弟なのに実にいい兄貴っぷりを見せて素晴らしい演技をしています。母親役のキム・ヘスクも韓国らしいオモニ(に私には思える)になりきっています。弟役のシン・ハギュンを含め3人ともまるで本当の家族のようです。

映画で面白かったシーンの一つは、アスピリンの詩の朗読シーン。ちょっと妙な詩をヒロインの女子高生ミリョン(イ・ボヨン)がマジメに朗読していておかしかったですね。そして、怒濤のように押し寄せる展開をみせるラストには胸が張り裂けそうでした。日本全国のお母さんたちや兄弟のいる男性には特にオススメできる作品です。(2005年6月23日シネツイン2で鑑賞)

原題:우리형
監督:アン・クォンテ
脚本:アン・クォンテ
音楽:キム・ヒョンソク
出演:ウォンビン、シン・ハギュン、キム・ヘスク、イ・ボヨン
製作年度:2004年
製作国:韓国
上映時間:112分


映画『マイ・ブラザー』の関連商品の紹介

ウォンビン主演映画「マイ・ブラザー」オフィシャルフォトブック
ウォンビン主演映画「マイ・ブラザー」オフィシャルフォトブック

マイ・ブラザー
佐野 晶
映画『マイ・ブラザー』のノベライズです。
マイ・ブラザー

その他関連本
ウォンビン主演映画「マイ・ブラザー」オフィシャルフォトブック
It's KOREAL (イッツコリアル) 07月号 [雑誌]
「KOREA MOVIE」 コリア・ムービーVol.3
TJムック「大好き!韓国スターNews」
韓国ドラマ&シネマFAN Vol.2 バイリンガル韓国スター芸能
by G-Tools

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2005年06月20日

映画『大統領の理髪師』

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『大統領の理髪師』は、たまたま大統領のお膝元、孝子洞に住んでいた庶民的な理髪師、ハンモ(ソン・ガンホ)が大統領御用達理髪師となり、それからの抗えない運命を描いた韓国庶民の物語。

ソン・ガンホのユーモラスな演技とシリアスな演技の対比が見事に決まっています。生き生きとした庶民生活には笑いが溢れ、また、政府に翻弄され、ただ従うしかない悲しい庶民の姿が悲しくもある映画なのです。

理髪師ハンモは妻のミンジャ(ムン・ソリ)と息子のナガン(イ・ジェウン)と三人で平凡に暮らしていました。ところが、ハンモは、偶然にもパク大統領(チョ・ヨンジン)の専属理髪師となってしまいます。大統領は素直で素朴なハンモの人柄を気に入り、おおむね良好な関係をお互いに築きます。

ところが、北朝鮮のスパイが広げたというマルクス病騒ぎから事態は一変。下痢症状を呈する者は北朝鮮のスパイと関わっている疑いで拷問を受けることに。

1960年代から1970年代のパク大統領就任時代を中心に、韓国の激動の歴史が伝わってきます。庶民の立場で作られたこの映画には、ユーモラスな場面が多くあります。

そこで描かれるユーモアは、悲しみを和らげるためのユーモアのようでもあるし、悲しみを引き立てるためのユーモアのようでもあり、ちょっと複雑なユーモアです。

ソン・ガンホの芸達者な演技はもちろん、不遇な運命にあるナガンを演じるイ・ジェウンの演技も目を引きます。そして、政治というものについて深く考えさせられる作品です。

ちょっとネタバレしています。ご注意を!

この映画で全然知らなかった韓国の当時の歴史について断片的にでも知ることができ、なかなか興味深いものでした。

この映画でのパク大統領の描き方から推察すると、韓国の歴史上相当重要な人物のように思われましたが、朴正煕 - Wikipediaをみると確かにそのように思えます。独裁的だったけれど彼の治世を懐かしむ声は今もあるとのことです。

この映画での中心となる場面の一つがハンモの息子、ナガンの拷問シーン。ナガンも下痢症状を訴え、マルクス病の者として政府の電気拷問に遭ってしまうのです。

色とりどりの電球をピカピカさせて幻想的に描いていますが、政治のことを何も知らないナガンを襲う拷問がとても痛々しい。

そして、なんとか家に帰されたナガンを襲う次の悲劇がもう笑えない辛いものでした。電気ショックのせいで神経機能が弱まったのでしょうか。ナガンは歩けなくなってしまいます。政府に対してやり場のない怒りが起こる場面でした。

その後、漢方医をあちこち訪ねますが、少しもナガンの足は良くなりませんでした。そして数年後、10・26事件でパク大統領が射殺されてしまいます。

漢方医の言葉にハンモは従って、大統領の遺影の眼を必死の思いで削って、菊花茶に混ぜて息子に飲ませたのです。

やがて、何と言うことでしょう。ナガンは自分の足で立ち、再び歩き始めたのです。父と一緒に自転車で走るラストシーンに深い感動を覚えました。(2005年6月11日サロンシネマで鑑賞)

原題:효자동 이발사
監督:イム・チャンサン
脚本:イム・チャンサン
出演:ソン・ガンホ、ムン・ソリ、リュ・スンス、イ・ジェウン、ソ・ビョンホ
製作年度:2004年
製作国:韓国
上映時間:116分

映画『大統領の理髪師』のDVDや書籍の紹介

大統領の理髪師 DVD
ソン・ガンホ
大統領の理髪師 DVD

大統領の理髪師 文庫本
中村 祐介
大統領の理髪師 文庫本


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2005年05月30日

映画『スカーレットレター』

『スカーレットレター』公式サイト
『スカーレットレター』を上映している映画館は?
スカーレット・レター@映画生活
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刑事ギフン(ハン・ソッキュ)には愛する美しい妻、スヒョン(オム・ジウォン)があり、そして熱烈な愛人、カヒ(イ・ウンジュ)がいた。ギフンは二人を愛しながら、仕事をこなす日々を送っている。
ある日、殺人事件が写真館で発生した。刑事ギフンは第一発見者の写真館主の妻、ギョンヒ(ソン・ヒョナ)を取り調べる。大豆モヤシ2000ウォン分を市場へ買いに出かけ、写真館に戻った時、夫は倒れていたとギョンヒは言う。

妻と愛人を持つ男の不倫話がメイン。殺人事件の捜査も並行して話は進行していく。後半、ストーリーは思わぬ方向へ展開していく。

刑事ギフンの愛人は華やかなジャズシンガー。妻がいると知っていても深くギフンを愛している。ギフンの妻は従順で清楚な女。ギフンの愛人にはない魅力を持っている。しかし、夫には何か秘密を隠しているようだ。ギフンは二人を並行して愛する日々を過ごしている。
愛人とは甘い時間を、妻とは安らかで平穏な時を過ごしたギフンをとりまく状況はやがて大きく変化していく。逃れられない運命に支配された男と女のドラマが切なく観客の胸に迫る。

この映画は多くの人が知っているように、今年の2月22日に逝去されたイ・ウンジュさんの遺作となってしまった。作品中、愛人カヒの役を演じている。その姿は多くの人が魅了するだろう。また、誠実な役柄で有名なハン・ソッキュは今回大いに汚れた刑事役を演じている。

ここからネタバレです。ご注意を。

三人の普通ではない三角関係と殺人事件が主に描かれているのだが、その二つの事柄はただ刑事ギフンが関わっているというだけで、密接な関係があるというわけではない。単に不道徳な行為を行う人たちを描いているのだろう。そのためミステリーを期待していると物足りないものがあるだろう。

それにしても車のトランクスペースにカヒとギフンの二人が閉じ込められてしまうとは強引な展開だ。悲劇の乱造という印象を少々抱いてしまうが、あの狭いスペースでギフンの側でカヒは命を絶つ。その時、私は現実にイ・ウンジュが亡くなったこととその演技をどうしても結びつけてしまった。
(2005年5月29日サロンシネマで鑑賞)

原題:주홍글씨
監督:ピョン・ヒョク
脚本:ピョン・ヒョク
音楽:イ・ジェジン
出演:ハン・ソッキュ、イ・ウンジュ、ソン・ヒョナ、オム・ジウォン、キム・ジングン
製作年度:2004年
製作国:韓国
上映時間:119分


映画『スカーレットレター』の関連商品の紹介

スカーレットレター 文庫本
百瀬 しのぶ

4789725537
映画『スカーレットレター』のノベライズの文庫本です。

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2005年05月27日

映画『復讐者に憐れみを』

『復讐者に憐れみを』を上映している映画館は?
復讐者に憐れみを@映画生活
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復讐者に憐れみを 『復讐者に憐れみを』は『JSA』、『オールドボーイ』のパク・チャヌク監督が描く復讐三部作の一つ。一切の妥協を許さない凄惨な映像が観客を圧倒する。脚本の凄まじさにソン・ガンホが出演依頼を二度断ったというこの作品で見せる渾身の演技に注目。

リュ(シン・ハギュン)は聴覚障害で聞くことも話すこともできない。リュは姉(イム・ジウン)に助けてもらいながら生きていたが、姉は腎臓病を患ったため、リュは美大への進学を諦めて工場で働いていた。リュは病院に自分自身の腎臓を姉に移植することを申し込んだものの、姉の身体にリュの腎臓は適合しないことが判明した。それから、たまたまトイレで臓器移植の広告をリュは見つける。腎臓移植をして姉を助けたい一心で闇の臓器密売組織と接触する。ところがリュは腎臓と1000万ウォンを騙し取られることとなってしまう。

『復讐者に憐れみを』はひょっとしたら悲惨な事件をただ並べただけの悪趣味な映画のように見えるかもしれない。臓器密売組織による腎臓搾取および詐欺、誘拐が起こり、その後も事件は起こる。事件の背景の描写が強引ながらも巧みなので、この世界で悲惨なできごとが起こる背景を現実的に感じることができる。そのためこの作品『復讐者に憐れみを』はそういった映画にはならずにすんでいる。

題名『復讐者に憐れみを』から想像できるように復讐者が登場する。実は一人ではなく何人かの復讐者が出てくるが、おそらく憐れみの対象となる復讐者はソン・ガンホ演じるパク社長だろう。
パク社長は真面目に生き苦学し社長になった人物だ。パク社長の愛娘は何者かに誘拐され、ある日、死体となって見つかる。警察に連絡せずに解決しようと用意した身代金2600万ウォンだけでなく娘の命まで奪われてしまう結果となる。
警察に頼らず誘拐事件を解決しようとしたパク社長は、その後自力で犯人探しをして私刑を行おうとする。その後の復讐劇でパク社長は迫真の演技を見せている。

また、もう一人の復讐者は姉の腎臓移植を切望していたリュ。しかし、リュは闇市場の臓器売買グループにはめられ、大金を奪われ、体内からは腎臓を摘出され奪われる。間の悪いことに、その後一文無しとなったリュには病院から姉に適合する腎臓が見つかったと連絡がある。途方に暮れるリュは、アナーキーな恋人ヨンミ(ペ.ドゥナ)の善意ある誘拐の言葉にそそのかされパク社長の娘の誘拐を実行し、パク社長から2600万ウォンを手に入れる。
そんな二人の復讐者だが、やがて共通の目的で近づくこととなる。その時の二人の運命に観客はただ黙ってスクリーンを見守るだけだ。

ここからはネタバレあります。ご注意を

『復讐者に憐れみを』では身体的に感じるような生々しく痛ましい場面がかなり多い。
パク社長の解雇した従業員が自分の腹部をカッターで切りつけ、そこから血液がたらりと滴り落ちる場面。パク社長の娘の司法解剖で死体の解剖に伴って発生する音にシンクロしてパク社長が悲痛な表情を見せる場面。リュが臓器密売組織のメンバーの頚動脈に凶器を刺し、血液を噴出させてしまう場面。パク社長に電気拷問を受けるヨンミが失禁する場面。自殺した姉の腐乱した顔に虫がわいている場面。川の中でパク社長がリュの両足のかかとをすぱっと切り、その裂け目がぱっくり開いている場面。そのいずれもが鮮烈であり、監督のごまかしのない表現意識を感じる。

生々しく痛ましい場面以外にも、監督のごまかしのない表現は見られる。リュとヨンミのベッドシーンもそういった場面の一つだろう。予想外のオールヌードのペ・ドゥナに少々当惑してしまったが、そのような演技をしたペ.ドゥナはプロ意識が高いのかもしれないし、あるいは映画製作時のペ.ドゥナとシン・ハギュンの関係が功を奏して実現されたのかもしれない。そこまでする必要があるのかないのかという議論もあるだろうが、私はこのシーンが他の惨たらしい一連の場面を引き立てるのに効果的だと考えている。

娘を亡くしたパク社長の変貌振りは恐ろしい。感情が徐々に破壊され冷徹な人物に変貌していく。その感情の破壊は二度ある司法解剖シーンに如実に表れている。
一度目の司法解剖で娘が解剖される場面では人間らしく表情を歪めるパク社長。二度目の司法解剖でリュの姉が解剖される場面では表情一つ変えず、あくびをしているパク社長。
また、司法解剖で人間の解体を見たことは後々リュを殺し解体する時にも役に立ったのかもしれない。

臓器移植の密売組織の人間を除いて、いずれの人物も表の世界で平穏に暮らしていた。ところが、良かれと思い行動したことが裏目に出て、それを取り取り繕おうとすればするほどさらに救いはなくなる。やがて意図せず命を落としていく者たちに観客は何を思うだろう。パク社長の言葉にならないような声の流れるエンドロール終了後、立ち上がると私はふらふらで全身疲労感で一杯だった。(2005年5月22日サロンシネマで鑑賞)

原題:복수는 나의 것
監督:パク・チャヌク
脚本:イ・ジョンヨン、パク・リダメ、イ・ムヨン
出演:ソン・ガンホ、シン・ハギュン、ぺ・ドゥナ、イム・ジウン、イ・デヨン
製作年度:2002年
製作国:韓国
上映時間:117分


映画『復讐者に憐れみを』のDVDと本の紹介

復讐者に憐れみを デラックス版 DVD
復讐者に憐れみを デラックス版

発売予定日は2005/07/22です。

復讐者に憐れみを 文庫本
パク チャヌク
復讐者に憐れみを

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2005年04月28日

映画『甘い人生』

『甘い人生』公式サイト
『甘い人生』を上映している映画館は?
『甘い人生』イ・ビョンホン独占インタビュー - FLiXムービーサイト

「甘い人生」 ~イ・ビョンホンの代表作になるまで~ 『甘い人生』はフィルム・ノワール的要素に満ちた作品で、イ・ビョンホン主演の本格的アクション映画。イ・ビョンホンの壮絶な生き様がこの作品『甘い人生』の見どころでしょう。イ・ビョンホン来日時のインタビューで、試写会で9割が女性の観客だったことについて、「どうやら日本の男性は映画を愛してくれていないのかな(笑)」と言ったようですが、案の定、私が劇場へ『甘い人生』を観に行った公開初日、観客は確かに9割以上が女性。「日本の女性はイ・ビョンホンを愛し過ぎ!」ですね……。

7年かけてホテルの総マネージャーの地位を手に入れたソヌ(イ・ビョンホン)はホテルのカン社長(キム・ヨンチョル)に絶大な信頼を置かれる存在であった。カン社長は闇社会も支配する権力を持つ冷酷な男。上海へ出張に出かける間、カン社長はソヌに若い愛人、ヒス(シン・ミナ)の監視を命じた。

フィルム・ノワールのテイストが漂うこの作品。若い愛人の監視をきっかけに事態は急展開していきます。ソヌの運命は行き詰まり、悲愴感漂う展開になっていきます。観客はソヌの運命にただただ驚き圧倒されるばかり。流血シーンが多いので、イ・ビョンホン見たさで劇場に足を運んだ女性の中には鑑賞に堪えられなかった方もいるのではないのでしょうか。

このようなことを言うとジェンダーフリー推進派の方に怒られそうですが、この映画は男の観る映画だと思いました。多くを語れない、気持ちを表現できない男の辛さがよく表れています。動く心がこの映画のキーワードにもなっていますね。そして、アクションに目を向けるととても本格的でしっかりと構成されています。イ・ビョンホンが違和感を感じたという銃器を扱うシーンですが十分に迫力ありました。あれほどの破壊的なシーンは銃器なしではあり得なかったと思います。一人の男だけでなく何人もの男を地獄へ陥れていまったヒスがある意味とても恐ろしい。

これから映画のネタバレが少しあります。
カン社長とソヌの問答が一つの見どころでした。寡黙な男の目には見えない揺れ動く心が切ない。そして、社長の命令に背いたことで結果的には命を落としてしまうソヌ。ソヌは一度目の危機を見事に繰りぬけてしまいます。ジェイソン・ボーンならインドのゴアに行って静養するのですが、命知らずなソヌは銃器を手に入れカン社長を殺してしまうわけです。実に恐ろしいです。予想以上に壮絶な映画でした。最後のソヌの携帯電話は切なかったですね。そして280000ウォンの電気スタンドでヒスにソヌの想いが届いたことをただ祈るばかりです。しかし、なぜヒスの若い恋人を逃したことがバレたのかよくわかりません。ヒスの様子がおかしいと悟ったカン社長が問い詰めたのでしょうか。005年4月23日シネツイン2で鑑賞)

用語解説
フィルム・ノワール―虚無的・悲観的・退廃的な指向性を持つ犯罪映画の総称である。(こちらフィルム・ノワール(Wikipedia)から引用)

ところで『甘い人生』という題名が印象的なくらい甘くない人生の映画だったので、『甘い人生』の日本語での題名と、原題の韓国語、英語題をそれぞれ訳したものを列挙してみました。
日本:甘い人生
英語:ほろ苦い人生
韓国:甘ったるい人生
それぞれ微妙に表現が違いますね。どの題もそれぞれ味があるなと思います。
ちなみに、原題である韓国題訳はKAOMEAブログ版-イ・ビョンホン最新作『甘い人生』より引用させていただきました。

甘い人生@映画生活にもレビュー・批評・感想があります。
blogランキングはこちらです。

原題:달콤한 인생
監督:キム・ジウン
脚本:キム・ジウン
出演:イ・ビョンホン、キム・ヨンチョル、シン・ミナ、キム・レハ、ファン・ジョンミン
製作年度:2005年
製作国;韓国
上映時間:120分

映画『甘い生活』のサウンドトラックやDVDのご案内

甘い人生 DVD
甘い人生  DVD
発売は未定です。リンク先のページから発売
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甘い人生 サウンドトラックCD+DVD
サントラ
甘い人生 サウンドトラックCD+DVD
DVD付き国内盤オリジナルサウンドトラックが5月13日発売!フォトカード&ポスターなど豪華特典付き。DVDには、メイキングDVDにも収録されていない映像収録予定。

「甘い人生」 ~イ・ビョンホンの代表作になるまで~
キム・ジウン イ・ビョンホン キム・ヨンチョル シン・ミナ
「甘い人生」 ~イ・ビョンホンの代表作になるまで~
イ・ビョンホン迫真の演技が際立つ『甘い人生』のメイキングDVD。

甘い人生 ノベライズ本
キム・ジウン(脚本) 星野 卓也
甘い人生 ノベライズ本

「Korea Movie」コリア・ムービーVol.5

by G-Tools
イ・ビョンホン主演『甘い人生』の28ページ大特集、
イ・ビョンホン最新グラビア&インタビューなど掲載。

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