2012年09月27日

映画『ブラック・ブレッド』

映画『ブラック・ブレッド』(原題 Pa Negre)はスペイン最高の映画賞であるゴヤ賞で、作品賞ほか計9部門で受賞したそうだ。スペイン内戦が終わったスペインのカタルーニャ地方で起きたある殺人事件を中心に物語は進んでいく。

あらすじ: 1940年代のカタルーニャ。11歳の少年アンドレウ(フランセスク・コロメール)は、森の奥深くで息絶える幼なじみとその父を目の当たりにする。そのとき、幼なじみが森の洞窟(どうくつ)に潜むとされる羽を持った怪物ピトルリウアの名を口にしたのを耳にする。やがて、警察は事件を殺人と断定し、アンドレウの父ファリオル(ロジェール・カサマジョール)を第一容疑者として挙げる。ファリオルが姿を消し、母親も働かねばならないことから、アンドレウは祖母の家に引き取られることに。そんなある日、森の中で怪物ピトルリウアのように全裸で走り回る青年と遭遇するが……。(シネマトゥデイより)

スペイン内戦については詳しく知らないけれども、以前観た映画『パンズ・ラビリンス』も時代背景がスペイン内戦だった。スペイン内戦はスペイン史上において非常に大きな出来事であったことが『パンズ・ラビリンス』を観た時嫌というほどわかった。そして、この映画『ブラック・ブレッド』においても辛い過酷な時代感がぎっしり。予感通り、見てはいけないものを見せられる作品だ。

そして、主人公である少年アンドレウも見たり聞いてはいけないものをいろいろと通過儀礼のごとく見たり聞いたりしてしまう。とりわけ大好きな父の重大な事実を知ってしまうことになるとき、翳りのない少年の時代は完全に終わるのだ。どうしようもない断絶感だけが残ったな。

登場人物が多く、外国人の名前なのでいろいろとややこしくて内容理解が正直難しかった(リピーター割引があるくらいだからね)。多分3割くらいは理解できなくて、帰ってからネット情報を見て映画の理解を深めた。

サロンシネマにて観賞

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2012年09月18日

映画『少年と自転車』

映画『少年と自転車』(原題:Le gamin au vélo)は、ダルデンヌ兄弟として知られるベルギー人のジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ監督による映画作品。監督のお二人は、以前日本を訪問した時に、帰ってこない親を施設で待ち続ける子供の話を聞いて、それを基にして映画『少年と自転車』を制作したそうだ。

あらすじ: 児童相談所に預けられたまま12歳になろうとしていた少年シリル(トマス・ドレ)は、いつか父親を見つけて一緒に暮らしたいと願っていた。ある日、彼は美容院を営むサマンサ(セシル・ドゥ・フランス)と出会い、ごく自然に彼女と共に週末を過ごすようになる。二人は自転車に乗って街を走り回り、ようやくシリルの父親(ジェレミー・レニエ)を捜し出すが……。 (シネマトゥデイより

少年に罪はないのに養育放棄されている。救われて欲しいと観ていてずうっと思ってしまう。母親の姿はなく父が養育を放棄して少年は相談所に預けられたようだ。少年は12歳だが父親の愛を求める姿がとてもつらい。

ひょんなことから少年の週末里親となる美容師のサマンサ。とってもいい人。毅然として格好いいんだ。ダメダメな男が何人か出てくる中、女性の強さを見せてくれる。実は本当の母親なのではないかっていうくらい素晴らしい女性を演じている。

少年とサマンサの間にはいろいろとあったけれども、最後にはほんの少しの光が射したような場面で終わってくれたので少しばかり明るい気持ちで映画館を後にできた。

テアトル徳山にて観賞


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2012年09月17日

映画『私が、生きる肌』

映画『私が、生きる肌』は、『オール・アバウト・マイ・マザー』『トーク・トゥ・ハー』『バッド・エデュケーション』などの作品で著名なペドロ・アルモドバル監督の作品だ。

あらすじ(シネマトゥデイより): 最愛の妻を亡くして以来、完ぺきな肌の開発研究に打ち込む天才形成外科医のロベル(アントニオ・バンデラス)。あらゆるモラルを打ち捨ててしまった彼は、ある人物を監禁して禁断の実験に取り掛かることに。それは開発中の人工皮膚を全身にくまなく移植して、被験者を亡き妻へと作り変えてしまうことだった。着々と妻の代役を創造させていくロベルだったが、思いも寄らぬ事態が起こってしまう。

こういう作品にはなかなか出会えない。偏執と狂気に満ちた医師が、何者かを妻に似せた形成外科を行うと聞いただけで怪しさ満点。音楽、演技、衣装どれをとっても見ごたえあり。

誰が被験者になって手術されたのかが中盤までの鑑賞者たちの最大の興味の一つであろう。その誰かがわかった時には、ただただ驚くばかり。亡くなった妻の姿にうり二つにされた被験者と天才外科医に訪れる運命はいかに、といったところか。

テアトル徳山にて観賞

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2012年09月16日

映画『夢売るふたり』

西川美和監督の新作、『夢売るふたり』を観ました。西川美和監督は、私が住んでいる広島市出身の気鋭の若手映画監督です。これまでの作品の脚本はすべて監督自身の手によるものでした、そして今回もこれまで同様オリジナル脚本です。

あらすじなどはこちらの映画『夢売るふたり』公式サイトをご参照。

序盤は小料理屋のシーンからはじまります。臨場感にあふれ、美味しそう。主役のふたりにとって最高の世界が描かれています。

そして、その世界からの転落、世界の再生のために主役のふたりは奮闘?するわけです。浮気をした夫の方は妻のいいなりとなり結婚詐欺を.重ねていくのです。

多くの人物の心の機微が見る者によく伝わってきて、役者を使ってのそのあたりの表現力がずば抜けているなあと改めて思わされました。人間というもののおろかさや素晴らしさが幾層にも重なり表現されていて味わい深いのです。

今回一人で観賞しましたが、結構性的な表現が多いので、カップルで見るには注意が必要かもしれません。

『蛇イチゴ』『ゆれる』『ディア・ドクター』同様、今作も素晴らしい。映像、脚本、演技のどれをとってもいいものを見せてくれました。次回作が待ち遠しいですね。

広島バルト11にて観賞

夢売るふたり 西川美和の世界
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2012年09月02日

映画『コロンビアーナ』

映画『コロンビアーナ』は、復讐ものです。

幼い頃、コロンビアで両親を殺された少女カトレアが、執念深く十数年後に復讐をする話です。

簡単に言えばストーリーはそれだけ。


主演の女優さんですが、アバターでの主演だった逞しい体つきのゾーイ・サルダナが、熱演しております。

犯人のおびき寄せ方がえらい手間を掛けとります。

大して頭使わずに、俳優のアクションに集中して見られます。

アクションはなかなかの見ものでしたよ。

こういう映画では細かいこと言いません。バリバリドンパチやっていて結構楽しめました。

バルト11にて鑑賞

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2012年07月24日

映画『おおかみこどもの雨と雪』

朝起きて、今日はいつも以上に仕事も頑張って、子供とも関わろうと私は思った。

それは、前日に映画を観に行ったから。『おおかみこどもの雨と雪』は、そんな気力を私に与えてくれた。

この映画は、アニメーション映画で、『時をかける少女』、『サマーウォーズ』に続く細田守監督の三作目。恋人とのつながりや家族の絆をこれまで鋭く描いてきた監督の三作目ときたら否が応でも期待してしまう。

今作『おおかみこどもの雨と雪』は、おおかみおとこと人間の間に生まれたおおかみこどもの姉弟の成長を描いたもの。

大胆な設定だなと思った。おおかみおとことの間に子供が生まれるってありえない前提にどんな風に物語が成立するのか楽しみに観に行った。

前日のレイトショーの109シネマズ。30人くらいは観客がいたかな。久々の映画なので、映画館にいるだけでも楽しい気分。

ご都合主義の強引なプロットがいくつか気になった。でも、そんなことはどうでもいいかって思う出来の映画だった。

おおかみこどもの雨と雪の母は特殊な子供の親となった責任を精一杯果たそうと並大抵ではない努力をするのだ。まずはおおかみこどもが生まれたとばれてはいけないがため自宅で出産。人目を避ける日々。都会で暮らせなくなると、非常に不便な山奥へ引っ越し自給自足の生活をはじめようとする。

おおかみこどもの雨と雪はおおかみに変身できる特殊な能力を持っている。雨と雪が大きくなっていく過程で、変身できる能力が二人の命運を左右し、それぞれの道を選ぶ。

子供をきちんと育てられない親が、親になりきれていない親が多いと言われる昨今、この映画が公開されたことは素晴らしく、意義深いと勝手に思っている。

子育ては、一瞬一瞬の時の積み重ね。子ども自身が社会的に一人前になるよう育つように導く責任を生まれた瞬間から負う。幼い時はかわいい子供もいつかは大きくなり巣立っていく。映画を観て、そんなことを改めて思わされた。

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2010年06月17日

映画『告白』

 映画『告白』は、湊かなえ原作の小説『告白』(ちなみに2009年本屋大賞作品)を、中島哲也監督が映画化した作品。

 昨年『サマーウォーズ』を観て以来映画館が遠のいていた私。この作品はかなり評判が高く、私を劇場に足を運ばせた映画となった。

 お話の導入はこんな感じ。
 終業式の日に、中学一年生の生徒を前に松たか子扮する森口悠子先生はある告白をする。それは、彼女の事故死した娘が実は教室にいる少年二人に殺されたこと。その告白後、彼女は教壇を去るが、それは彼女の復讐のはじまりだった。

 お話の進行は、始めは森口悠子先生の告白を中心に話が進む。次は学級委員の北原美月(橋本愛)の告白、また次の章では他の登場人物の告白により真相が明らかになるという形式であった。

 このお話は、復讐を描きつつ、同時にテーマに命や少年法を織り込んでいるように少し見える。自分勝手な都合で娘を殺した少年二人に対する先生の復讐方法が実に戦略的だと感じる。また、こうでもしないとこれほど大事なものを失う辛さを少年二人に実感させてあげることができる方法はないのかもしれない。

 一方で、このような「目には目を歯には歯を」の報復型私刑で本当によいのかという疑問はある。未成年に対するひとつの教育として考えると許容されるのかどうかわからないけど、釈然としないものがある。その復讐行為を否定したら話にならないかもしれないけど。

 本当にこの話には救いが無い。どんな暗い映画、凄惨な映画であっても、一条の光が最後に見えれば、少しは気持ちよく映画館を後にできるが、純粋なエンタテインメントな作品というわけでもないから、なんか見ちゃいけないものを見てしまったかなあと感じた。中学生以下は見るべきではない。R-15は適切と思う。

 松たか子扮するすごくすごく執念深い怨念を持った森口先生、コワイ。(娘を殺されたのだから当然か。)少年やクラスメートの大半は心が病んでいるようにしか見えない。迫真の演技を多くの俳優人が見せているところ、映像的音響的な効果が優れているところはやはり監督の手腕だなと思う。

 本作品とは関係ないが、復讐の執念深さは『親切なクムジャさん』、最後の一場面の後味の悪さは『セブン』を少し思い出させた。(2010年6月17日広島バルト11で鑑賞)

映画『告白』公式サイト
監督:中島哲也
脚本:中島哲也
出演:松たか子、木村佳乃、岡田将生
製作年度:2010年
製作国:日本
上映時間:106分

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2009年10月02日

映画『サマーウォーズ』

『サマーウォーズ』はアニメーション映画。3年前アニメーション映画『時をかける少女』を鮮烈に世に送り出した細田守監督の作品です。


映画の導入はこんな感じ。

OZという仮想空間が人々の大切なインフラとなっているちょっと近未来が舞台。コンピュータや数学好きな高校生の小磯健二は、夏希先輩に頼まれごとをされる。それは4日間彼女の長野県の田舎へ一緒に行くこと。田舎へ行った健二は20人以上(はいたかな……)もの夏希の親戚に圧倒される。しかも、突然、90歳の彼女の曾祖母の前で婚約者として振舞って欲しいと頼まれる展開に。

その後は、無事に夏希の親戚と平穏に過ごすかと思われる雰囲気であったが、これから急に事態は変わる。そして、世界が破滅するかも知れない危機と戦うことになっていく。


感想ですが、とても面白く強く訴えかけるものがあったと思います。そして、こんな映画みたいな絆のある家族っていいなと改めて思ったし、また、これから自分自身が少しでもそうありたいなと思えました。ご先祖あって私自身があるのだなと改めて思った次第です。

夏希の曾祖母の言った家訓(のようなもの?)によると、一人でいることとお腹をすかせることは悪なんだそうな。確かにそうだと思えました。大げさかもしれませんが、この映画の中の家族から学び取ることが多くあるなと感じました。

また、エンタテインメント性にも溢れているし、夏の風景も良く描けているし、家族のキャラもそれぞれ個性があり、観客を飽きさせることありません。今年観てとても良かった作品の一つとなりました。(2009年9月29日109シネマズ広島で鑑賞)

映画『サマーウォーズ』公式サイト
監督:細田守
脚本:奥寺佐渡子
声の出演:神木隆之介 桜庭ななみ 谷村美月 富司純子
製作年度:2009年
製作国:日本
上映時間:114分

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2009年06月18日

映画『重力ピエロ』

『重力ピエロ』を観に行った。久しぶりの劇場鑑賞だ。今年4月の末に完成したばかりの109シネマズ広島で観た。ちなみに伊坂幸太郎の小説『重力ピエロ』が原作。

舞台となる街は仙台。そこで連続放火が起こっていた。大学院で生物学遺伝子関係の研究をする兄(加瀬亮)と街の落書きを消し回っている画才のある弟(岡田将生)。その2人の兄弟と父(小日向文世)を中心に物語は進む。

次々と現れるグラフィティアートと称される落書きや続発して起こる放火。「これらは何か関連があるのか?何のために犯人はこのようなことをするのか?」といったミステリー的要素が盛り込まれている。
そういったミステリー要素を背景にしつつ、この映画『重力ピエロ』は、家族とは何かということを、映画を観ていた私にしっかりと投げかける。テーマが重く、いろいろ嫌な気分になったが、最後にちょっと救われた思いはする。きっとあれで良かったんだ。映画だし。三人の演じる家族がとても良かった。

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2007年10月25日

映画『シッコ』

ようやく先週土曜から広島でも上映が始まった。日曜の朝一番で見ようとシネツイン1に出かける。シネツイン1のあるビルの地下へ降りると、なんと、扉が閉まったままだ。扉の横の劇場に直接つながるドアは開いていたので、そちらから劇場に入って、チケット売り場へ回る。

ボウリング・フォー・コロンバイン」や「華氏 911」のマイケル・ムーア監督の今回の作品「シッコ」は、アメリカの医療制度、とりわけ保険会社にスポットを当て、アメリカの医療保険制度の暗部を晒す。作品中のマイケル・ムーアのスタンスは、 よその国では当たり前のことが、「何故?アメリカが、出来ないのか?」である。

有効な治療法であると医師が考え、それを患者に提案しても、実験的であるとして却下してしまう保険会社。
救急車で病院に運ばれたが、事前に救急車の使用許可を得なかったという理由で保険会社から保険金が下りなかった女性。
保険の加入を拒むための数多くの疾病リスト。
法の網をくぐるようにして、隣国カナダでがん治療を受けるアメリカ人女性。

実態が全て映画の通りかどうか分からないが、とにかく難癖をつけ、保険金は基本的に出さないようなシステムにしかなっていないみたいに思われた。アメリカでは、治療方針を患者でもなく医師でもなく保険会社が決めるなんて聞いた事が以前あったが、まさしくそうだなあと感じた。

アメリカの医療保険制度では、かなりの割合のアメリカ国民が民間の保険会社に加入。民間会社であるが故、利益の追求、保険会社は保険金の不払いにどうしてもなってしまうのだろう。でも、なぜ保険金支払いのサービスそのものの顧客満足度で争わないのか。そうすれば利益率は下がるが、加入者を多く集められるのでは。そういう精神はアメリカ企業には欠如しているのだろうか。
また、利益をあまり追求しない団体みたいなのが存在して、そういうところが、運営するような保険団体はないのかなあと思ったりもした。

もちろんアメリカにも数多く意見があるので、国民皆保険制度を導入しようとした政治家は最近でもいた。ヒラリー・クリントンがそうだ。ところが、保険会社のロビー活動等により、結局、ねじ伏せられたようだ。多額の献金を、政治家に保険会社は行なっているとのことだった。

アメリカの医療制度を浮き彫りにするため、外国と比較。カナダ、イギリス、フランスなどと比べていた。それらの国は、それなりの税負担が国民にはあると思われるが、医療のことは相互扶助の精神で助け合うことで国民は合意しているのであろう。概ね、最低限の医療は遍くそれぞれの国民が受けることができるようである。それにしても、フランスのバカンス期間の長いことはうらやましい。

あんな医療保険制度で本当にアメリカ人は良いと思っているのかどうか本当に不思議だった。きっと、それを変えていくのはアメリカ国民なのだろうけれど、日本も医療制度はそのうち他人事ではなくなってくるでしょう。監督には日本も取材して欲しかったなあ。

いつ観ても思う事だけど、マイケル・ムーア監督の行動力には脱帽。今回は、911のレスキュー隊員を含んだ医療を受けることが困難な多くの人々とともにマイケル・ムーア監督はアクションを起こす。パフォーマンスかもしれないけど、本当、感動したな。あっ、それからどうやってキューバに入国したのだろうか。

こういう映画は一方的な作りになってしまうことを考慮しても、アメリカの民間保険会社に医療保険を任せるやり方は、患者に多くの困難を生じさせているのは事実だと思うし。国民会保険制度のある国のほうが安心なのは間違いないと思う。こういうことは民間に委ねるべきではないのだ。でも、日本の医療制度にも多くの問題はあると思うが、患者の経済的な負担はアメリカよりずっと少ないと思う。今後、アメリカのようにならないため、また日本の医療制度に関心を持つためにも多くの人に観て欲しいなと感じた。

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2007年10月21日

映画『パンズ・ラビリンス』

1944年のスペイン内戦で父を亡くし、独裁主義の恐ろしい大尉と再婚してしまった母と暮らすオフェリア(イバナ・バケロ)は、この恐ろしい義父から逃れたいと願うばかり自分の中に新しい世界を創り出す。オフェリアが屋敷の近くに不思議な迷宮を見つけ出して足を踏み入れると、迷宮の守護神が現われ彼女に危険な試練を与える。 (シネマトゥデイ)


この映画、パンズ・ラビリンスは、いろいろ高く評価を得ているようだし、ファンタジーとスペイン内戦の史実が交錯した内容に、どんな映画なのかと興味をかきたてられた。

そんなわけで、サロンシネマ1へ行った。サロンシネマ1は久しぶり。約二年ぶりに中へ入ったが、相変わらず独特の臭いがした。ちょっとカビくさいけど、なぜか懐かしい。

で、映画はスペイン内戦という史実的な場面とファンタジーであるパンズ・ラビリンスのを折り混ぜているためか、ファンタジーのみの物語よりもこの映画のファンタジーの部分は、妙に現実感があって不思議な感じがする。まるで本当に起きた出来事のように見えるのだ。

ファンタジー的な映画ではあるけれど、スペイン内戦を背景にしているので、容赦ない乱暴な場面が多々ある。思わず目を背けてしまう。大尉が自分で口を縫うシーンも本当に痛そうだった。PG-12も納得。

ファンタジーと悲しい現実が交錯しながら物語は進む。観客は、オフェリアに救いを!と思いながらスクリーンを前にする。絶望の中に人々がいる時、救いの手が伸びてくる訳でもない時の最後の希望を教えてくれた気がした。オフェリアは幸せになったのだろうか?そんな思いが劇場を出てしばらく続いた。合掌。


パンズ・ラビリンス オリジナル・サウンドトラック
サントラ
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2007年05月14日

映画『ブラッド・ダイヤモンド』

我々はアフリカのことをよく知らない。実によく知らない。この度、『ブラッド・ダイヤモンド』を観てやはりそう感じた。以前、『ホテル・ルワンダ』を観たときもそう思ったのである。『ホテルルワンダ』を観たときはルワンダのあの惨状のはげしさに衝撃を受けのうのうと観賞後の記録を書くのにひどく後味の悪さを感じて結局は書かずじまいになってしまった。今回は『ブラッド・ダイヤモンド』のことはなんとか書こうと思う。


『ブラッド・ダイヤモンド』は、1999年、大西洋に面したアフリカ・シエラレオネでの物語だ。


猟師のソロモン・バンディ(ジャイモン・フンスー)は、息子と娘二人、妻と一緒に穏やかに暮らしていた。そんな、穏やかな暮らしは、RUF(シエラレオネの反政府勢力である統一革命戦線 )によって突然奪われてしまう。RUFがソロモンの住む村を襲撃する。
ソロモンは、RUFに捕まり、ダイヤモンドの採掘場で強制的に労働させられる。息子もRUFに捕まり少年兵として訓練を受けさせられライフルを手にする。残った家族は命からがらなんとか逃げ延びる。
ソロモンは、ダイヤモンドの採掘中、大粒のダイヤモンドを発見する。それをなんとか隠そうとしたところ、採掘現場の監督者ポイズンに見つかり殺されそうになる。しかし、政府軍による採掘場の攻撃が始まったため、ソロモンは政府軍に連行されるも、ポイズンの手により命を奪われることは逃れた。

ローデシア(現在のジンバブエ)出身のダニー・アーチャー(レオナルド・ディカプリオ)は、正規にダイヤモンドを取引できないRUFに対して武器を提供し、代わりにダイヤモンドを受取り、密輸しながら紛争の続くアフリカの大地で生き抜いていた。ダイヤモンドを隣国リベリアへ密輸しようとしていたところ、逮捕される。留置所でダニーは、ソロモンが大粒のダイヤを見つけた話を聞きつける。ダニーはなんとしてもそれを手に入れ別世界へ逃れたい衝動に駆られるのであった。


映画は、前半は内戦下のシエラレオネの様子が描かれている。RUFが武器調達をするためダイヤモンドを取引する場面や少年を破壊兵器に仕立てあげる場面。また、内戦下、耐えながらひたむきに生きる市民を描く。

前半、社会派ドキュメント色に覆われた感があるが、後半、ソロモンにとっては家族を取り戻すための冒険、ダニーにとってはダイヤモンドを賭けた冒険を始める。さらに怖いもの知らずなアメリカ人女性ジャーナリスト、マディー・ボウエン(ジェニファー・コネリー)も冒険を共にすることとなる。(多くのシエラレオネ人が命を落としているにも関わらず)ソロモンの家族はどうなるのか?ダイヤは手に入るのか?奇妙な絆の3人パーティの冒険の行く末は?とハラハラさせられてしまう。そのため、素直に申し上げると、あれほど悲惨な状況が描かれていた映画であるにも関わらずアクションドラマとして面白いと感じた。

しかし、スクリーンの目の前で事実をベースにしたアフリカの状況を目にするたびマリアナ海溝には潜れないくらい絶望的な気分にもなってしまう。これは、『ホテル・ルワンダ』を観たときにも感じた。悲惨な状況を我々が知ったところで何も変わらないかも知れないけど、やはり経済的に恵まれた国々の人が本当は知るべきことなのだと思う。ああ、なんでアフリカの政治体制はめちゃくちゃなところばかりなのか?

ダイヤモンド。美しいのみならず、それは永遠の象徴、決して壊れることのない愛の象徴として多くの女性の憧れの対象の宝石。ダイヤモンドは高価で取引される宝石である。世界で取引される極わずかな量しか不正取引された紛争ダイヤモンドはないと言われているけれど、ダイヤモンドを誰かが買いその消費が積み重なれば多くの人命が失われる……。ダイヤモンドには罪が無いとは思うけれど、ダイヤは買うべきか買わざるべきか?そんなことを真剣に考えてしまった(買えないくせに)。

余談であるが、第79回アカデミー賞主演男優賞にレオナルド・ディカプリオが、この『ブラッド・ダイヤモンド』でノミネートされていた。アカデミー賞になってもおかしくないかもしれないくらい素晴らしいディカプリオの演技の作品と思うけれど、扱っているテーマがダイヤモンドの消費に関わってくるかもしれない(世界のダイヤモンドはアメリカが3分の2買っているのだとか。)ため受賞は難しかったのだろう。

『サハラ』という映画で、「世界はアフリカに無関心だ」というセリフがあり、また『ブラッド・ダイヤモンド』でもダニーは「神はとっくにアフリカを見捨てている」といったようなセリフがある。いずれにも共通するのはきっと、世界の人々がアフリカに無関心というメッセージである。多くの無関心がアフリカの現在の形にしているのかもしれない。経済発展を遂げている国は忙しくて周りに無関心な傾向にあるのかもしれないが、ぜひ多くの人が観るべき映画と私は思う。戦闘場面が苦手な人以外は見る事を切に願う。

ブラッド・ダイヤモンド@映画生活

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2007年05月06日

映画『スパイダーマン3』

スパイダーマン3の制作費は、映画史上最高額を更新し3億ドルにも達したそうだ[1]。それだけ巨額の資金を投じてつくられただけあって、見ごたえのある迫力あるシーンがこれでもかといわんばかりにスクリーンに映し出される。こういう映画はやはり大画面で観ないといけないと実感させられてしまう。

前々作、前作に続き、今回も主役のスパイダーマンおよびピーター・パーカー役はトビー・マグワイア。MJことメアリー・ジェーンは、キルスティン・ダンストです。そしてやはり今回もMJはいろいろと災難に遭うので本当かわいそうですね。

ピーター・パーカーは、スパイダーマンとしての自分自身に誇りを持ち、MJとの交際も順調な日々を送っていた。
ある日、父親を殺したのはスパイダーマンと思っているハリーがニューゴブリンとなりピーターを襲う。また、ピーターのおじを殺害した犯人が脱獄し、ある実験施設でサンドマンとなってしまう。サンドマンは悪事を行い。それをピーターは阻止しようとするのであった。
一方、ピーターとしての私生活は、MJと順調だった交際も、あることをきっかけに雲行きが怪しくなってしまう。

今回スパイダーマンが闘うこととなる相手は、本来はピーターの親友でもあるハリーがニューゴブリン、脱獄囚のサンドマンそしてヴェノムと呼ばれる謎の黒い寄生生命体。
映画の予告編などで見ることができた黒いスパイダーマンはヴェノムが寄生した状態でしょう。スパイダーマンはヴェノムに知らず知らずの内に支配されていく。

善悪単純ではないのだ、いろいろ複雑なんだよと今回の作品はそう観客に言葉を投げかけているようだ。ピーターのおばが、ピーターのおじの命を奪った犯人に対して極刑を望んでいないような発言をする場面があることからも伺える。
これは極刑廃止を多くの人が望んでいない日本人にはおそらくちょっと理解しがたいのだけれど、アメリカでは建前でも人々の思考は極刑はなしの方向にあるということでしょうか。

いつもやや苦戦しているスパイダーマンだが、今回もかなり、しかも前よりもスパイダーマンは苦戦する。苦戦の先には多大な犠牲もある。それでも、残った希望を胸に我々はしっかりと生きていくしかないのだと思わせられる。

スパイダーマン3@映画生活

スパイダーマン3
スパイダーマン3

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映画『バベル』

『バベル』は、アカデミー賞の候補になった菊地凛子さんの出演ばかりが国内では一人歩きしていた感のある映画ですが、そのTVなどを通した話題ぶりのおかげで連休中の観客の入りはなかなかのものでした。

バベルという題名は、聖書のバベルの塔のお話から来ているのでしょう。神はバベルの塔を建設する人々を見て違う言葉を話させるようにしたのだそうです。バベルの塔を建設していた人達は、違う言葉を話すようになり混乱し散っていたのだとか。

この映画は、4つのストーリーで構成されている。モロッコでライフルを手に入れた家族に訪れる悲劇。モロッコへ観光に来ていたアメリカ人夫婦に起こる惨劇。モロッコへ旅行中の夫婦が母国に残した子供たちと彼らを世話するメキシコ人メイドにも辛いできごとが起こる。そして、日本では母を亡くした聴覚障害の女子高校生が心の闇を抱えている。

4つの話の関連性ですが、モロッコの2つは密接に関連しています。メキシコ人のメイドの話も、アメリカ人夫妻の子供が絡んでいるので、まあ関連はあると言えるでしょう。でもでも、なんか日本の話だけはとって付けたような話で、別に関連性なんてほとんど無いんですよ。こじつけ程度の繋がりしかないと思いました。それゆえ、日本編だけ無理やりくっつけたような印象を抱いてしまうのです。

それぞれの国でそれぞれのいい画は撮れていたと思います。砂漠に生きる民だけが持つ逞しさ、メキシコ人のハレの舞台など特に印象に残っていますね。バベルの塔にちなんで、伝えたいことがうまく伝えられない人達を描いているのですが、皮肉にもこの映画が伝えたいことは、なかなか多くの人には伝わらないのかもしれないと思います。

実は、何を伝えたいのだろう……と思う映画は結構あります。ミニシアター系は特に。誤解を恐れず言えば、私は何を伝えたいのかわかりにくい映画も嫌いではありません。いろいろと思いをめぐらすのは楽しいからです。

では伝えたいことは一体なんでしょう?結局はコミュニケーション不足が招く悲劇でしょうか。ただ、それはライフルを買ったモロッコ人家族には当てはまらない気がしますね。大人の都合で犠牲になる子供を描きたかったのかもしれません。これならなんとか日本のストーリーもそうかもしれないと思えます。ところで、私はモロッコ人の旅行ガイドさんが、ブラッドピットが演じるアメリカ人からお金を渡した時、それを拒んだ高潔さが印象に残っています。

かなりこの『バベル』は話題になったせいか、シネコンで上映されていることは驚きだなと観た後に感じました。日本編の菊地凛子演じる役が、そのキャラクターにちょっといろいろな背景があることは考慮されるべきとしても、ちょっとヘン過ぎるのです。そのため、彼女の役の演出が必然とは感じづらいですね。菊地凛子さんは頑張って役に取り組んだとは思うのですが、これでアカデミー賞はちょっと無理でしょうね。

バベル@映画生活

バベル
バベル

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2006年12月10日

映画『エコール』

きっと幼いころ、自分自身はどこからやって来てどこへ行くん だろうと思ったり、少し先の未来に対して憧れとか 恐れを抱いたりしたんだろう。

大人となった今、幼いころのそんな思いの記憶は、記憶領域の 隅っこに追いやられ、普段は決して思い出すこともない。 この映画『エコール』はそんな記憶を呼び起こし、子どもだったころの世界へと誘う。

出演の少女たちは映画経験のない素人たちだそうで、ダンスの先生役にはマリオン・コティヤール 、生物の先生役にはエレーヌ・ドゥ・フジュロールの2人の女優が起用されている。


ある朝、棺に入った6歳の少女イリスはエコール(学校)へやって来 た。そこは周りを壁で覆われた閉じた森の中の学校の寮の一室。

彼女が何処から来たのか、何故森の中のエコールへ来たの かわからない。ただ、彼女は新入生としてごく自然に受け入れ られる。イリスは、はじめは学校に来る前の世界へ戻ろうと願うが 次第にそれは忘れていくようだ。

そこでは、無邪気な6歳から12歳の少女たちが7人のグループで寮生活をし、 昼間は森の中の学校では、生物やバレエの授業を受ける。


世界の全てがその学校の世界で完結しているみたいだ。 森の中で暮らす少女達は無邪気に可愛らしく生活する。 不思議で、どこか不気味で、奇妙。そんな印象を受ける。

でも、実は今自分達が住んでいる世界と本当はそれほど変わらないのでは。 ましてや小学校時代は多かれ少なかれ少女たちが感じたりしたものと かなり似通っていた気がする。少女たちの無垢な可愛らしさは少なかったかもしれないけれど。


エコール
ゾエ・オークレール フランク・ヴェデキン ルシール・アザリロヴィック
エコール
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2006年12月01日

映画『ソウ3 saw3』

12月1日は映画の日、ということもあり六本木のTOHOシネマズまで『ソウ3』を観てしまいました。映画好きなら知っている人も多いかな。『ソウ』の続編の続編です。私が『ソウ』を観てから約2年。もう3作目が公開されています。

この作品はかなり描写が肉体的に痛々しくて、この私、実に耐えられないと感じてしまいました。作品の回を重ねるごとに激しくなっています。

『ソウ』は、実にとても面白くエキサイトな作品でした。『ソウ2』は、派手にはなったけどパワーダウンしたかなと思いました。そして、この3作目は、ただバイオレンス的な描写が生々しくなりそれに小難しい道義的な言葉を取って付けたような作品となった感が否めないかな。そりゃあ、あの救いのない暴力的な装置にも実は深く考えるとわけがあるのですが、直感的に「もうだめだわこれ~」と感じてしまい、心の一部は拒否反応を示してしまいます。謎解き度の高かった一番初めの作品が映画として面白かったなあ。

『ソウ』シリーズお得意のギミック。制限時間以内にゲームをクリアしないと死んでしまうというアレ。今回は、クリアしても生き残れないようになっているモノがあります。どうもその辺にもいろいろわけがあるんですね。

前作を二つとも観ていないと内容がよくわからないと思いますので、劇場で観る場合、事前に2作品を観ておく必要があります。

風の噂では、5作目までいくとか。最後にあの人はああなったのに、どうやって作るのか興味深い。あー、もういいやと思いつつ次も観ちゃうんだろうなあ。

「ソウ」シリーズ 全てはこれから↓
SAW ソウ DTSエディション
ジェームズ・ワン ケアリー・エルウェズ ダニー・グローヴァー
B00067HCXU

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2006年09月29日

映画『X-MEN ファイナルディシジョン』

わりと近くで上映している映画の中から「X-MEN ファイナルディシジョン」を選んだ。Yahoo!映画から適当に情報を漁ってこれならそこそこ見応えがあるだろうと思ったから。

この映画は過去2作品ありその続きみたいだが、観ていなくてもなかなか理解できた。大迫力のアクションシーンに何が何だかわからない特殊な人たちなど映像的にも魅せてくれた。なかなか楽しめる作品だった。

<ミュータント>と呼ばれる特殊な能力を持った人間がいる少し未来の世界での物語。ミュータント社会と人間社会はなんとか共存していた。X-MENは、ミュータントであるプロフェッサーXが組織した特殊なミュータントチーム。どうやら正義の存在っぽい。一方、悪のミュータント組織みたいなものも現れる。

そして、ストーリーの鍵はミュータント治療薬の存在だ。その治療薬の存在が、ドラマを奥深いものにしているなあと感じた。その薬を快く思わない悪玉のほうの気持ちだってよくわかるんですね。だから観ていて少し複雑な気持ちにもなったなあ。それから、エンドロールは最後まで観て。最後の最後にワンシーンあったから。

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2006年07月08日

映画『カーズ』

『モンスターズインク』、『Mr.インクレディブル』など数々のヒットアニメーション映画を放つピクサー。そのピクサー制作の新作がこの『カーズ』。きっとこの夏の話題作となるでしょう。

題名が『カーズ(Cars)』というだけあって、登場人物はいなくて、登場するのはすべて車、車、車、なんですね。

主役は赤いレーシングカーのライトニング・マックィーン。彼は新人?レーサー。ピストンカップのレースで他の車と三車同着となり、その後、一位を決するべく新たにレースを行うこととなるのです。

マックィーンは速いけど独りよがりで思いやりのない性格。そんな彼は新たなサーキットへ向かうのです。その途中、地図からも消され見捨てられた町、ラジエイタースプリングス、に迷い込む。そこで彼はさまざまな個性的な車と出会い、人?(車)として大きくなっていく。

始めは、「車がしゃべってる。おかしいよー」と思って観ていました。本当に最後まで集中して観れるだろうかと不安にも思いましたが、次第になぜか違和感なく自然に観れるようになりました。

お話としては、たぶん他愛もないものです。ですが、日々走り続けているような生活を送っている人ならどこかしらほろっと心にくるような映画かと思います。

おなじみのピクサークオリティの3Dアニメーションは、今回も見事で鮮やかに美麗に仕上がっています。サウンドも車の世界という感じがバリバリ表現されています。

車しか出ていない映画なのに、しっかりと感情を観客に移入させ、観させる作りが本当にすごいなあと思いました。ラストでぐっと来た方も多いのではないでしょうか。あー、どこかドライブに行ってのんびりしたくなりましたね。

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2006年06月25日

映画『M:i:III 』

『M:i:III』を観てきました。タイトルはミッションインポッシブルスリーと読めばいいのかな。みんながご存知のシリーズ物ですね。一作目と二作目はDVDでしか観たことがなかったのですが、今回劇場でたっぷりと迫力あるこの作品を楽しみました。

おそらくシナリオは目の肥えた映画ファンを唸らせるようなものではないのですが、体を張った(らしい)トム・クルーズのアクションシーンを中心とした演技で大いに私を楽しませてくれたと思います。

一作目や二作目と違う点もいろいろとあるので、すでにそれらを見たことがある人にとっては違いを見つけるのも面白いでしょう。また、一作目や二作目は特にシナリオに重要なつながりはないので三作目である『M:i:III』をいきなり観ても大丈夫だと思います。

イーサン・ハント演じるトム・クルーズ。今回はスパイの現場から離れてスパイの教官をしていたけれど、教え子が事件に巻き込まれて救出のため現場復帰するという展開で始まります。また、彼の恋人が登場します。看護師をしているのですが、これは話の後半できっと何か関連があるぞと思ったらやっぱりありましたね。もし、彼女が医療職ではなかったら、イーサンはどうなっていたのでしょうか。

最後にひとこと。『ラビットフット』って何?

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2006年06月18日

映画『マンダレイ』

今年の4月に東京に越して初めてギンレイホールへ行く。

飯田橋にあるこの映画館は、どうやら少し遅れて作品を公開することが多いようだ。壁には「ALWAYS 三丁目の夕日」の上映告知が掲示してあった。また、10500円払えば1年間映画見放題のサービスもある。待合エリアの古びた雰囲気が広島のサロンシネマを彷彿とさせる。

僕がここへ来たのは、ラース・フォン・トリアー監督の「マンダレイ」を見るためである。この作品は「ドッグヴィル」の続編である。続編だけど前作の主役のグレイスを演じるのはニコール・キッドマンから浅学な僕にとって全然知らないブライス・ダラス・ハワードという女優さんに代わった。それで「マンダレイ」を観たけど、いささか疲れていたせいもあるし、話にメリハリが少ないためだろうか、数十分は意識不明の状態で映画を観ていた。そういうわけで内容がそれほど理解できなかった。

事前にアメリカ批判の映画であることは知っていたので、これは黒人問題を扱っているんだなあということはわかった。でも、観ているうちにアメリカ批判なのか黒人批判なのかわけわからなくなってきた。まあそれは眠かったせいかもしれない。あと、もう少しラストを盛り上げて欲しかった……かな。

アメリカ批判としてこの映画はあるわけだけど、日常の僕達もなんだかこれに当てはまらないだろうかと少し思った。―自由になったらなにしたらいいかわからないけど、支配されていれば支配者を批判すればすむ。―こういった思考は劇中の黒人に限らず多くの人に当てはまるのではないだろうか。

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2006年06月04日

映画『嫌われ松子の一生』

嫌われ松子の一生』は、『下妻物語』の中島監督の作品である。そういうわけで、きっとはずすことはないだろうと期待して観た。

人生をちょっとした事から踏み外してしまう松子(中谷美紀)という女性が主人公の物語。教師となった松子は、父親の愛に飢えてはいたものの、堅実な人生を送っていた。ところが、生徒の万引き事件をきっかけに人生はあらぬ方向へ転がり落ちていくのである。転がり落ちた後は、女性として運命に翻弄されるばかりで、風俗で働いたりろくでもない男たちと一緒になり報われない人生を送る。

人生の意義とか意味とか悲哀を感じずにはいられないという感じだった。松子は、おそらく典型的なダメ男にしがみ付いてしまう女性であり、どうして松子はそのような人生を送ってしまったのだろうと思うとやりきれない気分になってしまう。

全編を通じて、これでもかというくらい趣向を凝らした視覚的効果やミュージカル的な音楽に満ちていて観客を満足させてくれる。視聴覚的演出がこれくらい凝っていないとただ悲壮感漂うだけの物語にしかならなかったところであるが、エンタテインメントとして見事に楽しませると同時にちょっと人生についてあれこれ考えさせてくれる。

この映画はうろ覚えだけど、確か監督さんが中谷美紀さんに女優をやめてしまえと言ったとかいうことでも話題になっていたかな。しかし、中谷美紀さんはとても大変な役を見事に演じたなあと思う。役作りはとても大変だったのではないだろうか。

いろんな意味でこれくらい出色な作品はなかなかお目にかかれない。はっきり言ってオススメです。それから、これはサントラも買いですよ。

嫌われ松子の歌たち
サントラ 木村カエラ ch feat.B-BANDJ

嫌われ松子の歌たち

関連商品
嫌われ松子の一年
嫌われ松子の曲たち
MUSIC FROM quot;MEMORIES OF MATSUKOquot; -嫌われ松子の音楽- メイキング・オブ 「嫌われ松子の一生」
Golden Tears
嫌われ松子の一生 (上)
by G-Tools

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2006年04月07日

映画『白バラの祈り―ゾフィー・ショル、最期の日々』

『白バラの祈り―ゾフィー・ショル、最期の日々』をサロンシネマにて鑑賞。

この映画、第二次世界大戦真っ只中のドイツで実際に起きたできごとを主題にしている。”白バラ”という組織に属するゾフィー・ショル。彼女は大学で反戦ビラをばら撒き警察に捕まる。そして、逮捕後異例の五日間という早さで裁判が行われ処刑されてしまう。

この映画を観て、全然人間のできていない私は、もう少し賢明さが欲しいと思った。その活動の背景の描き方が浅いからそう思えたのかもしれない。また、死刑から逃れようと思えば逃れられたものをゾフィーは死刑へと自分自身で運命を決めてしまう。覚悟はできているつもりだったゾフィーの決してそうではなかった姿がとても見ていて堪えられなかった。

それにしても裁判官はすごかった。高圧的で断定的な血も涙も無い様子が怖かった。ゾフィーらの弁護人は形式的にしか存在しているに過ぎないもので、まさに死刑は既定の形式的見せしめ的な裁判だった。

ゾフィーの勇気や道徳観に感服しつつも、もう少ししたたかで賢明な生き方をして欲しかったなとも思うのだ。でも、そうであったらこの映画はこの世に無かったのだ。ゾフィーさんの「太陽は輝き続けるわ」の言葉を胸に今よりも強く生きていこうと思う。

★★★★★★☆☆☆☆(6/10)

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2005年09月14日

映画『Dear フランキー』

Dear Frankie [Original Motion Picture Soundtrack] 『Dear フランキー』を観に行きました。『Dear フランキー』は母親が息子につき続けた嘘がきっかけで起こるできごとを感動的に描いた作品です。どこか郷愁漂うスコットランドを舞台に、『猟人日記』のエミリー・モーティマー、映画『オペラ座の怪人』のジェラルド・バトラーが機微を巧みに表現した演技を披露しています。

シングルマザーのリジー(エミリー・モーティマー)は、暴力が原因で夫と別れる。リジーは9歳の難聴の息子フランキー(ジャック・マケルホーン)とリジーの母(メアリー・リガンズ)と一緒に逃げ回るように暮らしていた。
リジーはフランキーの父親が船で世界中を回っていると嘘をつき、まだ見ぬ父親にフランキーはせっせと手紙を書いていた。その手紙の返事は父親の振りをしてリジーが書いていた。
フランキーはパパがACCRA号に乗っていると信じていた。ACCRA号はリジーの作った架空の話の船の名前だったが、フランキーはACCRA号が地元に入港することを知る。

暴力夫と別れ、今も怯えるように逃げながら生活するリジー。まだ見ぬパパに憧れや寂しさを感じるフランキー。リジーにとって現実のフランキーの父親は恐怖や嫌悪の対象であったが、皮肉なことにフランキーにとって架空の父親は憧れの対象である。

ACCRA号入港のニュースを聞いて父親に会えると期待している息子フランキー。そんな息子を見てリジーは思い悩んだ末、酒場へ足を運び一日限りの父親役を探すが徒労に終わる。しかし心温かい友人の協力により、過去も未来も現在もない男、ストレンジャーを紹介してもらう。

一日限りの父親を演じる男とフランキー、リジーの三人が出会い、フランキーは無邪気に喜ぶ。フランキーの前ではタフな母親を演じていたリジーも束の間の家族の幸せを感じていた。あまりにも息子と親しいストレンジャーに対してリジーは複雑な感情を抱く。それぞれの登場人物の感情表現がとても現実感あふれる素晴らしいものだった。

港の見えるスコットランドの風景も素敵なものだった。どこか寂しさ漂いながらも変わらぬ懐の温かさを秘めた景色がノスタルジックに感じられた。そして前面に出すぎず心地よいサウンドがとてもこの作品の風景、ストーリーにマッチしている。

ささやかな希望の光を運んでくれるようなこの映画は前向きな力を与える。もし私の母がこの映画を観たらどう思うのだろう。私の母は暴力が原因で元夫から逃げるように別れ、二人の子を連れて新しい生活を始めた。私の母と父はどういう出会いがあったのかさっぱりわからない。(大昔に尋ねたことがあったがはぐらかされたような気がする。)私の父がストレンジャーで、母はリジー的立場だったのかなと思うと更に感慨深いものがある。

僕の秘密は戸棚にはありません。パソコンの中に……。

お気に入り度:★★★★★★★★☆☆(8/10)

『Dear フランキー』公式サイト
『Dear フランキー』を上映している映画館は?
Dear フランキー@映画生活
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原題:Dear Frankie
監督:ショーナ・オーバック
脚本:アンドレア・ギブ
音楽:アレックス・ヘッフェス
出演:エミリー・モーティマー、ジャック・マケルホーン、メアリー・リガンズ、ジェラルド・バトラー、シャロン・スモール
製作年度:2004年
製作国:イギリス
上映時間:102分


「Dear フランキー」オリジナル・サウンドトラック [国内盤]

「Dear フランキー」オリジナル・サウンドトラック [国内盤]

Dear Frankie オリジナル・サウンドトラック[輸入盤]
Tim Luntzel Josephine Knight Michael Clarke
Dear Frankie オリジナル・サウンドトラック[輸入盤]


Dearフランキー ノベライズ
アンドレア・ギブ 入間 真
Dearフランキー


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2005年09月04日

映画『奥さまは魔女』

アメリカのテレビドラマ「奥さまは魔女」をモチーフにした映画です。オリジナルのドラマはちょっとしか見たことないのですが、魔女が人間界にやってきて普通の男性と結婚して生活を送るというお話ですね。主役の魔女役にはニコール・キッドマン。シリアスな役からコミカルな役まで結構いろいろ演じます。

この映画は単純に「奥さまは魔女」のリメイクバージョンなのかといったらちょっとひねりがあります。映画の世界の中で、実際に「奥さまは魔女」のテレビドラマをリメイクを制作する話になり、その魔女役オーディションを本当の魔女であるイザベル(ニコール・キッドマン)が受けるというお話になっています。劇中劇のような作りになっていたり、ドラマのメイキングっぽいシーンがあったりするのでテレビドラマ「奥さまは魔女」とは趣の異なる仕上がりではないでしょうか。

この映画にのめり込めるかどうかのとても重要なポイントとして、ニコールの相手役となる俳優ウィル・フェレルが挙げられるかと。残念ながら私はあまり俳優としての魅力を彼には感じられなかったです。ニコールが恋する相手には思えないんです。顔も性格も。映画の世界でも彼は俳優役をやっているのですが、その世界でも評判はサッパリなところが皮肉っぽく感じられました。

うーん、結局のところ、この映画はニコールを観るためだけの映画と言ってしまってもいいですかね? きっと奥さまネタが好きな人なら私よりは満足するのではないでしょうか。ニコールはいい。でも、やっぱりウィル・フェレルがちょっといかんです。

お気に入り度:★★★★★★☆☆☆☆(6/10)

『奥さまは魔女』公式サイト
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原題:Bewitched
監督:ノーラ・エフロン
脚本:ノーラ・エフロン、デリア・エフロン、アダム・マッケイ
音楽:ジョージ・フェントン
出演:ニコール・キッドマン、ウィル・フェレル、シャーリー・マクレーン、マイケル・ケイン、ジェイソン・シュワルツマン
製作年度:2005年
製作国:アメリカ
上映時間:103分


奥さまは魔女 サウンドトラック [国内盤]
Bewitched    サウンドトラック [輸入盤]
Bewitched サウンドトラック

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2005年09月03日

映画『容疑者 室井慎次』

「踊る大捜査線」の脇を固める登場人物を主人公にした映画第二弾。第一弾の「交渉人 真下正義」に続く第二弾の『容疑者 室井慎次』では室井慎次(柳葉敏郎)が主人公。

まあ一般的に映画は商業的なものなので、観客動員を気にしないわけにはいきません。この映画はちょっと観客をナメた映画かなあと思わざるを得なかったです。

良い流れとしては、面白い映画を作って観客を一杯動員しようというものです。ところが、この踊る大捜査線関連映画の場合は、完成度が高かろうが低かろうがかなり観客動員が見込めるためかどうかわかりませんが、テキトーに作ってまあそこそこ観客が入ればいいという好ましくない態度が根底にあるように思えました。

内容にある程度触れています。ネタバレ的なこともあるので未見の方はご注意を! 

ある警察官が殺人を犯した疑いで取り調べ中、彼は走って逃げます。そして逃走中トラックに衝突し死んでしまうのです。強引な取調べが一人の警察官の死を招いたということで室井慎次は逮捕されてしまいます。

ちょっと妙で強引な導入ではありましたが、それでも室井慎次はこれからどうなるんだと思わせてくれます。でも、だんだんと焦点がぼやけてつまらなくなっていきました。

もっと詳しく描写すべきもの、例えば、警察庁と警視庁のせめぎあいとか容疑者室井慎次を救う活動状況などを描かず、その一方、やたら不気味でリアリティに欠けると思われる弁護士集団の描写はなんか勘違い気味に濃すぎる描写で気持ち悪かったですね。弁護士界に詳しくないけれど、なんかウソっぽく感じました。それから、歌舞伎町周辺の警察署ってあんな感じなのでしょうか。不思議に思いました。

いろいろと不満な点もあったため登場人物がそれぞれ抱えていた重い過去にもあまり入り込めなかったですね。上手くすればドラマに深みを持たせることができたのに。残念です。

ラストにかけて、田中麗奈扮する駆け出し弁護士がようやく活躍するのかと思ったら、犯人側のゲーマー弁護士が自滅しただけで脱力してしまいました。そりゃないでしょって感じです。妙に狂っているキーとなる女性もラストであんなセリフを吐いては観客が唖然としちゃいますね。そういうキャラクターとはいえ室井慎次はほとんどしかめっ面で言うべきことを主張しないし。とにかくいろいろと観客を苛立たせます。

製作者側に言いたい事は、「一度勇気を捨ててしまうと二度とそれは取り戻せない(劇中のセリフ)」。しかし、ぜひ取り戻していい作品を作って欲しいです。

お気に入り度:★★★★☆☆☆☆☆☆(4/10)

『容疑者 室井慎次』公式サイト
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監督:君塚良一
脚本:君塚良一
音楽:松本晃彦
出演:柳葉敏郎、田中麗奈、哀川翔、八嶋智人
製作年度:2005年
製作国:日本
上映時間:117分


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2005年08月31日

映画『愛についてのキンゼイ・レポート』

実在したアメリカの性科学者・昆虫学者であるアルフレッド・キンゼイ(Alfred C Kinsey 1884-1957)の生涯を描いた映画です。余談ですが、製作総指揮にフランシス・フォード・コッポラが名を連ねていますね。

この映画で、はじめて私はキンゼイの名を知りました。人間の性行動を面接による調査をして統計的に解析を行なった人です。映画では主にキンゼイの性科学研究時代の様子が描かれています。タマバチの研究をしていたキンゼイがなにゆえ性行動の実態を深く探ろうと思ったのか、また、どのようにして調査を行なったかということがわかりました。

今よりもずっと保守的だったと思われる時代に、性行動の実態はこのようであるということを統計的にまとめあげたキンゼイレポートは相当センセーショナルなものだったようです。根本的には、みんな他人のセックス行動に興味があったということでしょう。嫌悪感を抱く人もそうでない人も。

キンゼイ(リーアム・ニーソン)が研究者として活動する場面だけでなく、キンゼイの妻や家族の様子も描かれている。なんだかとっても性にオープンな家族でちょっと戸惑いを感じた私でした。そんな家族の中、唯一そのことを嫌がっていた息子の気持ちはわかりますね。

多くの人に調査をしたキンゼイは父にも性的な調査を行います。これも驚きましたね。大抵は、父に向かってそんなことなかなか聞けないですよ。第一、聞く必要ないですし。

私自身ちょっとこういうテーマは大事に思いつつもなんだか引いてしまう気分で見ていました。保健体育での授業で性について教えられていた時の気分に近いものはありましたね。演技的にはキンゼイの妻が一番印象的です。いろいろと考えさせられます。

お気に入り度:★★★★★★☆☆☆☆(6/10)

『愛についてのキンゼイ・レポート』公式サイト
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原題:KINSEY
監督:ビル・コンドン
脚本:ビル・コンドン
音楽:カーター・バーウェル
出演:リーアム・ニーソン、ローラ・リニー、クリス・オドネル、ピーター・サースガー、ティモシー・ハットン
製作年度:2004年
製作国:アメリカ/ドイツ
上映時間:118分


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2005年08月30日

映画『恋する神父』

日本での題名は『恋する神父』ですが、実際は、「恋する神学生」といったところでしょうか。この映画ではクォン・サンウが神学生のギュシク役に挑みます。ちなみに原題の신부수업(シンブスオブ)が意味するところは神父(新婦)授業だとか。新婦と神父が同音意義なところがポイントのようです。そのため、例の映画ポスターは神学生のクォン・サンウとキュートな花嫁姿のハ・ジウォンが写っているわけです。
・参考:http://abbiemay.exblog.jp/3044136/
welcome to abbie may's cafe

ギュシクは1カ月後に聖職授任式を控えていた。そんな頃にアメリカ帰りの若い娘ボンヒ(ハ・ジウォン)と出会い、気付いたらお互い恋に落ちていたというような話です。しかし神父となる者は生涯独身を貫かなければならず、女性と恋愛などということはとても考えられません。そんな彼は罪の意識を背負い思い悩む。

特に驚くようなストーリーではないけれど、実際にこの映画を神学生が観たらどうなんだろう。その世界の人たちから見ればこの話はとても驚くような内容なのかもしれないなあって少しばかり思った。

これまで映画では不良じみた役柄の多い気がするクォン・サンウですが、今回の神学生役もなかなか似合っていたと思います。信仰に生きる青年の純粋さがよく出ていました。

バンヒ役のハ・ジウォン。ちょっとお転婆なキャラですが、だんだんとかわいさがアップしていくんですね。彼女のキュートさにはっとさせられました。まるで自分自身が神学生ギュシクになった気分。でも、しゃべりというか声の調子なんかはキム・ハヌルっぽいなあ……。

ギュシクの持っているロケットペンダントが展開上ちょっと重要なアイテムになっています。みなさんもああいうふうにロケットペンダントを使ってみてはいかがでしょうか。もうひとつのアイテムというか、まあ、これはセリフなんですが、「デオ・グラシアス」という語も重要でしたね。ところで、ボンヒの付き合っている男性や彼のもうひとりの彼女の描き方がちょっと浅いかなと思いました。

神学生の生活風景や教会の様子はこだわりを持って製作されているようです。恥ずかしながら最近牧師と神父の違いがわかった私にとって目新しいものでした。

この映画の結末に関していろいろな意見があると思うけれど、僕はなんだか受け入れがたい気持ちと、それでいいんだよという気持ち、両方混ざって何だかすっきりしない気分になってしまいました。一時の気持ちが長年の人生設計をスポイルしてしまうかもしれないという場面は誰にでもあると思います。僕の感じたこういう不快感は妙に現実的でした。

お気に入り度:★★★★★★☆☆☆☆(6/10)

『恋する神父』公式サイト
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原題:신부수업
監督:ホ・インム
脚本:ユン・ウンギョン、ホ・インム
音楽:スルヴィアン
出演:クォン・サンウ、ハ・ジウォン、キム・イングォン、キム・インムン、キム・ソンファ
製作年度:2004年
製作国:韓国
上映時間:108分


映画『恋する神父』の関連商品の紹介

「恋する神父」オリジナル・サウンドトラック
サントラ
♪この音楽お掃除の時にどう?
なんとこのサントラには映画名場面集クリップ映像DVDが付いているそうです。
「恋する神父」オリジナル・サウンドトラック

韓国盤のオリジナルサウンドトラックもあります。
韓国盤にはDVDは付いていません。


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2005年08月24日

映画『マルチュク青春通り』

TVドラマ『天国の階段』有名な人気俳優クォン・サンウの主演映画。そういうわけなのか観客は9割方が女性でした。映画そのものは450万人もの観客を本国では動員したというだけあってなかなか本格的な青春活劇です。

当時を生きた監督の反省的な姿勢がこの映画には反映しているという。ナイーブな少年だった監督は、高校時代怖いもの知らずでマッチョな男になった。しかしそれが本当の男ということなのかという疑問が映画製作の動機の一つになったようだ。また当時軍事政権下にあった教育体制に対する批判も込められている。


この物語の主役はクォン・サンウ演じる高校二年生のヒョンス。1978年、母が地価高騰を見込み新しい家に引っ越しをしてから、ヒョンスはマルチュク通りの近くにある男子校に転校することになる。そこはガラの悪い生徒ばかりの実に荒れた学校。教師は威圧的で、生徒への苛烈な体罰は日常茶飯事だった。

ブルース・リーに憧れる内気なヒョンスはそんな過酷な環境の中でも、友達を見つけたり、恋をしたり、ケンカをしたりと彼なりの青春を送るのだ。


僕はこの映画を観て、この高校って凄くコワイなあって思った。みんなマジで殴ったり蹴ったりで凄いケンカをする。また、軍事政権下の当時、教師の方は強権的で事あるごとにいきなり暴力を生徒に加える。「韓国の教育、クソくらえ」に相応しい教師ばかりだ。こんな高校では亀田兄弟くらいウデに覚えがないと生きていけそうにない。

ストーリーの線としては、学校内の生徒の権力抗争とヒョンスの恋愛がメインかな。ヒョンスは友達がまだいないころバスケットボールを上手くキメてウシク(イ・ジョンジン)と仲良くなる。彼は校内での一勢力のボスであり、風紀委員のジョンフンと勢力を争っていた。また、ヒョンスはバスの中で美少女に一目惚れをする。その相手は高校三年生のウンジュ(ハン・ガイン)だ。しかしウンジュはウシクと付き合い始めてしまう。

決して戻ることのできない懐かしくて思い出すと恥ずかしいような時代がある人ならなんか共感するものはあるんじゃないのかなあ。要領よく青春時代をくぐり抜けたような人はそうでもないかもしれない。僕はあんまり器用に生きたほうじゃないから主人公のヒョンスの気持ちはなんかわかるなあ。あんなに荒れた高校でもなかったしあそこまで暴力的な先生はいなかったけど。この時代はマッチョでなくても強がっていないと生きていけそうにない。

ヒョンスがウンジュを連れて逃げるところがいい。ああいうのに青春のエッセンスが凝縮されていると言ってもいいかな。ケンカはかなり派手にやってくれるので、かなりの見どころでもあるけどそういうのがイヤな人には見たくない場面かもしれない。また、当時の韓国の若者文化を垣間見ることができるのも面白い。エンディングは時代の流れを感じさせる。過ぎ去った時間を懐かしむような余韻に浸りながら劇場を後にした。

お気に入り度:★★★★★★★☆☆☆(7/10)

『マルチュク青春通り』公式サイト
『マルチュク青春通り』を上映している映画館は?
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原題:말죽거리 잔혹사
監督:ユ・ハ
脚本:ユ・ハ
音楽:キム・ジュンソク
出演:クォン・サンウ、イ・ジョンジン、ハン・ガイン、イ・ジョンヒョク、パク・ヒョジュン
製作年度:2004年
製作国:韓国
上映時間:118分


サウンドトラックあります

マルチュク青春通り オリジナル・サウンドトラック
心を癒してくれるような懐かしいギターサウンド、あのころの行き場のない気持ちを表現したようなラップ、そしてクォン・サンウのソロも入っています。
マルチュク青春通り オリジナル・サウンドトラック


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2005年08月14日

映画『リンダ リンダ リンダ』

私の高校時代の文化祭は屋外展示物の製作ばかりでちょっとつまらなかったけれどそれはそれで今は思い出なのかもしれない。映画制作クラスが楽しそうだった。『リンダ リンダ リンダ』は多くの人の高校時代をさまざまな形でしんみりと思い起こさせる映画かな。どことなくダラダラした展開を受け入れられるかそうでないかがこの映画の判断の分かれ目かもしれない。

ちょっとサプライジングなことにこの映画には韓国女優のペ・ドゥナが主演女優で登場している。山下監督の熱いラブコールによりペ・ドゥナの出演が実現したそうだ。さらに驚くべきことはペ・ドゥナの年齢。現在25歳である彼女が映画で女子高校生役を演じている。実際、彼女は他の女優たちとの年齢差はとても気にしていたそうな。
ペ・ドゥナはある映画で結構過激なシーンをやっていたので、鑑賞中そういうシーンが頭にちらつくことが少しあり、なんとなく気まずく思ってしまった。この映画ではそんなシーンとは無縁なイノセントな女子高校生を演じる。
ペ・ドゥナの他、ローレライでパウラ役を演じたキリッとしたお姉さんの香椎由宇、『バトル・ロワイヤル』では藤原竜也と一緒に逃げる前田亜季、実際に「Base Ball Bear」というバンドで音楽活動をしている関根史織の4人でバンドのメンバーを演じる。


高校文化祭の前日にバンドのメンバーのギタリスト萌が指を骨折してしまい、恵(香椎由宇)、響子(前田亜季)、望(関根史織)の3人はどうするべきか困ってしまう。どうしても文化祭でバンド演奏をしたい恵はブルーハーツのギターならなんとか演奏できるということで、あとはボーカルをやるメンバーを急遽探すこととなる。韓国人留学生のソン(ペ・ドゥナ)はボーカルをしないかと3人から突然の誘いを受けるのだ。


この映画は肩の力をほどよく抜いたような映画で、隠しカメラで日常を切り取ったような作品である。映画の中の1コマ1コマに対して「あるある。そういうの」と思わせてくれる現実感に富む映画だ。文化祭会場やメンバーの女子高校生の家なども実際にありそうな雰囲気満点で製作側のこだわりを感じる。

急遽加わったソンと3人のメンバーたちでどうにかこうにか本番の日までにブルーハーツの数曲をコピーして演奏しなければならない。何せたった四日間しかない間に日本語もおぼつかないソンをボーカルにしてバンドを成功させようという四日間の奇蹟の物語。脇を固める出演者も面白い。萌役の湯川潮音や屋上の女子生徒の山崎優子ははただモノではないと思っていたら、やはり音楽活動をしている人たちだった。

韓国から出演したペ・ドゥナには当然韓国人らしいキャラクターが割り当てられている。一人でカラオケに行って朝鮮語で「Can you celebrate?」を歌ったり、思った事ははっきりと言ったりする。ある男子高校生が朝鮮語でソンに会話をすると、ソンはそれに日本語で返事をする。そんな場面をみると、あるなあこういうのって感じた。

急遽組んだバンドの選曲が幸い私と同時代なので恐ろしいほどスッキリとこの映画は心の中に入り込んできた。もし選曲が、今が旬のバンドの曲だったらそうではなかったかもしれない。そういう意味でこの映画は今30前後の人にとって一番オイシイ映画のような気がする。満足しました。僕にはどこかノスタルジックな映画でした。現在高校生の人たちにとってはそうじゃないだろうけど。

お気に入り度:★★★★★★★☆☆☆(7/10)

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監督:山下敦弘
脚本:向井康介、宮下和雅子、山下敦弘
音楽:ジェームズ・イハ
出演:ペ・ドゥナ、前田亜季、香椎由宇、関根史織、三村恭代
製作年度:2005年
製作国:日本
上映時間:114分


映画「リンダ リンダ リンダ」オリジナル・サウンドトラック
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2005年08月11日

映画『受取人不明』

『受取人不明』は、キム・ギドク監督の作品。最近のキム・ギドク監督の作品では『サマリア』が有名。1970年代、米軍が駐留する村に住む混血児とその母、若者たちを中心に村の人たちの人間模様を鮮烈に描く。


少女ウノク(パン・ミンジョン)は、幼少時、兄に右眼を傷つけられた容貌にコンプレックスを持っている。愛犬だけが唯一の心を開く相手だ。
混血児チャングク(ヤン・ドングン)は、村人とトラブルを起こす母親を足蹴にして、黒人米兵と韓国人との間に生まれた自分自身のアイデンティティに苦悩する。犬肉解体卸業を営む男(チョ・ジェヒョン)の元で気が進まない仕事を手伝う。
ジフム(キム・ヨンミン)は経済的理由で学校に行けず肖像画専門店で働くが、学校に通う悪ガキ二人組からはしょっちゅうイジメられている。ウノクに想いを寄せるが右眼が傷ついているウノクは心を開こうとしない。

ウノクの母(イ・イノク)は、朝鮮戦争で亡くなった夫の年金を頼りに生活している。
チャングクの母(パン・ウンジン)は村の外れにあるバスに住み村人たちと距離を置き、受取人不明で戻ってきた手紙を黒人米兵宛てに再び差し出す。出会った村人とは英語で会話をする。
ジフムの父(ミョン・ゲナム)は朝鮮戦争で右足を負傷し月30000ウォンの年金を頼りにして生活している。
犬肉解体卸業を営む男はチャングクの母を愛している。彼女に暴力を振るうチャングクを許せず仕返しをするものの彼女にそのことを逆に責められる。
異国での軍隊生活に堪えられない米軍兵のジェームズ(ミッチー・マローム)はウノクに近づき眼の治療を提案する。


キム・ギドク作品を観る時はいつも心の痛みを伴う。そして何かを見せ付けられハッとすることが多い。もちろんこの作品もそうだ。解決しがたい問題を抱えて傷ついた村人たちの暮らしぶりが描かれるこの映画には、見事な場面の数々が精密機械のようにびっしりと詰め込まれている。

若者が中心となる展開していくが、最終的に明るい展望が開けるという映画では決してない。どちらかというとかなり悲劇的だ。とりわけ犬肉業者やチャングクの母とチャングクに訪れる運命の悲惨さといったら見るに堪えない。朝鮮戦争や米軍の存在が背景となって悲劇が生まれたかのように描かれている。

多くの人が朝鮮戦争で直接的あるいは間接的に傷付いた人たちだ。しかしジフムをいじめる悪ガキ二人組はやや異質だ。彼らは朝鮮戦争の影響で駐留している米軍駐屯地の米兵からポルノグラフを買ったりジフムに英語で話しかけてからかったりするアメリカかぶれの韓国人として描かれている。彼らの存在は韓国内に駐留する米軍を利用するものの象徴だろう。

映画には犬が登場する。ウノクやジフンは犬を可愛がる。一方、犬肉で商売をする男は犬を撲る。実際に撲る場面は映像にはないものの、音だけでまるで本当に犬を撲っているかのように思わせられる。韓国の犬肉産業の一面が伺える。

韓国内に米軍はいらないという政治的メッセージを含んでいるかのような作品である。とりわけチャングクがアメリカかぶれの二人組に対して「お前たちみたいなアメリカかぶれが韓国をダメにする」と言うところに監督の意識が表れているように感じた。朝鮮戦争がなければ確かに彼らには違う運命があっただろう。しかし、村人は無関係といわんばかりに米軍機は空を飛ぶのだ。

お気に入り度:★★★★★★★★☆☆(8/10)

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原題:수취인불명
監督:キム・ギドク
脚本:キム・ギドク
音楽:パク・ホジュン
出演:ヤン・ドングン、パン・ミンジョン、キム・ヨンミン、チョ・ジェヒョン、パン・ウンジン
製作年度:2001年
製作国:韓国
上映時間:119分


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2005年08月06日

映画『ヒトラー ~最期の12日間~』

広島の原爆投下から60周年の今日、『ヒトラー ~最期の12日間~』を見た。広島では今日が上映初日で、100席ほどのサロンシネマは観客で一杯。この映画に対する関心の高さに比べて、上映映画館が少なすぎるのではないだろうか。

この映画の監督は『es』のオリヴァー・ヒルシューゲル。『es』では人々の心理面を怖いくらいに描いていた。監督は妻から『ヒトラー ~最期の12日間~』の監督をすることは反対だと言われていたようだ。ドイツ人にとってこのテーマを扱うことの困難さがうかがえるエピソードだ。

ちょっと特筆すべきことは、ベルリンの市街地場面の撮影はロシアのサンクトペテルブルクで行なわれたことである。1941年ドイツ軍の封鎖により100万人とも言われる死者を出した街。当時はレニングラードと呼ばれていたその街で撮影が行なわれた理由は、皮肉にも当時のドイツ人が多く関わった建築物が多い街並みだったからだそうだ。エキストラには多数のロシア人が参加している。

映画はヒトラーの女性秘書トラウドゥル・ユンゲ(アレクサンドラ・マリア・ララ)の視線から、ヒトラーが最期を迎える12日間がメインに描かれる。実はこのようにヒトラーに直接スポットを当てた作品は初めてという。しかも戦争当事国のドイツ自らこのような作品に挑んだ。

ブルーノ・ガンツが演じるヒトラーには驚かされた。ヒトラーの本物を見たことなんてないし本物の写真とは頬のあたりが特に違うけれど、なぜかこれはそっくりだと思ってしまう。威圧的な抑揚ある喋り方、独特なジェスチャーなどあまりにもイメージ通りで、目の前に本物のヒトラーがいると思わせられたことは不思議な体験である。

この映画を見て僕自身の世界史の知識の薄さを思い知らされたことも収穫の一つだ。ヒトラーの側近について何も知らなかった。映画では何人かのヒトラーの側近たちの行動や心理も描いている。最後まで徹底抗戦を唱える者や戦後を見越して降伏を画策する者が登場する。終戦間近の混乱が垣間見ることができる。

ドイツの敗戦は世界の終わりと信じていた人たちの行動は痛ましいものだった。特にゲッペルス夫人(コリンナ・ハルフォーフ)のそれは言葉にならないくらい衝撃的。夫人は6人の子どもたちを睡眠薬で眠らせたあと毒殺する。子どもの人権なんて当時の世界にはない。その後ゲッペルス夫妻は拳銃で死を遂げる。

ヒトラーの愛人エヴァ・ブラウン*1(ユリアーネ・ケーラー)についても描かれている。エヴァの妹の夫がヒトラーの命令により殺されたけれども、その後エヴァはヒトラーと結婚している。18年間の愛人生活に終わりを告げようやく結婚したエヴァの満足そうな表情が印象的だった。史実では「可哀そうなアドルフ、彼は世界中に裏切られたけれど私だけはそばにいてあげたい」と語ったという。*2

地下要塞内部の様子だけでなくベルリン市街での市民の様子も描かれている。年端のいかない少年や少女達が徹底抗戦の構えをみせる。戦争の反対を唱えるものは戦争賛成者から制裁を受ける。日本の戦争中も大なり小なりこれと似たような状況だったのだと思わせられる。

この映画で描かれているヒトラーはホロコーストでユダヤ人の大量虐殺を実行した恐ろしい人物ではなく、最後の余力で無謀な作戦を立て追い詰められていく悲哀に満ちた男という感じだ。次々に発覚する部下の裏切り。組織は崩壊寸前。最後は自分の遺体の処理の仕方まで部下に伝える。

最後の場面でユンゲは戦争で生き残った少年と自転車に一緒に乗る。ちょっととって付けたようなシーンだったけれど、ちょっと疲れた心の僕には一時の安らぎでもあった。希望の片鱗を感じさせるシーンだ。なんかこれとよく似た場面他の映画でも見たような気が……。

戦争の仕掛け人が戦争を仕掛けようとし、人の心の中にも潜む狂気を利用する者のよって戦争は促進される。戦争になりそうになった時、一人一人の自制心と勇気が試されるなと思った。平和とか戦争とかそう簡単なことがらじゃないなとは思うけど、やはり平和が一番だと僕は思う。

登場人物がかなり入り乱れ、印象の薄い人もいて細部にわたり話を一度で把握するのは難しいかもしれません。時間軸として、ヒトラーが最期の12日間とそれからドイツが降伏を受け入れるまでの数日間が描かれています。とにかく一見の価値ありです。この快作をぜひご覧になっていただきたいと思います。

*1 一般にはエヴァ・ブラウンと言われるのでそう表記した。ドイツ語ではエーファ・ブラウンの音に近い。
*2 アドルフ・ヒトラー - Wikipediaの愛人の段落より引用。

お気に入り度:★★★★★★★★☆☆(8/10)

『ヒトラー ~最期の12日間~』公式サイト
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原題:Der Untergang
監督:オリヴァー・ヒルシュビーゲル
原作:ヨアヒム・フェスト、トラウドゥル・ユンゲ
脚本:ベルント・アイヒンガー
音楽:ステファン・ツァハリアス
出演:ブルーノ・ガンツ、アレクサンドラ・マリア・ラーラ、ユリアーネ・ケーラー、トーマス・クレッチマン、コリンナ・ハルフォーフ
製作年度:2004年
製作国:ドイツ/イタリア
上映時間:155分


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2005年08月01日

映画『コースト・ガード』

「韓流シネマ・フェスティバル2005」なるものがサロンシネマで行なわれている。その中の上映作品に『コースト・ガード』という作品があった。

『コースト・ガード』はキム・ギドク監督の作品。僕は『サマリア』が初キム・ギドク作品鑑賞だったけれど、妙な余韻の残る不思議な作品だった。自分の脳の使われていない感情領域が刺激されるような感じがした。

その後、『悪い女 青い門』という映画もDVDで観た。この映画の主役はちっとも悪い女ではなかった。もっともこれは邦題が良くないんだけど。(原題では悪い女を意味する語は入っていないそうな。)この映画も妙で不思議な余韻が残る作品だった。特にラストは「あれれれ?」な展開を見せる。他にもいろいろな作品をこの監督は撮っているんだけど、彼は常にセンセーショナルな作品を世に送り出すことで有名な監督の一人だ。そういうわけで『コースト・ガード』を観ることにした。

『コースト・ガード』には韓流四天王の一人チャン・ドンゴンが主演で登場している。チャン・ドンゴンはキム・ギドク監督の才能に惚れ込み破格の安いギャラで出演したとか。チャン・ドンゴンは湾岸警備隊のカン上等兵を演じている。

湾岸警備の兵隊の任務は北朝鮮スパイの侵入を監視すること。兵役中のカン上等兵はスパイを捕まえる気満々で日々任務に着いていた。

カン上等兵が湾岸警備中、怪しい人影を発見し北朝鮮のスパイと思い銃撃した。しかしその男は村の民間人ヨンギルだったという痛ましい事件が起こる。恋人のミア(パク・チア)に誘われヨンギル(チェ・ヒヨン)は一緒に夜間進入禁止区域に入り、そこで情事を繰り広げていたところその事件は起きてしまった。

カン上等兵がスパイだと思った人物を凄まじい勢いでこれでもかと言わんばかりに殺してしまうシーンの凄惨さは目も当てられない。ヨンギルは背中に何発も銃弾を浴びせられ手榴弾でバラバラにされるのだ。身の毛がよだつ恐ろしいシーンだった。

情事の最中、目の前で恋人を殺されたミア、そして意図せず民間人を殺めてしまったカン上等兵。取り返しの付かない事件が二人の精神状態を狂わせる。

殺された男の恋人ミアと加害者のカン上等兵の変貌ぶりがこの映画の核だ。おおよそ人の理解を超えた変貌振りを彼ら二人は見せる。カン上等兵は隊員に暴力を振るったり、物を盗んだりする。また、ミアは魚をおもちゃにして遊んだり、髪の毛を包丁で叩き切ったり、湾岸警備隊の隊員と体の関係を持ったりする。

カン上等兵はどうして除隊されたのに湾岸警備隊に戻ろうとしたのだろう。殺人を犯す前の日々に戻りたかったのだろうか。そして部隊に戻ることを許されないカン上等兵は次第に狂気のエネルギーを逆恨み的に湾岸警備隊員に向けるようになる。

ミアはどうして湾岸警備隊員の何人かと肉体関係を持つのだろう。彼らを恋人と思い込んでの行動だろうか。それほどまで精神状態が変わってしまったことがとても痛ましい。そしてミアはさらに自分自身を痛めつけることになってしまう。

この映画にはおそらく何も救いはなく、『サマリア』や『悪い女 青い門』のラストで感じることができるほのかなやさしさは微塵もない。被害者だけでなく意図せず加害者になった人の壮絶なドラマが描かれている。そしてやはりラストは意表を付く展開が待っている。

それにしてもキム・ギドク監督は水をつかった場面が好きなようで。服着たままシャワーを浴びる場面がこの映画でも見られた。おお、この場面『サマリア』でも見たなと思ったよ。あと、あの鉄条網のリングのボクシング。見ているだけで痛いです。

お気に入り度:★★★★★★★☆☆☆(7/10)

監督:キム・ギドク
脚本:キム・ギドク
音楽:チャン・ヨンギュ
出演:チャン・ドンゴン、キム・ジョンハク、パク・チア、ユ・ヘジン、キム・テウ
製作年度:2001年
製作国:韓国
上映時間:94分


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2005年07月31日

映画『亡国のイージス』

見るんじゃなかった……と、この私が珍しく思ってしまった作品。この映画に原作小説があることはもちろん知っている。しかし、私はそれほど小説を読まないし、ましてや映画原作になっているから前もって読むということはしないのである。

基本的に映画というのものは一度観てそれを概ね内容を消化できるものでないといけない。そのことが不十分な映画作品は、どんなに原作小説が面白くても駄作といわざるを得ないと言いたいくらい映画『亡国のイージス』は消化不良でわけのわからない映画だった。

宮津がなぜ外国人と協力してテロを行なおうとしているのかの描写もあまりわかりやすく伝わらなかった。如月が何者なのかもいまひとつわからなかった。それにヨンファって一体どこの国の人かわからないし、FTGが何の組織なのかもわからない。ジョンヒが艦内にいる理由ももちろんわからなかった。

原作小説を読んでいる人にとっては、小説の一部が映像化されているこの作品を別の角度から楽しめると思われるが、読んでない人にとっては、チンプンカンプンな映画である可能性がかなり高いのではないかと。

画面の雰囲気も決して悪いものではなかったし、出演者も有名な面々が出演していた。しかし、説明不足な脚本が映画そのものを台無しにしている。作品としてきちんと成り立った映画作りをして欲しいと思うばかりである。観客は原作小説を読んでくるだろうとか後で本を読んでくれと言わんばかりの映画作りは止めて欲しい。小説のプロモーションビデオじゃないんだからさ……。
(2005年7月30日広島スカラ座で鑑賞)

お気に入り度:★★★★☆☆☆☆☆☆(4/10)

監督:阪本順治
原作:福井晴敏
脚本:長谷川康夫、飯田健三郎
音楽:トレヴァー・ジョーンズ
出演:真田広之、寺尾聰、佐藤浩市、中井貴一、勝地涼
製作年度:2005年
製作国:日本
上映時間:127分

By NOV at 09:52 | Comments [7] | Trackbacks [33]

2005年07月26日

映画『アイランド』

近未来SFアクション映画『アイランド』です。わかりやすい脚本とド派手なアクションシーン満載のこの映画、手に汗握りながらドキドキして鑑賞してしまいました。単純だなあとは思いつつも結構ハマって観てしまいました。この夏の娯楽大作といってもいいでしょう。

西暦2019年、特殊なコミュニティの中で生きているリンカーン・6・エコー(ユアン・マクレガー)とジョーダン・2・デルタ(スカーレット・ヨハンソン)がこの映画の中心人物です。リンカーンという名前は奴隷解放宣言で有名なアメリカのリンカーン大統領を思わせますね。

そのコミュニティの住人たちは「アイランド」へ行くことを夢見ています。「アイランド」を彼らは楽園と思っています。ところが、リンカーン・6・エコーは偶然コミュニティの外の世界へ足を踏み入れます。そこでリンカーン・6・エコーは自分がクローン人間であることを知ることに。「アイランド」へ行ったはずの者が殺される現場を目撃します。自分もいずれ殺されてしまうことを悟るのです。

ジョーダン・2・デルタが「アイランド」行きの抽選に当ります。そして、「アイランド」は存在しないと知ったリンカーン・6・エコーはジョーダン・2・デルタが「アイランド」に連れて行かれることを防ごうとします。

この映画、前半はクローン人間コミュニティが描かれています。クローン人間はありがちな近未来をイメージした白い上下一揃いの服を与えられ、食事や健康を管理をされています。仕事や娯楽はあるもののそれもコミュニティの管理下にあります。とても人間らしさからはかけ離れた気味悪い環境ですが、クローン人間たちにとって「アイランド」よりはずっと楽園的な場所でしょう。

なんとかコミュニティを脱出したリンカーンたちは、コミュニティの秘密を守ろうとする者たちに追い駆けられます。奇跡的な逃亡劇の連続で、手に汗握る展開でした。クローン人間たちの手首に装着された標識が展開上カギとなっています。

利己的欲求剥き出しの人間を見ているとなんともやりきれない気分になります。本当に人間は自分勝手だと痛感させられます。牛を殺すのもクローン人間を殺すのも近未来ではほぼ同じ扱いなのです。あり得ない話なのに、近い将来、本当にあり得るかもと思わせられました。

自分たちがクローンだと知ってからわずかに自分自身を思いつめるリンカーンとジョーダン。しかし思い悩む時間はあまりないままアクションの連続です。そんな二人の気持ちを代弁するかのようなアルバート・ロレント(ジャイモン・フンスー)が印象的です。はじめはクローンの二人を捉える立場でしたが、ラストシーンでの彼の眼差しがクローンに対する気持ちを物語っています。「きみたちも同じ人間なんだよな」と。

『真珠の耳飾の少女』や『ロスト・イン・トランスレーション』のスカーレット・ヨハンソン。今までと違い今回はかなりアクティブに動き回る役でした。人工的なクローンな感じがクールに決まっていたと思います。
余談ですが、ラブ・シーンでスカーレット・ヨハンソン自身ははブラを外して演技してもよいと言ったそうですが、PG-13だからダメなんだよと監督に止められたそうですね。(参考:スカーレット・ヨハンソン、ラブシーンは裸で
(2005年7月25日ワーナー・マイカル・シネマズ広島で鑑賞)

お気に入り度:★★★★★★★☆☆☆(7/10)

『アイランド』公式サイト
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監督:マイケル・ベイ
脚本:カスピアン・トレッドウェル=オーウェン、アレックス・カーツマン、ロベルト・オーチー
音楽:スティーヴ・ジャブロンスキー
出演:ユアン・マクレガー、スカーレット・ヨハンソン、ジャイモン・フンスー、スティーヴ・ブシェミ、ショーン・ビーン
製作年度:2005年
製作国:アメリカ
上映時間:136分


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2005年07月21日

映画『星になった少年 Shining Boy and Little Randy』

映画『星になった少年 Shining Boy and Little Randy』の話の前に個人的な話から。私はタイが好きです。私の数少ない海外旅行歴の中でダントツの訪問回数を誇る。手頃な予算で旅ができて、リラックスできるところがお気に入りの理由かな。

ちょっと、今回は特別に、タイ旅行の写真を公開させていただきます。ゾウ絡みの写真がほとんどですが、どうぞご覧ください。(クリックすると写真は拡大します。)

象に乗って1
私は左側から数えて二番目に写っています。
トレッキングの途中、象に乗せてもらいました。

象に乗って2
上の2つの写真は人に撮ってもらった写真です。

首長族の村の風景
首長族村のおみやげ屋。観光地となっています。

川で水浴びする象
首長族の村にいた象たち。気持ち良さそうですね。

それでは、そろそろ『星になった少年 Shining Boy and Little Randy』の話を始めたいと思います。

小川哲夢(柳楽優弥)の家は動物プロダクション。犬、猫、ポニー、牛、ロバ、羊、山羊、ラクダ、チンパンジーなどと家族は共に暮らしていた。ある日、哲夢の母、佐緒里(常盤貴子)が購入したゾウのミッキーと出会う。その後、仔ゾウのランディもやってきたが、ランディは人のいうことを聞くように訓練されていなかった。哲夢はゾウ使いになるためタイへ行くことを決意する。

この映画は映画好きならもう誰もが知っているご存知カンヌ賞受賞俳優の柳楽優弥君の主演作品です。日本で3週間、タイで2週間のゾウ使いの訓練を受けたという。哲夢役の彼がゾウ使いの術を体得していくタイでの場面に引き込まれました。ゾウを扱えるようになった頃の彼は本当のゾウ使いにしか見えなかったですね。

タイのゾウ使い学校の生徒との距離に現実感がありました。「こいつ、日本から何でゾウ使いの勉強に? 道楽で来ているんじゃないのか」という眼差しを哲夢に向けます。まったくゾウを扱えず、ゾウに振り回されてばかりいた哲夢にはとても痛そうな眼差し。家でゾウを飼っている人は大金持ちだとタイ人は言う。

ゾウを扱えない苦難を乗り越えた哲夢は、やがて生徒たちとも打ち解けます。タイ語もかなり板についていました。訓練を終える頃、もう哲夢はタイ人にしか見えなかったです。本当に。
余談ですが、基本的にタイ人はテツをテツと発音しません。テスになってしまいます。カズヤはカスヤと発音してしまうのがタイ人です。まあ、そういうわけで哲夢はタイ人の発音を正す場面があります。

ちょっと知っておくといいかもしれないタイ語をいくつか。
チャーン:ゾウのことです
アオ:食べるという意味です。
アローイ:おいしい。うまい。
ヌン、ソン、サーム:1、2、3
マイペンライ:気にしない。ドンマイ。
タイ語の堪能な方、他の言葉もコメントしてくれると嬉しいです。

ウルルンのようなタイ留学も終わり、日本に帰った哲夢はその後夢をひたすら実現しようとします。タイでゾウ使いの術を学んだ哲夢はもう昔の哲夢とは違い、自信に満ちた行動を取るようになっていました。ゾウさんショーの開催も見事に成功を収めましたが、「ゾウの楽園」を夢見たまま哲夢は星になったのです。あの瞬間のゾウたちの叫びが今でも耳に残っています。

偶然にも、テレビで坂本哲夢さんの葬儀シーンを見ましたが、大切な人を失ってゾウさんたちは本当に悲しんでいるように見えました。そして、映画での葬儀シーンのゾウさんたちも悲しんでいました。映画の世界でゾウが悲しみを表現するとは思いも寄らなかったことです。

実話では坂本哲夢さんは12歳でタイへ行ったのですが、映画ではその点は大きく違うところです。柳楽君の年齢に合わせてその辺は調整されたのだろうと思います。そして、賢いゾウさんたちと代役なしでゾウ使いを演じトカゲを食べ(たのかな?)タイ語を駆使した柳楽君に私は拍手を送りたいと思います。
(2005年7月16日広島宝塚で鑑賞)

お気に入り度:★★★★★★☆☆☆☆(6/10)

『星になった少年 Shining Boy and Little Randy』公式サイト
『星になった少年 Shining Boy and Little Randy』の上映映画館
星になった少年@映画生活
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監督:河毛俊作
原作:坂本小百合(ちび象ランディと星になった少年
脚本:大森寿美男
音楽:坂本龍一
出演:柳楽優弥、常盤貴子、高橋克実、蒼井優、倍賞美津子
製作年度:2005年
製作国:日本
上映時間:113分
キャスト&スタッフについてもっと詳しく


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2005年07月19日

映画『カナリア』

『カナリア』という映画を観た。一瞬『サマリア』と聞き間違えそうになる。東京ではもう何カ月も前に公開された作品だが、広島でようやく公開されたので鑑賞できた。この映画は、地下鉄サリン事件を起こした宗教団体オウム真理教にいた子どもたちのその後をモチーフにした作品である。

題名は、地下鉄サリン事件の後、教団の強制捜査時に有毒ガス探知に用いられたカナリアや、教団の中に閉じ込められた子どもたちをカナリアにたとえられるところから由来しているようだ。

岩瀬光一(石田法嗣)は、新興宗教団体「ニルヴァーナ」の崩壊後、児童相談所に妹の朝子と共に預けられた。光一の祖父(品川徹)は朝子だけを引き取った。光一は妹を奪い返し、行方不明の教団幹部の母(甲田益也子)を捜し出すため、児童福祉施設を抜け出した。

児童相談所を脱出した光一は、東京へ行き、妹を奪い返すつもりだが、所持金をロクに持たぬ状態で、ただひたすら歩いて単独で東京へ行こうとしていた。ところが光一は偶然トラブルに巻き込まれた少女と出会う。彼女の名は、由希(谷村美月)。由希は父親の虐待から逃げたい気持ちと光一の役に立ちたい一心で東京へ一緒に行くことに。

旅の途中、光一は無口であまり笑ったりせず押し殺したような表情でいることが多い。一方、由希はおしゃべりで表情豊かで光一とは対照的。閉塞的環境の象徴としての光一は、開放的で世俗的な世界の象徴の由希と出会うことで少しずつ新たな世界に光一は馴染んでいく。

光一の教団生活時代の一部も描かれている。家族揃って出家して教団に入団する場面。親と子を引き離す場面。お供物と称される妙な食べ物が光一と朝子に与えられる場面。光一が折檻を受ける場面。現実に存在する教団とどれくらい似せているのかよくわからないけれど、カルト教団の特殊な雰囲気自体はよく伝わってくる。

光一は由希やニルヴァーナの元信者たちと出会ったことで新たな自分を築きつつあったが、新たな悲劇が光一を襲う。その後の光一の身体変化はちょっと信じられないくらい急すぎるものだったが、悲劇の影響をあえてわかりやすく表現したのかもしれない。

由希がいうように、子どもは親を選べないけれど、大人も子どもも今より明日がよくなるよう前向きに歩くことからはじめるしかない。元教団の子どもに限らず、すべての人へ向けたそんなメッセージを感じる作品である。

この作品で、由希を演じた当時12歳の谷村美月の演技は評判通り素晴らしい。不安定な少女時代特有の危うさ、少年を守りたい母性、ボーイッシュな雰囲気を持つ由希のキャラクターが彼女の演技によく表れていたように思う。今後の活躍にも期待したいです。

(2005年7月16日シネツイン2で鑑賞)

『カナリア』公式サイト
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監督:塩田明彦
脚本:塩田明彦
音楽:大友良英
出演:石田法嗣、谷村美月、西島秀俊、りょう、つぐみ
製作年度:2004年
製作国:日本
上映時間:132分


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2005年07月18日

映画『リチャード・ニクソン暗殺を企てた男』

映画『リチャード・ニクソン暗殺を企てた男』を観ました。この映画は、弱い弱いアメリカの一国民が当時のアメリカ大統領、リチャード・ニクソンを暗殺しようとした事件に基づくものです。リチャード・ニクソンを暗殺しようとした男役をショーン・ペン、その彼の妻役をナオミ・ワッツが演じています。21グラムにも出演していた二人、今度は別居中の夫婦役で共演しています。

リチャード・ニクソン暗殺を企てた男、サム・ビックを演じるショーン・ペンの演技が際立っています。彼は人生をやり直そうと彼なりに悩んでいました。サムが、悲哀、苦悩、焦り、閉塞感、絶望、孤独、といったものに支配されていく。そんな役柄をショーン・ペンは見事に演じられています。特に暗殺計画当日、金属探知ゲートでのサムの臆病な様子が印象的。

正直すぎる人ゆえに自暴自棄になっていく人の精神病理の一端が描かれているような映画です。サムにはポニー(ドン・チードル)という友人がいたにも関わらずどんどん自分で自分を追い込みます。自分は悪くない、そして世の中が悪いのは他人のせいとサムは勝手に思い込みを強くしていきます。そして、彼はリチャード・ニクソンを元凶と思うのです。

最後、彼はハイジャックした機内で自分の名前を連呼します。己の存在を誇示するかのように。そして彼が求めたウソの無い世界への行動の代償はあまりにも大きい。ハイジャック事件のテレビ報道があっても、マリーやポニーはニュースに気付きません。その時、40代男性の名前は報道されなかったのですから。なんともいえない寂しくて虚しい感情が後を引く映画でした。
(2005年7月16日サロンシネマで鑑賞)

お気に入り度:★★★★★★★☆☆☆(7/10)

『リチャード・ニクソン暗殺を企てた男』公式サイト
『リチャード・ニクソン暗殺を企てた男』を上映している映画館は?
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監督:ニルス・ミュラー
脚本:ケヴィン・ケネディ、ニルス・ミュラー
音楽:スティーヴン・M・スターン
出演:ショーン・ペン、ナオミ・ワッツ、ドン・チードル、ジャック・トンプソン、マイケル・ウィンコット
製作年度:2004年
製作国:アメリカ
上映時間:107分

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映画『彼女を信じないでください』

映画『彼女を信じないでください』は、キム・ハヌル主演の奇妙なラブコメディ。刑務所を出所したばかりの女詐欺師、ヨンジュ(キム・ハヌル)は、素朴で真面目な薬剤師、ヒチョル(カン・ドンウォン)を痴漢と間違え大騒ぎ。車内でしばらくすると、ヒチョルは恋人へのプロポーズに用意した指輪を見知らぬ男に掏(す)られてしまう。列車を降り、ヨンジュはその指輪を見事に取り戻したが、姉への結婚祝いの贈り物の雁の木工芸品が入ったカバンを列車に置き去りにしてしまう。大切なカバンを探しにヨンジュは、ヨンガンにあるヒチョルの家を訪ねる。ヨンジュはなぜかヒチョルの恋人のふりをしてしまうことになる。

主演女優のキム・ハヌル。刑務所を出所したばかりの女詐欺師役の演技が冴え渡ります。ヨンジュはヒチョルの恋人ではないのに、ヒチョルの親戚一同に恋人のフリをしてしまう一連の流れが面白い。特に、あの病院でのエピソードは抱腹絶倒ものでした。そして、ヨンジュはヒチョルの婚約者として受け入れられてしまいます。
一方、ヨンジュがヒチョルの婚約者という扱いを受けていることにヒチョルは驚きます。ヒチョルは必死でヨンジュの言うことを否定するのに、家族は誰一人信じてくれません。信じてくれないばかりか、ケダモノ扱いまで受けることに。

この作品は、キム・ハヌルとカン・ドンウォンのラブコメディということではありますが、ちょっとひねりが利いています。カン・ドンウォン演じるヒチョルにはチェウン(ナム・サンミ)というプロポーズをしようとした恋人がすでにいることです。一体、この辺をどうクリアして、刑務所を出所したばかりのヨンジュと純朴な青年ヒチョルとのありえないカップルがどうでき上がるのかが見物でしたが、とても上手く構成されていたと思います。
そして、単なる二人のラブコメディの枠に収まらず、田舎の地縁や血縁、ヨンジュの姉の結婚などでストーリーにいい具合に幅をもたせています。私にとって意外にも面白くそしてちょっぴり感動できるラブコメディでした。
Mr.唐辛子にはなりたくないなあ……。あれは本当に辛そうだ。
(2005年7月15日サロンシネマで鑑賞)

お気に入り度:★★★★★★★☆☆☆(7/10)

『彼女を信じないでください』公式サイト
『彼女を信じないでください』を上映している映画館は?
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監督:ペ・ヒョンジュン
脚本:チェ・ヒデ 、パク・ヨンソン
音楽:チョ・ヨンウク
出演:カン・ドンウォン、キム・ハヌル、ソン・ジェホ、キム・ジヨン、イ・ヨンウン
製作年度:2004年
製作国::韓国
上映時間:115分


映画『彼女を信じないでください』関連商品

彼女を信じないでください サントラ
デラ・リーズ キム・ハヌル
このサントラ、アマゾンカスタマーレビューによると、劇中カン・ドンウォンが歌う『Aubrey』も収録されています。残念ながら、Mr.唐辛子の大会の時の曲は入っていないようです。
彼女を信じないでください  サントラ

彼女を信じないでください 文庫本
入間 真
彼女を信じないでください 文庫本


By NOV at 08:41 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2005年07月16日

映画『皇帝ペンギン』

まもなく公開の『皇帝ペンギン』。楽しみにしている人、多いのではないでしょうか。私もそんな楽しみにしている一人です。前売り券も購入し、携帯クリーナー「ペン太」もゲットしてしまいました。

2005年7月15日の日本経済新聞朝刊の最終項にはリュック・ジャケ監督自身の記事があった。当時研究者を目指していた監督の南極との出会いや『皇帝ペンギン』撮影の時のことが語られている。特に皇帝ペンギンの産卵場面をフィルムに収められなかったことを残念に思っていると言っていたのが印象的。

マイナス40℃の一面氷の世界。そんな凍てつく寒さの中で、皇帝ペンギンが群れを成し生きている。予告編を見ただけなのに、そのような奇跡的とも思える生命の逞しさに身の引き締まるような感動を覚えずにはいられない。
『皇帝ペンギン』予告編(wmp):512Kbps1000kbps

2005年1月、フランスで公開されると、またたく間に『WATARIDORI』『ディープ・ブルー』の10倍以上の大ヒットを記録したというこの南極での物語。撮影は、リュック・ジャケ監督とたった3人の仲間で8880時間の時間をかけて行なわれたそうである。

この映画は、まるで一組の皇帝ペンギンの夫妻を追いかけたかのような物語仕立てのドキュメント。120日間何も食べずに卵を温め守る父ペンギンと産卵で体重の1/5を減らしてまでもヒナのため命がけでエサをとりに100km先の海へと旅立つ母ペンギンをメインに、極寒の南極で逞しく生きるペンギンや親子の愛、愛らしいヒナがフィルムに収められている。

劇場公開は7月23日から全国拡大公開。なお、恵比寿ガーデンシネマではもう既に公開中。吹替版では、大沢たかおが父ペンギン、石田ひかりが母ペンギン、神木隆之介が子ペンギン、また、字幕版では、ロマーヌ・ボーランジェが母ペンギン、シャルル・ベルリングが父ペンギン、ジュール・シトリュックが子ペンギンの心の声を語る。吹替版が主に全国で公開され、字幕版の公開は、東京、大阪、神戸、広島と福岡の5都市に限定されている(詳しくはコチラ)。ペンギンたちに会える夏、もうすぐです。

7月24日に吹替版の『皇帝ペンギン』を鑑賞しました。生命体には非常に厳しい氷の大地で暮らす皇帝ペンギンたちのライフサイクルを追ったドキュメンタリーでした。

海から弾丸のように飛び出し白い大地に着地する。よちよち歩きで行進したり、腹ばいになりソリみたいに滑りながらペンギンたちは前進する。そんな皇帝ペンギンたちの姿が愛らしい。

皇帝ペンギンたちが目指す場所は彼らの生誕の地、氷山に囲まれたオアモックと呼ばれるところだ。彼らは繁殖のために100キロ以上も行進してその土地へたどり着くのだ。

この映画はかわいらしいペンギンの姿だけではなく、過酷な自然の厳しさも伝える。群れから逸れたペンギンの運命、抱卵できずに避けてしまった卵、外敵の襲来など、厳しい自然の掟を目の当たりにする。

世界一厳しいとも言われる皇帝ペンギンの子育ては、私の想像を遥かに超えて厳しい。母ペンギンは産卵後、卵を父ペンギンに渡しエサを海へ出発する。その後2カ月ほど父ペンギンは何も食べずにずっと抱卵する。どんなに吹雪がすさまじくても必死に卵を孵(かえ)すためオスは卵を守り抜くのだ。

過酷な抱卵が終わり、かわいらしいヒナが孵っても、母ペンギンが戻ってくるまで父ペンギンはヒナを守らねばならない。悲しいことに厳しい南極の自然の犠牲になってしまうヒナもいる。母ペンギンが戻ってくると今度は父ペンギンが海を目指す。海で父ペンギンはエサを食べてから戻る。

少しばかり成長したやんちゃな子ペンギンは元気に歩き回る。大自然の厳しさと子ペンギンたちのかわいらしさが非常に際立っているように思えた。やがて子ペンギンは子ペンギンたちで生きていく。母ペンギンや父ペンギンもそれぞれ海を目指し別の道を歩くのだ。そして、再びオアモックを目指していく。

擬人化したペンギンたちのナレーションは押し付けがましく感じないわけでもなかったけれど、8880時間も撮影したフィルムを凝縮しただけあって映像は実に素晴らしいものであった。個人的には海中で空を飛ぶかのごとく自由に泳ぐペンギンが気に入っている。繁殖地を旅立つ母ペンギンを追い駆ける子ペンギンの姿がかわいらしくもあり、また切ないものでした。

参考サイト:『皇帝ペンギン』公式サイト
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原題:LA MARCHE DE L' EMPEREUR
監督:リュック・ジャケ
脚本:リュック・ジャケ、ミシェル・フェスレール
音楽:エミリー・シモン
声の出演:ロマーヌ・ボーランジェ、シャルル・ベルリング、ジュール・シトリュク
製作年度:2005年
製作国:フランス
上映時間:86分


映画『皇帝ペンギン』の関連グッズはこちら

皇帝ペンギン -La Marche de l'empereur-
リュック・ジャケ 岡田 好恵
かわいいペンギンたちの姿が満載のオフィシャルガイドブック。ソフトバンクパブリッシングより好評発売中。
皇帝ペンギン -La Marche de l'empereur-

皇帝ペンギン サウンドトラック
エミリー・シモン
アルバム収録曲
(1)凍った世界 (2)南極 (3)たいせつなタマゴ (4)海の詩 (5)赤ちゃんペンギン (6)襲いくる鳥達 (7)南のオーロラ (8)海豹 (9)嵐の詩 (10)母の苦しみ (11)氷上のダンサー (12)すべて真っ白 (13)冒険 (14)雪の足跡 (15)アイス・ガール
皇帝ペンギン


By NOV at 14:03 | Comments [2] | Trackbacks [7]

2005年07月14日

映画『マゴニア』

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マゴニアとはヨーロッパに古くから伝わる想像上の世界。映画『マゴニア』は、船乗りの父親が、マゴニアでの3つの物語を息子に語って聞かせる三話形式のオムニバス映画となっています。

最初のお話は、「師の歌を奪った青年」。モスクのあるイスラムの街が舞台です。師と青年と師に仕える女性を中心に物語は進行する。
この話では、なんといっても師の歌を奪った青年の歌に驚きました。何を歌っているのかはさっぱりわからないのですが、あれほど宗教的な精神にみなぎる力で心にしみる歌を歌うところをはじめてみました。異国情緒にあふれていて美しい画面を見せてくれます。この章が一番「マゴニア」という雰囲気に溢れているように私は思いました。

次のお話は、「砂漠の孤島に訪れた夫婦」。白人夫婦の乗る自動車が故障して、彼らは砂漠の一軒家に立ち寄る。そこには年老いた黒人と彼の息子が住んでいた。
先進的な文明とプリミティブな文明の出会いを例えたようなお話でした。そのどちらが良いとか悪いとかそういうことが表現されているわけではなく、互いに何か惹かれているといった雰囲気で物事が描かれています。

3つ目のお話は、「恋人の迎えを待つ女」。風が吹き、陰鬱な曇り空の港町、今日もヨセは、船乗りのラムジーを待っていた。そして、船の設計士の若者はヨセに思いを寄せている。
3つ目のお話の世界は、今までの世界よりずっと現実的で俗っぽいものでした。ヨセのような女性も現実にいそうな気がしました。酒場のぶてっとした店主がとてもいやらしいキャラだったので一体マゴニアって何が何だかわからなくなり混乱しました。地上からこんな世界へ果たして行きたいと思うのでしょうか。

エピローグです。その日、息子はいつものように父と会おうとしましたが会えません。息子は、父といつも別れていた門をくぐりました。そこの敷地にある病院あるいは療養所みたいな場所へ入ります。
このエピローグで3つの物語の世界がまとまります。そのようにまとまっていくのはいいのですが、あのラストは一体何を意味するのか未だによくわかりません。なんであんなひどいラストなんだろう。帆船の形をした凧が宙に舞うまでは良かったのに……。最後、なんだかぶち壊された気分になってしまいました。3つの話の中では、「師の歌を奪った青年」がよかったですね。詩的な美しさを感じました。あー、でもやっぱり、ラストが……です。この思い、わかってくれる人いるでしょうか。(2005年6月27日シネツイン1で鑑賞)
お気に入り度:★★★★★☆☆☆☆☆(5/10)

監督:イネケ・スミツ
原作:アルチュール・ジャピン
脚本:アルチュール・ジャピン
出演:ウィレム・フォーフト、ディルク・ローフトホーフト、ラムゼイ・ナスル、ナト・ムルバニゼ、ノダル・ムガロブリシヴィリ
製作年度:2001年
製作国:オランダ
上映時間:112分


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2005年07月13日

映画『オープン・ウォーター』

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この映画がワーナー・マイカルで上映されたことは、ちょっと驚きなできごとと言えるかもしれない。広島だとこの作品は、サロンシネマやシネツイン、あるいは横川シネマあたりで上映されそうなのに……。

スキューバダイビングをしたことがなくてもちょっと想像してほしい、あなたは海の真ん中に取り残される。周りは水平線しか見えない。まさしくオープン・ウォーター。まったく救助がくる気配はなし。

そんな状況に実際陥ってしまう話がこの『オープン・ウォーター』だ。ダイビングを楽しんでいた夫婦が海に取り残されてしまう恐ろしい話だ。実際、こういうことは本当にあるようだ。

前半、海に取り残されてしまう場面までの展開。いかにして夫婦は海に取り残されたかが描かれる。マスクを忘れてダイブできない男の存在が夫婦の悲劇を招く一因とはなったが、やはりいいかげんな人数チェックを行ったクルーの責任は重大である。ボンベチェックくらいきちんとしていれば……。
夫婦がいかにして海上に置き去りにされてしまうかという一連の流れは、一般に過ちがどのようにして起こるかの典型例でもあった。

後半は、取り残されてしまった夫婦の様子が映し出される。海に取り残されたことを、受容できない段階を経て、どうしてこんな目に遭うのかと怒る夫婦の様子は、まるでキューブラー・ロスの「死ぬ瞬間」までの段階を辿るかのようである。

後半はほとんど海上のシーンで、海中の場面はあまりない。夫婦が海中でクラゲに刺されたり、魚に咬まれたりする。そして、恐ろしいサメも忍び寄ってくる。夜、夫婦が宿泊していたリゾート地では、観光客が大いに夜を楽しんでいる場面が映る。一方、夜になっても救助は無く、絶望の底に二人は追いやられていく。

ジョーズのように危機迫る様子がこの映画では描かれているわけではないので、エキサイトな要素に乏しい。画面もデジタルビデオで撮影した画像で、それほど美しい画像ではない。そして、あまりにも呆気ないラストに怒る人もかなりいるというこの作品。あなたも試してみますか?

アメリカでヒットしたということのほうが映画よりも恐ろしいと言えなくもない。あと、娯楽性を期待してはいけない。じわりじわりと見えない恐怖におびえる感覚は体験できるかもしれない。実際にサメをおびき寄せて撮影したこの作品。俳優たちは、保険にも入らず命がけで撮影に挑んだという。

「サメに襲われそうになった時 乾電池を持っているとサメは逃げ出す」(トリビアの泉)を思い出した。海には乾電池をもって行こう(笑)。(2005年6月25日ワーナー・マイカル・シネマズ広島で鑑賞)

お気に入り度:★★★★★☆☆☆☆☆(5/10)

原題:Open Water
監督:クリス・ケンティス
脚本:クリス・ケンティス
出演:ブランチャード・ライアン、ダニエル・トラヴィス
製作年度:2003年
製作国:アメリカ
上映時間:79分


オープン・ウォーター DVD
オープン・ウォーター

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2005年07月10日

映画『サマリア』

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『サマリア』は、援助交際をする女子高生を主題にした物語。この物語は三部構成になっている。

第一章は「バスミルダ」。バスミルダとはインドの伝説の娼婦の名。バスミルダと寝た男は仏教を信仰するようになったという。
ふたりの女子高生、チェヨン(ソ・ミンジョン)とヨジン(クァク・チミン)は親友同士。チェヨンは天真爛漫な笑顔で、自分をインドの伝説の娼婦バスミルダと呼ぶ。父ヨンギ(イ・オル)と二人暮しのヨジンは、ためらいなく援助交際をするチェヨンの見張り役や稼いだ金銭の管理をする。いつかふたりでヨーロッパ旅行にいくことを夢見て貯金をする。
ところがある日、悲劇は訪れる。いつものようにヨジンは、チェヨンが客の相手をしているホテルの監視をしていたが、目を離した隙に警察はチェヨンの部屋に捜査突入。警察の手を逃れたいチェヨンは、ホテルの窓から身を乗り出し飛び降りる。

第二章は「サマリア」。この章は、聖書に登場する「サマリアの女」を題材にしているという。
チェヨンは飛び降りた後この世を去ってしまった。ヨジンはチェヨンに対して罪の意識を背負っていた。そして贖罪の為にヨジンは、チェヨンが援助交際した相手を呼び出し、その男たちとセックスしてお金を返していく。
男を汚らわしいと思っていたころが嘘のように、次から次へと男を相手にし、お金を返していくヨジン。しかし、刑事として勤務中のヨジンの父は、娘がホテルで男と一緒にいるところを目撃してしまう。

第三章は「ソナタ」。これは韓国でもっとも大衆的な乗用車「ソナタ」にちなんでいるとか。
娘の不道徳な場面を見た父は娘の行為を妨害する。父は妨害を繰り返すうちに社会常識を逸脱した行為をエスカレートさせていくこととなった。そして、ヨジンは父と一緒に車で旅に出発する。

『サマリア』を製作したキム・ギドク監督は、『魚と寝る女』や『悪い男』といったセンセーショナルな作品を世に送り出しているという人である。今作でも援助交際という不道徳なテーマで話題を喚起した。
ヨーロッパ旅行を夢見る親しいふたりの女子高生、本能的でどうしようもない男たち、社会の枠からはみ出してしまう父親の姿を通して見えてくるものは何か? 世の中に潜む悲痛な叫びが私たちの胸を鋭くえぐる衝撃の作品。本作はペルリン国際峡画祭で、銀熊賞(監督賞)を受賞したキム・ギドク監督の作品。一見の価値ありです。

この先、ネタバレをしている可能性があります。ご注意を。

第一章ではふたりの親友模様が描かれています。「ソンユド公園」でふたりが駆り遊んでいる場面、今しかないふたりの儚い時の流れを感じさせる詩的情緒が漂っています。

援助交際をためらい無く満面の笑顔でやるチェヨン。彼女の行う行為は一般には不純な行為というけれども、彼女のその行為は不思議なことに不純のかけらは微塵もなく、むしろ純粋で清らかな行為にさえ思えてしまう。そのギャップは私を当惑させます。援助交際は善なのか、それとも悪なのか、私はとても混乱してしまいました。

チェヨンの親友ヨジンは、チェヨンとは異なり援助交際で知らない男と寝ることは汚らわしいことと考えていました。ヨジンは、チェヨンが他の男と寝ることを嫉んでいるかのようにも見えます。チェヨンとヨジンのふたりの世界はやがてチェヨンの死で失われるのです。

第二章「サマリア」では、ヨジンはチェヨンに対する罪の意識を背負うことになります。ヨジンにとって、チェヨンに命を絶たせてしまった罪を悔い改める行為は、チェヨンが相手した男と連絡しセックスをしてお金を返すことでした。このことに対してもまた私はとても驚きました。どうしてそれが贖罪行為になるのかちょっとひねりが利きすぎていてすぐには理解できなかったような気がします。

ヨジンが贖罪行為を繰り返していきます。ヨジンはチェヨンが行ったことと同じ行為を男たちに与えていきます。違うのはお金を男に返すところだけです。
この行為を通じてヨジンはチェヨンに近づきながら、やがて同化していく様子がわかります。かつては男を汚らわしく思っていたヨジンですが、少しずつチェヨンのように男と寝ることを楽しんでいるようでもありました。そして、私は、ヨジンの精神が解放され救われていく様子に安堵感を覚えました。このころには、ヨジンのこの行為をなんだか理解できるようになってきました。

第三章では、娘の不純な行為を見つけた父親が、どうしようもない怒りの感情にまかせ、娘と関わった男たちを妨害したり傷害を加えたり、時には殺めてしまいます。娘の不純な行為を目撃した父親ですが、彼は一切娘には注意できません。世の中の道徳のラインが非常に曖昧なところを如実に表わしているのかもしれません。なぜなら、援助交際が絶対的な悪であるなら父親は娘を厳しく注意できると思うからです。

男たちに狂気なエネルギーで制裁を加えた父親はやがて決心をして娘ヨジンと旅に出ます。
旅で立ち寄ったヨジンの母の墓参りのあと、自動車は坂道の途中石に進路を妨害され、父親は運転を諦めて休憩します。一方、チェヨンは車の邪魔をしている石を取り除きます。この場面には、それぞれの人生に対する心理状態が反映されているように感じました。もう進めないなあという諦めの心理と、何かがあっても前へ進むという前向きな気持ちです。

旅の途中、ヨジンは父親の前で泣き叫ぶ場面があります。娘に対して父親は何も言いません。ヨジンは、ヨジン自身が行った贖罪行為を父親が気付いたことを確信したのでしょう。チェヨンに対する贖罪はできても父親に対しては罪の意識をきっと感じたのだろうと思います。救いを求めて行った行為が一方では絶望的な行為になってしまうのです。非常に心苦しい場面でした。

ラストは、まさか、ヨジンが父親に殺されて本当に終わるのかと思ったら、それはヨジンが車の中で見た夢でした。その夢からも、父親に対する罪の意識の自覚が伺えます。
不快な夢から覚めたヨジンは、父親から強引に自動車の運転を教えられます。そして、父親は警察に連絡しそれまでの犯罪を告げるのです。
しばらくしてヨジンと父親のいる川原へ警察がきます。父親は警察に連行されます。「これからは一人で生きるんだ」とヨジンに言い残して。
ヨジンは覚えたばかりの自動車運転技術で父親を連行する車を追いかけます。まだ危なっかしい車は父を追い駆けます、ぬかるみにはまっても必死でヨジンは父親を追い駆けようとしますが、父親の乗せられた車にはもう追いつけません。こうして父親と娘の旅は終点を迎えるのです。この最後の父を追い駆ける場面が、この先のヨジンの人生をいろいろと暗示していることはいうまでもありません。

『サマリア』を観て、当惑させられ、心の一部を剥がされ、そこの空間に何かを注入されてしまいそう感覚を覚えました。このような作品を製作できるキム・ギドク監督は稀有な才能の持ち主であることは間違いないと思いました。信じられないほどの狂気の父親を演じたイ・オルの演技も迫真でした。体当たりの演技で女子高生を演じた、クァク・チミン、ハン・ヨルム(サマリア撮影後、ソ・ミンジョンより改名したそうです。)の今後も期待ですね。(2005年6月25日サロンシネマで鑑賞)

お気に入り度:★★★★★★★★★☆(9/10)

原題:사마리아
監督:キム・ギドク
脚本:キム・ギドク
音楽:パク・ジウン
出演:クァク・チミン、ソ・ミンジョン、イ・オル、クォン・ヒョンミン、オ・ヨン
製作年度:2004年
製作国:韓国
上映時間:95分

映画『サマリア』の関連商品の紹介

サマリア DVD
クァク・チミン キム・ギドク ハン・ヨルム イ・オル
サマリア DVD

サマリアの少女 単行本
映画『サマリア』のノベライズ本あります。
サマリアの少女

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2005年07月06日

映画『猟人日記』

『猟人日記』公式サイト
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『猟人日記』は、アレグザンダー・トロッキの自伝的小説「ヤング・アダム」の映画化作品である。1950年代のスコットランド・グラスゴーで、本能のままに生きる青年の行動を通して運命の残酷さや虚無感が描かれる。

青年ジョー(ユアン・マクレガー)は、船長のレズリー((ピーター・ミュラン)と二人で海に漂う若い女性の水死体を、桟橋の上に引き上げる。貨物船で運搬業を営む夫妻のもとでジョーは、作業員として働いていたが、夫のレズリーがパブへ出かけた隙に、その妻エラ(ティルダ・スウィントン)と性的関係を持つ。そして、水死体にまつわる事実がやがて明かされていく。

この作品は、ジョーが貨物船で作業員をしている時間軸と元恋人のキャシー(エミリー・モーティマー)と出会ってからの時間軸の二つで構成されている。ジョーの元恋人キャシーとの回想シーンが進行していくと、やがて女性の水死体に隠された真実が明らかとなる。

画面は、全体を通じて鬱陶しい気分にさせるようなく重々しさが漂っており、不倫や殺人、冤罪などといったダーティーな事柄ばかりが起きそうな雰囲気に満ちていた。

ユアン・マクレガー最新作の『アイランド』も気になる今日この頃ではあるが、『猟人日記』に出演しているユアン・マクレガー演じる小説家志望のジョーの放蕩青年ぶりにはかなり驚かされる。「女なら誰でもいいのか?」って思ってしまうくらい次から次へと成り行きまかせに女性をハシゴすることに。
ジョーは女をいろいろ抱くわけであるが、そこにおそらく愛はなく、ただ渇きを癒すかのごとく女を求める男の姿があるだけだ。ユアン・マクレガーは、そんなふうに衝動のまま行動するジョーを見事に演じていた。

エラを演じるのはティルダ・スウィントン。最近私が観た映画『コンスタンティン』ではガブリエル役としても出演していた。この映画の登場人物の中で、彼女の演技は特に目を見張るものだった。
ジョーに対して冷淡であるかのように見えたエラだが、一度、肉体関係をジョーと持ったとたん、とてもオープンになる。この変貌振りに驚かずにはいられなかった。ユアン・マクレガーとの情事は、薄汚く本能的で、妙なリアリティが感じられる。

この映画は、鑑賞して感動したり、心の糧となったり、わくわくして楽しめたりするわけではないので、誰にでも薦められるというものではない。しかし、退廃的で本能的、不条理なこの物語は一見の価値はあるだろう。妙に後を引く一本である。それから、ユアン・マクレガーのファンの女性にはちょっとキツイ一本かもしれないことを付け加えておきたい。(2005年6月日シネツイン1で鑑賞)

お気に入り度:★★★★★★☆☆☆☆(6/10)

原題:Young Adam
監督:デヴィッド・マッケンジー
原作:アレグザンダー・トロッキ
脚本:デヴィッド・マッケンジー
音楽:デヴィッド・バーン
出演:ユアン・マクレガー、ティルダ・スウィントン、ピーター・ミュラン、エミリー・モーティマー、ジャック・マケルホーン
製作年度2003年
製作国:イギリス/フランス
上映時間:98分


映画『猟人日記』のDVDと原作本の紹介

猟人日記 DVD
ユアン・マクレガー
猟人日記

ヤング・アダム 単行本
アレグザンダー・トロッキ 浜野 アキオ
映画『猟人日記』の原作小説です。
ヤング・アダム

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2005年07月05日

映画『マイ・ブラザー』

『マイ・ブラザー』公式サイト
『マイ・ブラザー』を上映している映画館は?
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『マイ・ブラザー』はウォンビンとシン・ハギュンが共演する兄弟と母の人間関係を描いたドラマ。ウォンビンは明るくケンカが得意で破天荒な弟役を、そして、口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)の状態で生まれたシン・ハギュンはちょっと内気で繊細で秀才な兄役を演じる。そんなふたりの絆と母の情愛たっぷりの世界に感動せずにはいられない。

弟ジョンヒョン(ウォンビン)は、ケンカばかりして周りにいつも迷惑をかけている。同じ学年の兄ソンヒョン(シン・ハギュン)は、弟とは違い学業優秀で、母親(キム・ヘスク)にとても可愛がられている。弟は周囲の期待を受ける兄をうらやましく思っている。いつもいつも弟は、ケンカを繰り返し母に叱られる日々を送っていた。
ふたりがお互いに女子高生のミリョンを好きになってしまった高校時代もやがて終わりを告げ、兄はソウル大学の医学部へ進学、弟は予備校通いとなる。ある日のこと、母親は食堂を始めようと思い不動産会社と物件の契約を交わしたが、母親の希望を覆す事件が発生する。

『マイ・ブラザー』の試写会に運良く当ったのでシネツイン2へ試写会でこの作品を観に行かせていただきました。ところで、試写会の参加者は私を含めて男は3人ほどしかいなかったから、なんだか落ち着きませんでした。本当、驚くほど女性ばかりの試写会でした。ちょっと肩身の狭い思いがしました。

私は五人兄弟の真ん中で、兄が2人、あとは妹と弟がいます。そういうわけで、僕にはたくさんブラザーがいます。そのせいでしょうか、この映画は私にとって結構泣けてしまったお話です。全然映画に出てくるふたりのような兄弟関係ではないのですが、幼いころのケンカや遊んだ時のことを思い出したりして不思議なほど涙もろくなりました。

それにしても、男兄弟をテーマに映画を作る発想は韓国ならではといったところでしょうか。日本はこういう男くさくちょっとマザコン気がないともいえない映画は生み出されない土壌のような気がします。

今秋、兵役による約2年の活動停止となるウォンビンは、見事に母ちゃんには甘ったれで、外では弟なのに実にいい兄貴っぷりを見せて素晴らしい演技をしています。母親役のキム・ヘスクも韓国らしいオモニ(に私には思える)になりきっています。弟役のシン・ハギュンを含め3人ともまるで本当の家族のようです。

映画で面白かったシーンの一つは、アスピリンの詩の朗読シーン。ちょっと妙な詩をヒロインの女子高生ミリョン(イ・ボヨン)がマジメに朗読していておかしかったですね。そして、怒濤のように押し寄せる展開をみせるラストには胸が張り裂けそうでした。日本全国のお母さんたちや兄弟のいる男性には特にオススメできる作品です。(2005年6月23日シネツイン2で鑑賞)

原題:우리형
監督:アン・クォンテ
脚本:アン・クォンテ
音楽:キム・ヒョンソク
出演:ウォンビン、シン・ハギュン、キム・ヘスク、イ・ボヨン
製作年度:2004年
製作国:韓国
上映時間:112分


映画『マイ・ブラザー』の関連商品の紹介

ウォンビン主演映画「マイ・ブラザー」オフィシャルフォトブック
ウォンビン主演映画「マイ・ブラザー」オフィシャルフォトブック

マイ・ブラザー
佐野 晶
映画『マイ・ブラザー』のノベライズです。
マイ・ブラザー

その他関連本
ウォンビン主演映画「マイ・ブラザー」オフィシャルフォトブック
It's KOREAL (イッツコリアル) 07月号 [雑誌]
「KOREA MOVIE」 コリア・ムービーVol.3
TJムック「大好き!韓国スターNews」
韓国ドラマ&シネマFAN Vol.2 バイリンガル韓国スター芸能
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2005年07月04日

映画『電車男』

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『電車男』を上映している映画館は?
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巷では大大評判の映画『電車男』をようやく観た。『電車男』がどんな話かということはもう説明の必要がないくらいネットの世界の人たちは知っていると思うけれど、その話の一部を簡単にちょっとおさらい。

電車男はたまたま電車の中で酔っ払いにからまれた女性を助ける。電車男はその若い女性に恋心を抱き、巨大ネット掲示板、2ちゃんねるにことの成り行きを書き込む。その後、助けた女性から電車男の家宛てにエルメスのカップアンドソーサーが届く。それから、2ちゃんねるに書き込む人たちがそれぞれ電車男に恋愛のアドバイスをする。

電車の中にいた女性はエルメスのカップとソーサーを贈ったことから彼女はエルメスと呼ばれるようになる。この話では中谷美紀がエルメスを演じ、山田孝之は電車男に扮する。女性とは縁の少ないいわゆるオタク青年と高嶺の花、エルメスとの恋愛成就なるかどうかの物語。

映画では、『電車男』の世界が映像化されていてなかなかいい感じ。電車男の気持ちはエルメスに対してとても強いものがあるように描かれている。その一方、エルメスは受身的な態度なので電車男を気に入っているかどうかは一見よくわからない。

いいとこ育ちのお嬢さんっぽいエルメスが実際には妄信的に電車男を気に入っているところが不思議でしょうがないけれど(理由はそれなりに描かれているけど足りない気がする)、まっすぐな電車男がいいヤツだった。

でも、ちょっとしたトラブルですぐネットに頼る電車男はちょっと情けないかなあ。あー、でも、これを否定したら作品が成り立たない。2ちゃんねるなしでこの話は成り立たないのだ。

私がもし都会で毎日電車を利用する生活を送っていると『電車男』にもっと現実味を感じたかもしれない。都会で生きる人々にとっては身近な感覚がきっとあるのだろうと思う。私は毎日チャリ通なもんで……。

いいですねえ。あのように高嶺の花の女性と知り合い、そこから恋愛が生まれるようになるなんて。これこそ現代の都会で生きる自称もてない人たちへ向けたファンタジーだろう。

ところで、2ちゃんねる発祥の『電車男』はいろいろ物議をかもしている。電車男 - Wikipediaを読むとちょっと素直に物語に入り込みにくい自分がいる。メディア各社の謀略だったらかなりイヤだなあ。それにしても、ちょっと売れ過ぎ。この『電車男』ヒット現象そのもののほうが『電車男』の物語よりも劇的に感じる。(2005年6月18日広島宝塚で鑑賞)

監督:村上正典
原作:中野独人(電車男
脚本:金子ありさ
出演:山田孝之、中谷美紀、国仲涼子、瑛太、佐々木蔵之介
製作年度:2005年
製作国:日本
上映時間:101分

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2005年06月29日

映画『バットマン ビギンズ』

『バットマン ビギンズ』公式サイト
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バットマン ビギンズ@映画生活
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『バットマン ビギンズ』は、実は私にとってのバットマン初体験。ネット上での評判では、仕上がりの良い大人向けの作品ということなので期待して観に行きました。また、特に今までの作品を観ていなくても大丈夫とのことです。

映画『バットマン ビギンズ』は、スパイダーマンやスーパーマンなどのようないわゆるヒーローものカテゴリーの映画ですが、なかなか、いや、とても味わい深い映画です。

日本では渡辺謙の出演映画ということでもプロモーションされている『バットマン ビギンズ』。主演のバットマンを演じるのはクリスチャン・ベイルです。最近の仕事では『マシニスト』でガリガリな姿を見せたり、全米公開版『ハウルの動く城』ではハウル役の声も演じたりしています。

ヒロイン役には最近トム・クルーズと婚約したケイティ・ホームズが検事役として出演。また、『ミリオンダラー・ベイビー』でアカデミー賞を受賞したモーガン・フリーマンがエンジニア役として出演。他、リーアム・ニーソン、ゲイリー・オールドマンなど出演しています。

今作、『バットマン ビギンズ』では、主人公ブルース・ウェイン(クリスチャン・ベイル)がバットマンとなるまでのストーリーが描かれている。

幼いころ、何不自由なく暮らしていたウェイン家の御曹司ブルースは優しい両親を強盗に殺された悲しい過去を背負っている。

複雑な思いを抱えたままブルースはやがて世界を放浪する。そして、犯罪者の心を知るためにブルースは犯罪に手を染めていた。

罪を犯したブルースは正体不明な人物、デュカード(リーアム・ニーソン)と出会う。ブルースはその男に師事し心身を鍛えあげていく。詳しいストーリーはこちらでどうぞ(CineSmart - バットマンビギンズ)。 

ゴッサム・シティに戻ってきたブルースはフォックス(モーガン・フリーマン)との協力でバットマンとなり、ゴッサムにのさばる悪に立ち向かう。

ブルースがバットマンになるまでのエピソード。これがこの物語の核だろう。ブルースの苦悩の歴史を描きだすことによってバットマンの人間的な魅力が十分に出ている。

このエピソードがあるので、単なるお金持ちお坊ちゃんのヒーローごっことならずに済んでいる部分は大きい。

クリスチャン・ベイルが演じる御曹子としてのブルースは一歩間違えば鼻に付く役柄だが、暗くなりがちなこの物語の中において、そのキャラクターは妙な安心感を与える。

バットマンとなったブルースは、圧倒的な強さで敵を打ち破るほどの力を持つわけではなく、一歩間違えるとすぐにやられてしまいかねない。スパイダーマンのように超人的な力を持っているわけではない。しかし、どんなヒーローよりもバットマンの存在は力強く、精神的なたくましさに満ちていた。(6月20日ワーナー・マイカル・シネマズ広島で鑑賞)

原題:Batman Begins
監督:クリストファー・ノーラン
脚本:クリストファー・ノーラン、デヴィッド・S・ゴイヤー
音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード、ハンス・ジマー
出演:クリスチャン・ベイル、マイケル・ケイン、リーアム・ニーソン、モーガン・フリーマン、ゲイリー・オールドマン
製作年度:2005年
製作国:アメリカ
上映時間:140分


『バットマン ビギンズ』の関連本、サウンドトラックの紹介

バットマン ビギンンズの関連本
BATMAN BEGINS THE VISUAL GUIDE [バットマン ビギンズ ビジュアルガイド]
スコット・ビーティー 高貴 準三 池谷 律代
BATMAN BEGINS THE VISUAL GUIDE [バットマン ビギンズ ビジュアルガイド]
オフィシャルガイドよりもバットマン ビギンズ ビジュアルガイドは評判がいいようです。

バットマン ビギンズ オフィシャルガイド
クラウディア・カリンジアン 岡本 千晶
バットマン ビギンズ オフィシャルガイド

他にもあります関連書籍
ジ・アート・オブ・バットマンビギンズ―シャドウ・オブ・ザ・ダークナイト
バットマン ビギンズ
Art Of Batman Begins: Shadows of the Dark Knight (BATMAN BEGINS)
バットマンハンドブック


バットマン ビギンズ オリジナル・サウンドトラック
Batman Begins(輸入盤サントラ)
Martin Tillman Hans / Howard, James Newton Zimmer Gavin Greenaway Frank Ricotti
Batman Begins [Original Motion Picture Soundtrack]


バットマン ビギンズ オリジナル・サウンドトラック(国内盤)
サントラ
バットマン ビギンズ オリジナル・サウンドトラック


バットマン ビギンズのおもちゃなどもたくさんあります。


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2005年06月20日

映画『大統領の理髪師』

『大統領の理髪師』公式サイト
『大統領の理髪師』を上映している映画館は?
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『大統領の理髪師』は、たまたま大統領のお膝元、孝子洞に住んでいた庶民的な理髪師、ハンモ(ソン・ガンホ)が大統領御用達理髪師となり、それからの抗えない運命を描いた韓国庶民の物語。

ソン・ガンホのユーモラスな演技とシリアスな演技の対比が見事に決まっています。生き生きとした庶民生活には笑いが溢れ、また、政府に翻弄され、ただ従うしかない悲しい庶民の姿が悲しくもある映画なのです。

理髪師ハンモは妻のミンジャ(ムン・ソリ)と息子のナガン(イ・ジェウン)と三人で平凡に暮らしていました。ところが、ハンモは、偶然にもパク大統領(チョ・ヨンジン)の専属理髪師となってしまいます。大統領は素直で素朴なハンモの人柄を気に入り、おおむね良好な関係をお互いに築きます。

ところが、北朝鮮のスパイが広げたというマルクス病騒ぎから事態は一変。下痢症状を呈する者は北朝鮮のスパイと関わっている疑いで拷問を受けることに。

1960年代から1970年代のパク大統領就任時代を中心に、韓国の激動の歴史が伝わってきます。庶民の立場で作られたこの映画には、ユーモラスな場面が多くあります。

そこで描かれるユーモアは、悲しみを和らげるためのユーモアのようでもあるし、悲しみを引き立てるためのユーモアのようでもあり、ちょっと複雑なユーモアです。

ソン・ガンホの芸達者な演技はもちろん、不遇な運命にあるナガンを演じるイ・ジェウンの演技も目を引きます。そして、政治というものについて深く考えさせられる作品です。

ちょっとネタバレしています。ご注意を!

この映画で全然知らなかった韓国の当時の歴史について断片的にでも知ることができ、なかなか興味深いものでした。

この映画でのパク大統領の描き方から推察すると、韓国の歴史上相当重要な人物のように思われましたが、朴正煕 - Wikipediaをみると確かにそのように思えます。独裁的だったけれど彼の治世を懐かしむ声は今もあるとのことです。

この映画での中心となる場面の一つがハンモの息子、ナガンの拷問シーン。ナガンも下痢症状を訴え、マルクス病の者として政府の電気拷問に遭ってしまうのです。

色とりどりの電球をピカピカさせて幻想的に描いていますが、政治のことを何も知らないナガンを襲う拷問がとても痛々しい。

そして、なんとか家に帰されたナガンを襲う次の悲劇がもう笑えない辛いものでした。電気ショックのせいで神経機能が弱まったのでしょうか。ナガンは歩けなくなってしまいます。政府に対してやり場のない怒りが起こる場面でした。

その後、漢方医をあちこち訪ねますが、少しもナガンの足は良くなりませんでした。そして数年後、10・26事件でパク大統領が射殺されてしまいます。

漢方医の言葉にハンモは従って、大統領の遺影の眼を必死の思いで削って、菊花茶に混ぜて息子に飲ませたのです。

やがて、何と言うことでしょう。ナガンは自分の足で立ち、再び歩き始めたのです。父と一緒に自転車で走るラストシーンに深い感動を覚えました。(2005年6月11日サロンシネマで鑑賞)

原題:효자동 이발사
監督:イム・チャンサン
脚本:イム・チャンサン
出演:ソン・ガンホ、ムン・ソリ、リュ・スンス、イ・ジェウン、ソ・ビョンホ
製作年度:2004年
製作国:韓国
上映時間:116分

映画『大統領の理髪師』のDVDや書籍の紹介

大統領の理髪師 DVD
ソン・ガンホ
大統領の理髪師 DVD

大統領の理髪師 文庫本
中村 祐介
大統領の理髪師 文庫本


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2005年06月14日

映画『四日間の奇蹟』

『四日間の奇蹟』公式サイト
『四日間の奇蹟』公式ブログ
『四日間の奇蹟』を上映している映画館は?
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四日間の奇蹟―ビジュアルストーリーブック映画『四日間の奇蹟』は、山口県・角島の美しい風景を舞台に繰り広げられるファンタジーなストーリー。ピアノを弾く手を失くした男性、家族を失った女性、ピアノ演奏の才能を持つ発達障害の少女の3人に訪れる奇蹟の四日間を描く。

千織(尾高杏奈)は、如月敬輔(吉岡秀隆)と一緒に全国の施設を訪問し、ピアノ演奏を披露していた。千織は発達障害のため一般社会との関わりで困難な部分はあるものの、たぐいまれなピアノ演奏の才能を持っている。如月敬輔は5年前に銃撃に巻き込まれ手を傷つけてしまい、ピアノを弾くことはできなくなっていた。
小さな島の施設職員の岩村真理子(石田ゆり子)は、その少女を呼び、施設入所者のためにピアノ演奏会を企画する。

銃撃事件でピアノのを弾く手を奪われた敬輔や同じ銃撃事件で両親を亡くした千織、離婚して父を亡くし一人ぼっちになってしまった真理子。その3人はやがてそれぞれが失ったものを取り戻していた。
ピアニストの道を絶たれた敬輔は千織にピアノを教えていた。千織は敬輔と一緒に暮らしていた。真理子は施設で働き、入所者と家族同様な雰囲気で過ごしていた。

風光明媚な島の風景が美しい。山口県の角島が舞台のようだ。敬輔、真理子、千織の3人に訪れる奇蹟にふさわしい場所と感じさせる。

主演の吉岡秀隆はスタントなしで繊細なピアニストを演じている。また、施設職員の真理子を演じる石田ゆり子は、明るく活発で気丈なキャラクターを魅力的に表現している。そして、発達障害を持つ少女という役を演じている映画初出演の尾高杏奈は特に見事な演技を見せている。

作品中に描かれる喪失と再生を通じて、人間が本来持っている精神的なたくましさが描かれている。信じることの大切さをしっかりと胸に刻み込んでおこうと思える作品だ。(2005年6月5日ワーナー・マイカル・シネマズ広島で鑑賞)

監督:佐々部清
原作:浅倉卓弥(四日間の奇蹟
脚本:佐々部清
出演:吉岡秀隆、石田ゆり子、尾高杏奈、西田敏行、松坂慶子
製作年度: 2005年
製作国:日本
上映時間:118分


映画『四日間の奇蹟』の関連書籍やCDなどあります

四日間の奇蹟 文庫本
浅倉 卓弥
四日間の奇蹟
この映画の原作小説です。第1回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作。

『四日間の奇蹟』ピアノ名曲集 「時の踊り」(CD付き)書籍
浅倉 卓弥
『四日間の奇蹟』ピアノ名曲集 「時の踊り」(CD付き)
『小犬のワルツ』や『ノクターン第二番』など、9曲を収録。曲目に合わせた書き下ろしのショートストーリーが掲載。

四日間の奇蹟―ビジュアルストーリーブック
四日間の奇蹟―ビジュアルストーリーブック
写真で映画をもう一度。出版社サイトによると映画の完全シナリオ付きとのこと。

WonderLand COMICS 四日間の奇蹟
浅倉 卓弥 瓜生 花子
WonderLand COMICS 四日間の奇蹟
おっ!?コミックバージョンの 四日間の奇蹟もあるんですね。

四日間の奇蹟 オリジナルサウンドトラック
加羽沢美濃 サントラ
四日間の奇蹟 オリジナルサウンドトラック
オリジナルサウンドトラックです。

Eternally
平原綾香 松井五郎 島健 西川進
Eternally
この映画の主題歌「Eternally」のマキシシングルです。

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2005年06月13日

映画『最後の恋のはじめ方』

『最後の恋のはじめ方』公式サイト
『最後の恋のはじめ方』を上映している映画館は?
最後の恋のはじめ方@映画生活
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Hitch 『最後の恋のはじめ方』は、デート・コンサルタントのアレックス・ヒッチ(ウィル・スミス)を中心に、ニューヨークの大都会で暮らす男女たちのユーモアあふれる楽しい映画なのです。ウィル・スミス初のロマンチックコメディだとか。

誰かの背中をあとちょっと一押ししてあげると恋愛に発展しそうなことってありますよね。ウィル・スミス演じるヒッチは口コミで商売をしているデート・コンサルタント。いろいろな顧客の恋愛を成就させてきたスゴ腕のデート指南者です。彼の口から出てくるメラビアンの法則も信用してしまいそうになるくらい説得力があります。

他人の恋愛のお手伝いばかりして自分自身の恋愛は空白な人っていますよね。この映画の中に出てくるヒッチも実はそんな一人です。でも、ヒッチにも意中の女性が気づいたらいた……いた、みたいなことになっていきます。お話のラインの一つはこのヒッチの恋愛話。お相手は新聞のゴシップ記事の記者、サラ・ミラス(エヴァ・メンデス)です。

ヒッチは新しい顧客、公認会計士アルバート・ブレナマン(ケヴィン・ジェームズ)の相談を引き受けます。アルバートの意中の相手はセレブのアレグラ・コール(アンバー・ヴァレッタ)です。アルバートにとっては高嶺の花の相手でしたが、ヒッチの手腕でいい方向へ。もう一つのお話はアルバートとアレグラの恋模様です。

二つの恋愛劇は時にコミカルに、またドラマティックに展開していきます。ニューヨークで気持ち良さそうに水上バイクをするヒッチとサラ、いい感じです。アレグラとアルバートのダンスが面白い。そんな二つの恋の行方に目が離せません。

デート・コンサルタントってちょっと軽そうな職ですが、ヒッチは不真面目な依頼はきっぱりと断るのです。私はそんなところに意外と感動してしまったような気がします。

デートで観るのに打って付けな映画間違いなしですね。これは。それから、ニューヨークに行ったことないけれど、私、ニューヨークに行きたくなりましたね。(2005年6月4日ワーナー・マイカル・シネマズ広島で鑑賞)

原題:Hitch
監督:アンディ・テナント
脚本:ケヴィン・ビッシュ
出演:ウィル・スミス エヴァ・メンデス、ケヴィン・ジェームズ、アンバー・ヴァレッタ、ジュリー・アン・エメリー
製作年度:2005年
製作国:アメリカ
上映時間:118分


映画『最後の恋のはじめ方』のDVD、サウンドトラックの紹介

最後の恋のはじめ方 コレクターズ・エディション DVD
ウィル・スミス アンディ・テナント エヴァ・メンデス
最後の恋のはじめ方 コレクターズ・エディション

HITCH 最後の恋のはじめ方
サントラ
最後の恋のはじめ方
『最後の恋のはじめ方』オリジナルサウンドトラック。こちらは、国内盤です。

Hitch
Original Soundtrack
HITCH
『最後の恋のはじめ方』オリジナルサウンドトラック。こちらは、輸入盤です。輸入盤へのリンク先では、ちょっとですが試聴♪もできますよ。


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2005年06月03日

映画『いらっしゃいませ、患者さま。』

『いらっしゃいませ、患者さま。』公式サイト
『いらっしゃいませ、患者さま。』を上映している映画館は?
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みなさん、病院はお好きですか?私はあまり好きじゃないのですが、でも、ケガや病気になったら行かないといけないですね。先日、映画『いらっしゃいませ、患者さま。』を観てきました。風俗業界の立て直し屋の恩地(大友康平)が、つぶれかけの病院を建て直すというお話です。

近馬(渡部篤郎)が院長を務める病院に、恩地は銃創患者として搬送され、入院したのです。それがきっかけで恩地は病院を立て直すこととなります。風俗業界の立て直し屋、恩地が掲げたキーワードは「医療はサービス業、患者さまは神様です。」でした。
恩地は、病院というところはサービス意識が低いと言い、医療行為を逸脱した新規サービスをはじめます。その1つが「ナース指名制」。患者さまは気に入ったナースに看てもらえます。」他には、「同伴人間ドック」、「ひざ枕点滴」、「口移しバリューム」、「薬の特急券」など信じられないサービスを始めます。

なんだかふざけた映画なので、気分を害する人もいると思います。その一方、実際はかなりシリアスなドラマも織り交ぜられていて、ちょっとうるっとなりそうな時もありました。特に、小日向さんが演じる患者と原さん演じるナースの二人の物語は悪くなかったです。

一般的に病院に対する不満として、「待ち時間が長い」、「不十分な医師の説明」、「病院スタッフの接遇」などが挙げられるでしょう。この映画ではそうした現在の病院の状況を描いています。現在の医療のアンチテーゼ的な恩地による立て直しを観客がどう感じるかはわかりませんが、この映画に対する医療従事者の意見は特に気になるところです。(2005年6月2日松竹東洋座・広島名画座で鑑賞)

監督:原隆仁
脚本:真崎慎、川崎いづみ、山口正太
音楽:大谷幸
出演:渡部篤郎、原沙知絵、大友康平、渡辺えり子、石橋蓮司
製作年度:2005年
製作国:日本
上映時間:106分
詳細なキャスト、スタッフはこちらから


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2005年06月02日

映画『ミリオンダラー・ベイビー』

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今年のアカデミー賞で作品賞を含め4部門を受賞した『ミリオンダラー・ベイビー』。トレーナーと女性ボクサーの愛を描いた物語だ。今作で2度目のアカデミー賞受賞となったヒラリー・スワンクが演じるひたむきなボクサー姿が美しい。

フランキー(クリント・イーストウッド)は長年ボクシングジムを運営していた。唯一の期待の選手、ビッグ・ウィリー(マイク・コルター)がタイトルマッチ挑戦寸前にフランキーのジムから去ってしまった。ある日、マギー(ヒラリー・スワンク)という見知らぬ女がフランキーのボクシングジムに現れた。マギーは、フランキーに「私のトレーナーになって」と頼む。女性ボクサーを育てる気のないフランキーはマギーの要求を拒む。

30歳を過ぎたマギーはフランキーにトレーナーを拒まれるが、やがてトレーニングの希望をかなえる。そして、ひたむきにトレーニングを積む。なぜそこまでボクシングに打ち込むのかはわからない。別に理由はわからなくてもいい。ボクシングに没頭するマギーのその姿は輝かしい。

ジムの住み込み雑用係スクラップ(モーガン・フリーマン)はフランキーと23年間の付き合いになる。スクラップはマギーと出会ったころからフランキーの意に反して彼女をジムに受け入れる。

初老のトレーナーのフランキーは、女をジムに受け入れるつもりはなかった。ただならぬマギーのボクシングに対する姿勢に心打たれ、いつしか彼女のトレーナーを引き受ける。フランキーはボクシングこそ彼女のすべてと思ったのだ。

娘との縁が途絶えてしまったフランキーと家族の愛に恵まれなかったマギーはボクシングを通じて心を通わせていく。そして、イギリスでの試合の時、フランキーはモ・クシュラの名の刺繍が施されたガウンをマギーに贈る。二人の愛は確実なものとなっていた。そして、青い熊の異名を持つ反則を常套手段とするドイツ人ボクサーと戦うこととなる。

この物語は間違いなく実直なな愛の物語だ。クリント・イーストウッド、モーガン・フリーマン、ヒラリー・スワンクの三人の演技で作られる世界は私たちを圧倒するだろう。特にモーガン・フリーマンの演技は魅力的である。彼の存在はストーリーの理解を助け味わいのあるものにしている。また、ヒラリー・スワンクの三カ月にも及ぶトレーニングの末行われた吹き替え無しのボクシングシーンは素晴らしい。

『ミリオンダラー・ベイビー』を観るにあたりアイリッシュの情報を事前に入手していたので、映画を理解するのに役立った。

  • フランキーとマギーはアイリッシュ・アメリカン(アイルランド系アメリカ人)。
  • マギーのラストネーム、「フィッジェラルド」は、典型的なアイリッシュ・ネーム。
  • グリーン(緑)は、アイリッシュのナショナルカラー。
  • 「ハープ」は、アイルランドの象徴。
  • アメリカのボクシングの歴史で、アイリッシュのチャンピオンが一時代を築 いた時期がある。
  • アイリッシュには熱心なカトリック教徒が多い。

シカゴ発 映画の精神医学:ミリオンダラー・ベイビーより引用させていただきました。)

未見の人へのメッセージとして、単純にボクシングを描いた映画ではないということには留意しておいていただきたい。『ロッキー』のような映画を想像しているととんでもないので。


ここからネタバレです。ご注意を。

『ミリオンダラー・ベイビー』のストーリーは、後半、転回する。憎憎しい青い熊女と対戦中、パンチを浴びたマギーは倒れ、スツールの座面で頚部を損傷してしまう。

第一頚椎から第四頚椎のどこかを損傷したのだろう。(映画では第一頚椎と第二頚椎と言っていたような気がする。)そして頚髄の損傷により、マギーは横隔膜や肋間筋を動かせなくなった。自発呼吸はできず人工呼吸器に頼らないと生きて生けない状態となってしまう。当然、全身は顔以外動かせない状態だ。

それからは私の頭に『海を飛ぶ夢』が頭をよぎってしまった。尊厳死、安楽死の問題になっていくのである。ところで、なぜだかわからないが、気管切開したマギーは声を出すことができた。普通はできないはずなのだが、そのようなことができる特殊な人工呼吸器なのだろうか。

褥瘡ケアがいい加減なのか足をも切断してしまうハメになったマギーは日に日に弱っていった。そして、輝かしい日々は遠くなり、死を望むようになっていった。元々、フランキーはそんなマギーを励ましていた。しかし、二度も舌を噛み切り自殺を企図したマギーに対してフランキーは安楽死を行うことを決定した。

フランキーは夜中マギーの病室に忍び込み、人工呼吸器の管を取り外し、マギーの体内にアドレナリンを大量に投与した。すぐにマギーの心臓は停止した。カトリック信者のフランキーのこの行為は予想外の行為だった。

マギーの苦しかったかもしれない安楽死をフランキーは行った後、二度とジムには戻らなかった。最後の場面、マギーと訪れた店でフランキーはおいしそうにレモンメレンゲパイを食べている。その後のフランキーはどこへ向かったのだろう。
栄光と転落を一気に我々に見せ、人生について深く考えさせる映画だ。マギーはマギーの人生をしっかり歩んだと私は思うしかなかった。(2005年6月1日ワーナー・マイカル・シネマズ広島で鑑賞)

原題:Million Dollar Baby
監督:クリント・イーストウッド
原作:F・X・トゥール
脚本:ポール・ハギス
音楽:クリント・イーストウッド
出演:クリント・イーストウッド、ヒラリー・スワンク、モーガン・フリーマン、アンソニー・マッキー、ジェイ・バルチェル
製作年度:2004年
製作国:アメリカ
上映時間:133分


『ミリオンダラー・ベイビー』のDVD、サウンドトラックや原作本の紹介

ミリオンダラー・ベイビー 3-Disc アワード・エディション
クリント・イーストウッド F・X・トゥール ヒラリー・スワンク
3枚組み初回受注生産限定商品。ディスク1は本編DVD、ディスク2は約80分の特典映像(うち20 分は、日本版本商品のみの、日本で収録された特典映像-イーストウッドインタビュー、記者会見、 ジャパンプレミア等-を収録)、ディスク3はサントラCD。※限定品に付き数に限りがあります。サントラも付いてお買い得。 ミリオンダラー・ベイビー 3-Disc アワード・エディション

ミリオンダラー・ベイビー DVD
クリント・イーストウッド F・X・トゥール ヒラリー・スワンク
ミリオンダラー・ベイビー


『ミリオンダラー・ベイビー』のサウンドトラックは国内盤と輸入盤があります。

オリジナル・サウンドトラック「ミリオンダラー・ベイビー」
クリント・イーストウッド サントラ
オリジナル・サウンドトラック「ミリオンダラー・ベイビー」
国内盤のサウンドトラックです。

Million Dollar Baby [Original Motion Picture Soundtrack]
Clint Eastwood Kyle / Stevens, Michael Eastwood Lennie Niehaus Hollywood Studio Symphony
Million Dollar Baby [Original Motion Picture Soundtrack]
こちらは輸入盤のサウンドトラックです。リンク先で少し試聴もできます。


ミリオンダラー・ベイビー 文庫本
F.X.トゥール
ミリオンダラー・ベイビー


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2005年05月31日

映画『エメラルド・カウボーイ』

『エメラルド・カウボーイ』公式サイト(メイキングも見れます)
『エメラルド・カウボーイ』を上映している映画館は?
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『エメラルドカウボーイ』はコロンビアでエメラルドビジネスを成功させた一人の日本人の自伝映画だ。この映画の主人公は早田英志。コロンビア・エメラルド・センターの社長である。早田はハリウッドの私邸を5億円で売り払い制作費に充てた。映画の完成度はともかく彼の人生そのものに驚かずにはいられない。

映画は若き早田(ルイス・ベラスコ)がコロンビアでエスメラルデーロ*1を目指すストーリーだ。無法地帯な鉱山で盗賊に襲撃されたり、誘拐の脅迫電話にあったり、エメラルド業者の抵抗にあったりという経験をした早田の半生が描かれている。

エメラルドに並々ならぬ関心を持った青年早田が女エスメラルデーロのスサナ(パトリシア・ハヤタ)と出会う。スサナは早田にエスメラルデーロに必要な術を教える。その後、早田はアメリカ人のデイブ(リカルド・ウィルキー)と出会いエメラルドビジネスを展開させていく。

本物の銃を惜しみなく使用した銃撃のアクションシーンは独特の迫力に溢れる。映画の仕上がりに粗雑で見苦しい部分が多々あることは否定できないが、遠く離れたコロンビアでこのような早田のような日本人がいることを誇りに思った。日本人から見ると感心してしまう点が多い。とても私には真似できない生き方は賞賛に値すると確信している。

上映終了後、この映画を監督した早田英志さんご本人と会う機会があった。ビジネスで成功を収め、自伝映画まで作製と男のロマンを成し遂げた早田さんはどのような人物か関心があった。事業で成功した者が本を書くことはよくあることだが、映画まで製作し、ある程度広く公開にまでこぎつける人は少ないだろう。シネツインのスタッフに案内されるまま、劇場のビルの6階へ。しばらくそこで待つと、カウボーイファッションで早田さんは私たち観客の前に登場した。

コロンビアでは10人のボディーガードに守られている社長でもある早田さんはとても気さくな方だった。丁寧にサインをしていただいた後、映画制作のお話やコロンビア情勢のお話などをしてくれた。早田さんのお話では、この映画は早田さん自身の生き方に共感して、日本の若者の力付けになればという思いで製作したそうだ。どうも貴重なお話ありがとうございましたと改めてここに早田さんに向けて記します。(2005年5月29日シネツイン1で鑑賞)

*1 エスメラルデーロとはスペイン語でエメラルド・ビジネスに携わる人を言うが、特にコロンビアではエメラルドの原石を売買する原石業者を指す。(参考文献:早田英志著、エメラルド・カウボーイ ページ40)

監督:早田英志、アンドリュー・モリナ
脚本:早田英志
出演:早田英志、パトリシア・ハヤタ、ルイス・ベラスコ、リカルド・ウィルスキー、カロリーナ・リサラソ
製作年度:2002年
製作国:コロンビア
上映時間:123分

映画『エメラルド・カウボーイ』の関連本の紹介

エメラルド・カウボーイ
早田 英志
エメラルド・カウボーイ
コロンビアでエメラルド・ビジネスを成功させた早田さんの自伝です。様々な生き方があるなと感心してしまいます。

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2005年05月30日

映画『スカーレットレター』

『スカーレットレター』公式サイト
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刑事ギフン(ハン・ソッキュ)には愛する美しい妻、スヒョン(オム・ジウォン)があり、そして熱烈な愛人、カヒ(イ・ウンジュ)がいた。ギフンは二人を愛しながら、仕事をこなす日々を送っている。
ある日、殺人事件が写真館で発生した。刑事ギフンは第一発見者の写真館主の妻、ギョンヒ(ソン・ヒョナ)を取り調べる。大豆モヤシ2000ウォン分を市場へ買いに出かけ、写真館に戻った時、夫は倒れていたとギョンヒは言う。

妻と愛人を持つ男の不倫話がメイン。殺人事件の捜査も並行して話は進行していく。後半、ストーリーは思わぬ方向へ展開していく。

刑事ギフンの愛人は華やかなジャズシンガー。妻がいると知っていても深くギフンを愛している。ギフンの妻は従順で清楚な女。ギフンの愛人にはない魅力を持っている。しかし、夫には何か秘密を隠しているようだ。ギフンは二人を並行して愛する日々を過ごしている。
愛人とは甘い時間を、妻とは安らかで平穏な時を過ごしたギフンをとりまく状況はやがて大きく変化していく。逃れられない運命に支配された男と女のドラマが切なく観客の胸に迫る。

この映画は多くの人が知っているように、今年の2月22日に逝去されたイ・ウンジュさんの遺作となってしまった。作品中、愛人カヒの役を演じている。その姿は多くの人が魅了するだろう。また、誠実な役柄で有名なハン・ソッキュは今回大いに汚れた刑事役を演じている。

ここからネタバレです。ご注意を。

三人の普通ではない三角関係と殺人事件が主に描かれているのだが、その二つの事柄はただ刑事ギフンが関わっているというだけで、密接な関係があるというわけではない。単に不道徳な行為を行う人たちを描いているのだろう。そのためミステリーを期待していると物足りないものがあるだろう。

それにしても車のトランクスペースにカヒとギフンの二人が閉じ込められてしまうとは強引な展開だ。悲劇の乱造という印象を少々抱いてしまうが、あの狭いスペースでギフンの側でカヒは命を絶つ。その時、私は現実にイ・ウンジュが亡くなったこととその演技をどうしても結びつけてしまった。
(2005年5月29日サロンシネマで鑑賞)

原題:주홍글씨
監督:ピョン・ヒョク
脚本:ピョン・ヒョク
音楽:イ・ジェジン
出演:ハン・ソッキュ、イ・ウンジュ、ソン・ヒョナ、オム・ジウォン、キム・ジングン
製作年度:2004年
製作国:韓国
上映時間:119分


映画『スカーレットレター』の関連商品の紹介

スカーレットレター 文庫本
百瀬 しのぶ

4789725537
映画『スカーレットレター』のノベライズの文庫本です。

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2005年05月29日

映画『ヒナゴン』(舞台挨拶付き)

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ヒナゴン舞台挨拶告知ボード『ヒナゴン』はヒバゴン伝説のふるさと比婆郡(当時)西城町で撮影されました。題名からもわかるように、この映画はヒバゴンをモチーフに作られた映画です。
製作には中国放送・ウッドワンなどの広島に密接な企業が参加しているようです。広島では先行上映で5月28日から県内各映画館で上映されています。先行上映というわけですから、その後全国で上映するものと思いましたが、まだ東京での1スクリーンでしか上映が決まっていないようですね……なぜだろう。ちょっと全国的にはまだ知られていない映画ですが、5月の28日にワーナー・マイカル・シネマズ広島へ観に行きました。

私が『ヒナゴン』を観に行った28日には、上映に先立ち主演の伊原剛志さんの舞台挨拶がありました。サングラスを掛け、襟を立てた白いシャツにジャケット、ジーンズの装いで壇上に登場しました。伊原さんはいろいろと製作の時を振り返りお話をした後、次の挨拶予定の映画館へ行きました。

少年時代にイッちゃんは怪物ヒナゴンを比奈町の山奥で目撃するものの、周りの大人たちにはほとんど信じてもらえなかった。それから30年後、イッちゃん(伊原剛志)は比奈町の町長となっていた。そのころ町ではヒナゴンの目撃情報が寄せられた。そして、町長は役場に類人猿課を復活させる。その類人猿課に東京から戻ってきた信子(井川遥)は就職することとなった。ところが、「類人猿課」を設置することは備北市との合併問題に揺れる比奈町の行政にとって新たな火種となる。

実は僕は幼いころ、とはいっても高校生のころ、にUFOを見たような気がします。闇の空をオレンジ色の光が瞬間的に左右にぱぱっと移動しました。その光を弟と一緒に見たのですがあれが何だったかは未だ謎です。隕石でも、流星でも、飛行機でも無さそうでした。
『ヒナゴン』を観て、僕は幼いころのそんな記憶を思い出したのです。山中でヒナゴンを目撃したのに大人たちに信じてもらえなかった少年時代のイッちゃんの気持ち、僕はわかります。

ヒナゴンを探しのことだけではなく、全国の過疎の市町村で特によくある合併問題のことまで映画には盛り込まれています。映画の中では、備北市と比奈町の合併で議論となります。ところで、現実ではロケ地の西城町(当時)は庄原市と合併してしまいました。映画中の備北市のモデルはおそらく最近合併してワイドになった庄原市でしょう。

映画の上映終了後、渡邊孝好監督と出演の井川遥さんが舞台挨拶に現れました。白いフリフリな感じのブラウスにチョコレート色のパンツ姿で登場の井川遥さん、さすが本家癒し系と言われただけあって目と唇が印象的でした。渡邊孝好監督と井川遥さんが二人で映画撮影の当時のことを思い出しながら語ってくれました。

さわやかな夏の匂いと風が届いてくるような映画でした。作品中、それほど理解困難な方言もないので、東京で上映されても言葉での問題もないでしょう。あるとすれば、「はぶてる」という動詞くらいでしょうね。『ヒナゴン』ロケ地マップもあるようですので、機会があればドライブしてみるのもいいかもしれません。
(2005年5月28日ワーナー・マイカル・シネマズ広島で鑑賞)

監督:渡邊孝好
原作:重松清(いとしのヒナゴン
脚本:山田耕太
音楽:岩代太郎
出演:伊原剛志、井川遥、上島竜兵、嶋田久作、鶴見辰吾
製作年度:2005年
製作国:日本
上映時間:121分


映画『ヒナゴン』の関連商品の紹介

いとしのヒナゴン 単行本
重松 清
いとしのヒナゴン
こちらは映画の原作本です。

ヒナゴン公式ファンブック 単行本
ヒナゴン公式ファンブック
映画ヒナゴンの公式ファンブック。
映画の全シナリオが載っています。


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映画『運命を分けたザイル』

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『運命を分けたザイル』は実話を基にしたドキュメンタリー・フィルムだ。前人未到のシウラ・グランデ峰西壁登頂に成功した二人の登山家の壮絶な物語。我々は超人的な生命力にただ驚くばかりである。

1985年、英国人登山家ジョー・シンプソンとパートナーのサイモン・イェーツは、ペルーのアンデス山脈にある標高6600メートルの難関、前人未踏のシウラ・グランデ峰西壁登頂に成功する。しかし、下山途中に山の天候は一変し、二人は雪嵐に見舞われる。視界ゼロ、体感温度マイナス60℃の悪条件の中、足場が崩れるとジョーは滑落して、片足を骨折してしまう。山での骨折は死を意味する。激痛で自らを支えることすら出来ないジョーを、生還させようと果敢に救出を試みるサイモンだったが、ジョーの体はバランスを崩し、標高6400メートルの氷の絶壁で宙吊りになってしまう。(『運命を分けたザイル』公式サイトから引用)

この映画の撮影は相当の困難を極めたという。アンデスやアルプスの山岳地帯で撮影されたシーンを見れば、どうやって撮影したのかと思える場面ばかりだ。氷の壁を登る場面、ジョーが宙吊りになる場面、吹雪の場面など普段目にすることのない場面の連続である。

山に生きる男たちが試練を乗り越える力強いストーリー。超人的なエネルギーがスクリーンから伝わってくるようだった。また、サイモンはジョーのザイルを切る。それは、サイモンが生きるための必然的行動だった。このサイモンの行動は後々責められたそうだ。それを責めることが正しいか正しくないかは私にはわからない。でも、私もきっとサイモンの立場なら、きっとザイルを切るだろう。

ザイルを切られた後のジョーの生き残る力はいったいどこから出てくるのだろう。ジョーはクレバスに落ち、絶望の淵から奇跡的に生還する。ジョーが遭遇した困難に比べれば日ごろの困難は実に些細なことだ。

作品ではジョーとサイモンの本人のインタビューのシーンが時折あるので、二人とも助かっていることがわかる。事実を基にしているので、それを隠しても仕方がないということだろう。おそらく、登山家の間では既知のことだ。ただ、何も知らずにこの映画を観に来る人のことを考えると、その事実を伏せて、最後に事実を明らかにした方が驚きは大きいし、鑑賞している間、観客はより緊張感を保ちながら鑑賞し続けることができるかもしれない。(2005年5月27日サロンシネマで鑑賞)

原題:Touching the Void
監督:ケヴィン・マクドナルド
原作:ジョー・シンプソン(死のクレバス―アンデス氷壁の遭難
脚本:ジョー・シンプソン
出演:ジョー・シンプソン、サイモン・イェーツ、ブレンダン・マッキー、ニコラス・アーロン、リチャード・ホーキング
製作年度:2003年
製作国:イギリス
上映時間:107分

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2005年05月28日

映画『ザ・インタープリター』

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The Interpreter 『ザ・インタープリター』はニコール・キッドマン扮する国連職員の通訳者(インタープリター)が偶然耳にした暗殺計画がきっかけで起こる事件を描いた社会派サスペンス映画です。ニューヨークの国際連合本部が初めて映画撮影に協力。大統領暗殺の陰謀をたくらむのは一体誰なのかわからないスリリングな展開をみせながら、国際連合の存在意義やアフリカの政治的混迷について考えさせられる作品です。

ニューヨークの国際連合本部では多くの通訳者が職員として働いている。シルヴィア(ニコール・キッドマン)もその中の一人だ。ある日、シルヴィアが忘れ物を取りに職場の一室に戻る。ヘッドホンから流れる音声に気付いたシルヴィアはその音声を聞く。ところが驚くことにその話し声はアフリカのマトボ共和国(架空の国)のズワーニ大統領(アール・キャメロン)の暗殺計画の会話だった。

『ザ・インタープリター』という題名はこの映画の主役シルヴィアの職業が通訳ということからきています。ニコール・キッドマンが国連で働く通訳者のシルヴィアを演じています。私がニコール・キッドマンの出演映画を見るのは『ドッグ・ヴィル』以来です。相変わらずキレイなのですが、今回のニコール・キッドマンはメガネを掛けた才女的香りを漂わせています。

暗殺計画を耳にしたというシルヴィアをシークレット・サービスのケリー(ショーン・ペン)はそのことを疑い、また、何かを隠しているとにらみます。妻を事故で失った悲しみを背負ったケリーはシルヴィアを探ると同時に暗殺計画の捜査も行います。

シルヴィアとケリーの関係は当初、刑事と被疑者のような関係でしたのでお互いの心の間には大きな川が流れているようなものでしたが、次第に全容が明らかになるにしたがって変わっていく二人の心の距離も変化していきます。その変化に着目するのもこの作品の楽しみの一つかもしれません。

登場人物の顔の識別が不完全だった私はストーリーの理解で苦労しました。鑑賞した後、「多分あいつがあれで、あれをして……」と頭の中で整理しました。とりわけ黒人の識別に苦労したという話も聞きます。また、黒人の出演者以外にもしっかり認識しておくべき人物がいるので顔と職業をしっかり覚えてみるようにするといいと思います。謎解き的な部分ではそれほど複雑なわけではないので人物認識に苦労しなければ大丈夫だと思います。

多くの日本人にとって国連やアフリカ情勢(架空の国ではあるのですがモデルがあるのだと思います。)といった事柄は実感に乏しいものですが、この映画は国際連合やアフリカについて以前よりも関心を持たせてくれる教育的意義のある作品でもあります。(2005年5月24日ワーナー・マイカル・シネマズ広島で鑑賞)

原題:The Interpreter
監督:シドニー・ポラック
脚本:チャールズ・ランドルフ、スコット・フランク、スティーヴン・ザイリアン
音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード
出演:ニコール・キッドマン、ショーン・ペン、キャサリン・キーナー
製作年度:2005年
製作国:アメリカ
上映時間:118分


映画『ザ・インタープリター』のDVD、サウンドトラックや本など、関連商品の紹介

ザ・インタープリター DVD
ザ・インタープリター

ザ・インタープリター 文庫本
デイヴィッド・ジェイコブズ
ザ・インタープリター


サウンドトラック『ザ・インタープリター』 国内盤
オリジナル・サウンドトラック『ザ・インタープリター』

The Interpreter [Original Motion Picture Soundtrack]
James Newton Howard Pete Anthony Hollywood Studio Symphony Kirsten Braten-Berg
The Interpreter [Original Motion Picture Soundtrack]
こちらは『ザ・インタープリター』のサウンドトラックの輸入盤です。

By NOV at 22:38 | Comments [2] | Trackbacks [7]

2005年05月27日

映画『復讐者に憐れみを』

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復讐者に憐れみを 『復讐者に憐れみを』は『JSA』、『オールドボーイ』のパク・チャヌク監督が描く復讐三部作の一つ。一切の妥協を許さない凄惨な映像が観客を圧倒する。脚本の凄まじさにソン・ガンホが出演依頼を二度断ったというこの作品で見せる渾身の演技に注目。

リュ(シン・ハギュン)は聴覚障害で聞くことも話すこともできない。リュは姉(イム・ジウン)に助けてもらいながら生きていたが、姉は腎臓病を患ったため、リュは美大への進学を諦めて工場で働いていた。リュは病院に自分自身の腎臓を姉に移植することを申し込んだものの、姉の身体にリュの腎臓は適合しないことが判明した。それから、たまたまトイレで臓器移植の広告をリュは見つける。腎臓移植をして姉を助けたい一心で闇の臓器密売組織と接触する。ところがリュは腎臓と1000万ウォンを騙し取られることとなってしまう。

『復讐者に憐れみを』はひょっとしたら悲惨な事件をただ並べただけの悪趣味な映画のように見えるかもしれない。臓器密売組織による腎臓搾取および詐欺、誘拐が起こり、その後も事件は起こる。事件の背景の描写が強引ながらも巧みなので、この世界で悲惨なできごとが起こる背景を現実的に感じることができる。そのためこの作品『復讐者に憐れみを』はそういった映画にはならずにすんでいる。

題名『復讐者に憐れみを』から想像できるように復讐者が登場する。実は一人ではなく何人かの復讐者が出てくるが、おそらく憐れみの対象となる復讐者はソン・ガンホ演じるパク社長だろう。
パク社長は真面目に生き苦学し社長になった人物だ。パク社長の愛娘は何者かに誘拐され、ある日、死体となって見つかる。警察に連絡せずに解決しようと用意した身代金2600万ウォンだけでなく娘の命まで奪われてしまう結果となる。
警察に頼らず誘拐事件を解決しようとしたパク社長は、その後自力で犯人探しをして私刑を行おうとする。その後の復讐劇でパク社長は迫真の演技を見せている。

また、もう一人の復讐者は姉の腎臓移植を切望していたリュ。しかし、リュは闇市場の臓器売買グループにはめられ、大金を奪われ、体内からは腎臓を摘出され奪われる。間の悪いことに、その後一文無しとなったリュには病院から姉に適合する腎臓が見つかったと連絡がある。途方に暮れるリュは、アナーキーな恋人ヨンミ(ペ.ドゥナ)の善意ある誘拐の言葉にそそのかされパク社長の娘の誘拐を実行し、パク社長から2600万ウォンを手に入れる。
そんな二人の復讐者だが、やがて共通の目的で近づくこととなる。その時の二人の運命に観客はただ黙ってスクリーンを見守るだけだ。

ここからはネタバレあります。ご注意を

『復讐者に憐れみを』では身体的に感じるような生々しく痛ましい場面がかなり多い。
パク社長の解雇した従業員が自分の腹部をカッターで切りつけ、そこから血液がたらりと滴り落ちる場面。パク社長の娘の司法解剖で死体の解剖に伴って発生する音にシンクロしてパク社長が悲痛な表情を見せる場面。リュが臓器密売組織のメンバーの頚動脈に凶器を刺し、血液を噴出させてしまう場面。パク社長に電気拷問を受けるヨンミが失禁する場面。自殺した姉の腐乱した顔に虫がわいている場面。川の中でパク社長がリュの両足のかかとをすぱっと切り、その裂け目がぱっくり開いている場面。そのいずれもが鮮烈であり、監督のごまかしのない表現意識を感じる。

生々しく痛ましい場面以外にも、監督のごまかしのない表現は見られる。リュとヨンミのベッドシーンもそういった場面の一つだろう。予想外のオールヌードのペ・ドゥナに少々当惑してしまったが、そのような演技をしたペ.ドゥナはプロ意識が高いのかもしれないし、あるいは映画製作時のペ.ドゥナとシン・ハギュンの関係が功を奏して実現されたのかもしれない。そこまでする必要があるのかないのかという議論もあるだろうが、私はこのシーンが他の惨たらしい一連の場面を引き立てるのに効果的だと考えている。

娘を亡くしたパク社長の変貌振りは恐ろしい。感情が徐々に破壊され冷徹な人物に変貌していく。その感情の破壊は二度ある司法解剖シーンに如実に表れている。
一度目の司法解剖で娘が解剖される場面では人間らしく表情を歪めるパク社長。二度目の司法解剖でリュの姉が解剖される場面では表情一つ変えず、あくびをしているパク社長。
また、司法解剖で人間の解体を見たことは後々リュを殺し解体する時にも役に立ったのかもしれない。

臓器移植の密売組織の人間を除いて、いずれの人物も表の世界で平穏に暮らしていた。ところが、良かれと思い行動したことが裏目に出て、それを取り取り繕おうとすればするほどさらに救いはなくなる。やがて意図せず命を落としていく者たちに観客は何を思うだろう。パク社長の言葉にならないような声の流れるエンドロール終了後、立ち上がると私はふらふらで全身疲労感で一杯だった。(2005年5月22日サロンシネマで鑑賞)

原題:복수는 나의 것
監督:パク・チャヌク
脚本:イ・ジョンヨン、パク・リダメ、イ・ムヨン
出演:ソン・ガンホ、シン・ハギュン、ぺ・ドゥナ、イム・ジウン、イ・デヨン
製作年度:2002年
製作国:韓国
上映時間:117分


映画『復讐者に憐れみを』のDVDと本の紹介

復讐者に憐れみを デラックス版 DVD
復讐者に憐れみを デラックス版

発売予定日は2005/07/22です。

復讐者に憐れみを 文庫本
パク チャヌク
復讐者に憐れみを

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2005年05月24日

映画『クローサー』

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Closer『クローサー』は単純に言うと4人の男女の恋愛模様が描かれた映画。そして、そこにあるのは本能的でエゴイスティックでむき出しな男女の恋愛感情。この作品『クローサー』に出演のナタリー・ポートマンとクライヴ・オーウェンはそれぞれゴールデン・グローブで助演女優賞と助演男優賞を受賞している。また、ナタリー・ポートマンのストリッパー役が注目を浴びている。

アリス(ナタリー・ポートマン)は路上で自動車と衝突し、目撃者のダン(ジュード・ロウ)はアリスを病院へ連れて行く。二人はお互いに惹かれ一緒に生活をする。新作本を書き上げたダンはフォトグラファーのアンナ(ジュリア・ロバーツ)と出会いアリスがいるにもかかわらず恋愛感情を抱く。

幸せな恋愛中の人はこの映画を避けたほうがいいかもしれない。しかし、お互い疑心暗鬼になっているカップルはもっと避けたほうがいいかもしれない。恋愛は騙し愛や試し愛(←造語です)だという信念、あるいは経験がある人はビタースゥイートなこの映画を十分に楽しめるかもしれない。「いやあ、そういう恋愛はキライだね」という御仁には肌に合わない可能性がある。

性的な描写に関してプライベートでしか言わないだろうと思われるきわどいセリフが多いのが目立つ。そこでは男も女もストレートな言葉をお互いにぶつけている。

「どこであいつと寝たんだ?」
「あのソファーよ」

その一方で、恋愛映画、とりわけ大人向けの恋愛映画にはよく出てくるであろうベッドシーンはほとんどない。そのため登場人物たちの恋愛がどうだったか観客もわからない。ダン、アリス、アンナやラリー(クライヴ・オーウェン)の言っていることは本当なのかどうかわからないので観客までもがあたかもその恋愛の当事者的立場から映画を観ることとなる。
また、時間の流れが急に飛ぶので、そのためストーリーの展開がわからなくなってしまう可能性はある。

この映画『クローサー』にジュード・ロウは出演している。『アビエイター』では見逃しそうになるほど僅かな出演のジュード・ロウ。『レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語』では声しか登場していなかったジュード・ロウ。ジュード・ロウのファンのみなさん、ようやくたんまりジュード・ロウが見れますよ。

個人的にはどうしてもナタリー・ポートマンに注目してしまった。あの美貌を持つナタリー・ポートマンがストリッパー姿というだけで『クローサー』の観客は増えているに違いない。そのナタリー・ポートマンのストリッパー姿ですが、個人的にはもっとヌードな姿が見られると思ったのに、監督の意向でそのシーンは少々押さえられたものになっている。クライヴ・オーウェンだけがとても喜ぶような演出になっていてなんだかもどかしく思えた。改めて思うけどナタリー・ポートマン、大きくなったねえ……。『レオン』のころが懐かしい。
ところで、ダンとラリーのワイセツなネット・チャットにやたら長々と時間をかけてやっていたけれど、本当に医師(ラリー)がオンラインでドクターとわかるハンドルネームを使うのかどうか疑問。(2005年5月21日ワーナー・マイカル・シネマズ広島で鑑賞)

原題:Closer
監督:マイク・ニコルズ
脚本:パトリック・マーバー
音楽:モリッシー
出演:ジュリア・ロバーツ、ジュード・ロウ、ナタリー・ポートマン、クライヴ・オーウェン
製作年度:2004年
製作国:アメリカ
上映時間:103分


closer / クローサー DVD
ジュリア・ロバーツ マイク・ニコルズ ジュード・ロウ
closer / クローサー DVD

By NOV at 20:19 | Comments [6] | Trackbacks [24]

2005年05月22日

映画『バッド・エデュケーション』

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バッド・エデュケーション 『バッド・エデュケーション』は『オール・アバウト・マイ・マザー』、『トーク・トゥ・ハー』に続くスペイン映画界の巨匠、ペドロ・アルモドバル監督の最新監督作品。この『バッド・エデュケーション』はペドロ・アルモドバル監督の半自伝的作品と言われている。アルモドバル監督が10年以上の構想で製作されたというだけあり、十分に練られた脚本が見事に展開していく。最後にきっと愛や人生について深く考えてしまうだろう。

エンリケは若き映画監督。エンリケ(フェレ・マルティネス)が次回作の構想を練っている時、突然事務所を一人の男が訪れる。その男の名はイグナシオ(ガエル・ガルシア・ベルナル)。16年前に別れたきりの親友だ。劇団の俳優をしているというイグナシオは、エンリケに役者として雇って欲しいと懇願する。そして、イグナシオは映画の脚本『訪れ……』をエンリケに手渡す。その脚本にエンリケは強くに惹き付けられて行く。なぜなら、その脚本にはイグナシオと共に過ごした神学校の寄宿舎時代がそこにあった。しかし、エンリケはイグナシオが本当にイグナシオなのか確信を持てなかった。

この映画『バッド・エデュケーション』は男性の同性愛的内容を多く含んでいる。多くの日本人男性にとって生理的にそういったものは受け入れることができないだろう。また、それは同性愛指向の男性にとってヘテロセクシャルが受け入れられないのと多分同じようなことと思われる。

私自身同性愛指向はないので、正直これは気持ち悪いと思う場面もいくつかこの映画の中にはあった。そういう場面もある程度包み隠さず映像表現しているので同性愛の実際も垣間見たような気になれる。何も知らずにこの映画を鑑賞に行った場合、固まってしてしまう人がかなりいるかもしれない。

同性愛に関する内容が含まれてはいるものの映画としてとてもしっかり作られているので鑑賞に堪えられないということはなく、むしろ新鮮でインモラルで面白い作品だった。ペドロ・アルモドバル監督の作品はいつもちょっと危ない雰囲気が漂うのに落ち着いて観れてしまう。不思議だ。
最終的に明らかとなるイグナシオの衝撃の真実に驚いた。そのイグナシオの人生を方向付けたように描かれているマノロ神父(ダニエル・ヒメネス・カチョ)の執拗で嫉妬深い小児偏愛にも驚く。少年時代のイグナシオが歌うムーン・リバーがとても儚い。

ところで余談ですが、ガエル・ガルシア・ベルナル(通称ガエル君)は今回、女装をしたり同性愛のラブシーンをしたりとかなり大胆な役柄に挑戦。彼のヌードが見られるので女性としては生唾ゴックンって感じかも。パンツ一枚で泳ぐお宝映像もあったりします。観客に女性が多かったのも納得。(2005年5月20日サロンシネマの最終上映日に鑑賞)

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原題:La Mala educación
監督:ペドロ・アルモドバル
脚本:ペドロ・アルモドバル
音楽:アルベルト・イグレシアス
出演:ガエル・ガルシア・ベルナル、フェレ・マルティネス、ハヴィエル・カマラ、 ルイス・オマール、ダニエル・ヒメネス・カチョ
製作年度:2004年
製作国:スペイン
上映時間:105分

映画『バッド・エデュケーション』の関連本やサウンドトラック

バッド・エデュケーション 文庫本
ペドロ・アルモドバル
バッド・エデュケーション
巨匠ペドロ・アルモドバルの半自叙伝。

「バッド・エデュケーション」オリジナル・サウンドトラック
サントラ サラ・モンティエル ヴィヴァルディ・イプシ・カタルーニャ少年合唱団
「バッド・エデュケーション」オリジナル・サウンドトラック

By NOV at 13:32 | Comments [0] | Trackbacks [3]

2005年05月15日

映画『交渉人 真下正義』

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『交渉人 真下正義』を上映している映画館は?
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映画『交渉人 真下正義』を観ました。『踊る大捜査線』の派生映画、スピンオフの作品ですね。映画の内容は、2004年12月24日、得体の知れない知能犯が東京の地下鉄新型車量「クモ」を縦横無尽に走らせて東京をパニックにさせるお話です。

警視庁初の交渉人として活躍した真下正義(ユースケ・サンタマリア)に対抗意識を持つ何者かが、自動列車運転装置(Automatic Train Operation)をダウンさせ、新型フリーゲージトレイン「クモ」を勝手に操り東京地下鉄路線上を走らせる。東京地下鉄の乗客が危機にさらされる。

なかなかスリリングな展開で序盤は大いに盛り上がります。なぜ新型地下鉄車両を乗っ取ったのかわからない犯人と真下は交渉します。実際は交渉というより、共感的な立場での会話という感じです。そんなに頭脳的な交渉というわけではありません。むしろ真下と地下鉄総合指令室内での職員との交渉のほうが大仕事のようにも見えました。

東京の地下鉄の司令室がどんなものか実際に見たことはありません。この映画ではその指令室でのシーンが多いので、普段多くの乗客を当たり前のように輸送する地下鉄制御の仕事を垣間見られます。映画での司令室の雰囲気が実際の世界の様子とどの程度の違うかわかりませんが、地下鉄職員の誇りの断片が感じられました。

犯人の最後の狙いはクリスマスイブの東京を騒然とさせるとんでもない計画。その計画を中止させるための警察サイドの活動に始終緊張しっぱなしでした。なかなか手の込んだことをする犯人で、真下が言うように「キミは凄いよ」という言葉のふさわしい犯人です。真下だけでなく部下たちの活躍に拍手を送りたくなるそんな作品でした。

ここからは、ネタバレでいきます。ご注意を。

心地よいボレロの演奏。ボレロの演奏中のシンバルの音がホールに設置された起爆装置と連動していることを短時間で見事に的中。犯人はただ者ではないけど捜査班もただものではないと思わせられます。プロファイリングで容疑者にやっとたどり着いたと思ったら、その人物はすでに死んでいる人物だったのでこれまた謎な展開でした。

やたら映画マニアな犯人でしたが、最後はあっけなく自爆でしょうか、それとも逃亡したのでしょうか。どちらかは明確には描かれていません。次回作『容疑者 室井慎次』で明らかとなるのでしょうか。最後、どんな犯人なのか全くわからない形になってしまったので肩透かしを食らいましたね。(2005年5月14日広島宝塚1で鑑賞)

交渉人 真下正義@映画生活
にもレビュー・批評・感想があります。
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監督:本広克行
脚本:十川誠志
出演:ユースケ・サンタマリア、寺島進、小泉孝太郎、高杉亘、松重豊、水野美紀
製作年度:2005年
製作国:日本
上映時間:127分

映画『交渉人 真下正義』
サウンドトラックや本、おもちゃなどいろいろ。

交渉人真下正義 オリジナルサウンドトラック
(レア映像DVD付初回限定盤)

サントラ ザ・テンプテーションズ
交渉人真下正義 オリジナルサウンドトラック (レア映像DVD付初回限定盤)
このサウンドトラックは【レア映像収録DVD付き初回限定盤】です。
※ 限定盤につき、なくなりしだい販売を終了。どんな特典映像の入ったDVDなんでしょう。気になりますね。また、交渉人真下正義オリジナルサウンドトラック(通常盤)もあります。

公式ガイドブック『交渉人 真下正義』完全FILE
公式ガイドブック『交渉人 真下正義』完全FILE

交渉人真下正義ネゴシエイションズガイドブック
交渉人真下正義ネゴシエイションズガイドブック

チョロQ クモ E4-600
チョロQ 交渉人 真下正義チョロQ
あのクモ E4-600のチョロQ。ちょっと欲しいなあ。

プラレール「交渉人 真下正義」 クモ E4-600
「交渉人 真下正義」 クモ E4-600
プラレールの車両です。プラレールが無い場合はこちらプラレール こんなにできちゃう! レールいっぱいセットでレールも手に入りますよ。(対象年齢:3才以上)

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2005年05月10日

映画『レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語』

『レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語』公式サイト
『レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語』を上映している映画館は?
『レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語』
エミリー・ブラウニング&リアム・エイケン独占インタビュー

エミリー・ブラウニングのプロフィール

映画『レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語』は、アメリカを中心に、世界中でハリー・ポッターシリーズとならぶ人気を誇る児童向け小説『世にも不幸なできごと』を原作にして作られた作品です。
レモニー・スニケット(声はジュード・ロウ)が時々物語を語りながら映画は進んでいきます。ボードレール家の三姉弟妹を襲ういろいろな不幸なできごとに目が離せません。三姉弟妹の勇気ある姿が素晴らしい。また、セットや衣装などの美術的な面にも注目。

ボードレール家の三姉弟妹、ヴァイオレット(エミリー・ブラウニング)、クラウス(リアム・エイケン)、サニー(カラ&シェルビー・ホフマン)は幸せに暮らしていた。ある日、砂浜で三人が遊んでいると、男が近づいてきた。男は、家が火事になり両親は焼け死んだと三人に告げる。

レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語

この物語には三人のきょうだいが登場します。一番上のお姉さんのヴァイオレットは発明の天才、ぼてっとしたくちびるがかわいい。弟のクラウスは本の虫、読んだ本はすべて記憶しているスーパークレバーな少年。そして、幼い妹のサニーは噛むことが好きなヘンテコなベイビーです。そんな彼らが得意技を駆使して不幸に立ち向かっていく姿に共感を覚えます。

児童向け文学が原作のようですが、大人が観ても十分鑑賞に堪えるクオリティを誇っています。セットや衣装などいろいろ趣向が凝らされているので見ているだけでも本当に楽しい。ヴァイオレットの衣装なんかとてもカワイイと感じました。

火事の後、ボードレール家の財産を狙うオラフ伯爵が三姉弟妹を引き取ろうとします。それから、三姉弟妹に襲いかかる不幸な展開にハラハラドキドキさせられ、困難を切り抜ける三姉弟妹の叡智に感心してしまいます。

ジム・キャリー演じるオラフ伯爵の変身振りもそつなく決まっています。基本的にはクラシックな風景が描かれているのに、ところどころ近代的なモノが見られて面白いです。もし予告編や感想などを見ていて気になるようなら劇場へ足を運ぶことをオススメします。微妙?絶妙?一見の価値はアリかな。観る時は童心に帰ってくださいね。(2005年5月6日ワーナー・マイカル・シネマズ広島で鑑賞)

レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語@映画生活
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ところでレモニー・スニケットって誰?

ちょっと気になったのでレモニ・スニケットがどんな人物か調べてみました。
映画『レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語』の原作者のレモニー・スニケットさんのこの名前は児童書「世にも不幸なできごと」シリーズ限定の筆名のようです。以下、wikipediaより引用です。

ダニエル・ハンドラーDaniel Handler 別名レモニー・スニケット Lemony Snicket 1970年2月28日 -)はカリフォルニア州サンフランシスコ生まれの小説家、脚本家、アコーディオン演奏家。

ハンドラーの小説The Basic FightとWatch Your Mouthはゴシック風のコメディであり、やや大人向けの内容である。ハンドラーの脚本には2003年の映画Rick(原作はヴェルディのオペラ『リゴレット』)、Kill the Poor(原作はジョエル・ローズの小説)がある。アコーディオン演奏家としては、マグネティック・フィールズのアルバム69 Love Songsでの演奏が最も有名である。

ハンドラーはレモニー・スニケットの筆名で『世にも不幸なできごと』シリーズを執筆している。またLemony Snicket: The Unauthorized Autobiographyという作品も執筆した。
引用先ヘのリンク

ダニエル・ハンドラーさんがレモニー・スニケットということのようですね。ダニエル・ハンドラーさんは小説家、脚本家、そしてアコーディオン演奏家ということです。

エミリー・ブラウニングのプロフィールに関する記事がWikipedia英語版に掲載されていたので翻訳させていただきました。
Wikipediaの原文はGNU Free Documentation Licenseのもとで公開されてます。したがって、この訳文も同様のライセンスが当てはめられます。(詳細はリンク先参照。)この訳文に関しては、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスにおけるby-sa(著作権者表示―二次的著作物の同一条件許諾)を適用させていただきたいと思います。

以下、Emily Browning - Wikipedia, the free encyclopedia よりの翻訳です。

エミリー・ブラウニング( Emily Browning )

ヴァイオレットとサニー
映画『レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語』
でヴァイオレットを演じるエミリー・ブラウニング

エミリー・ブラウニング(1988年12月7日生まれ)は子役女優である。エミリー・ブラウニングはオーストラリアのヴィクトリア州、メルボルン生まれである。

エミリー・ブラウニングの女優人生は学校演劇でエミリーの友人の父親がエミリーに注目した時から始まった。彼はエミリー・ブラウニングにプロの演技に挑んでエージェントを見つけることを薦めた。その後間もなく、エミリー・ブラウニングはホールマークテレビ映画 "The Echo of Thunder" (ジュディ・デイヴィスも共演)の出演をオーディションで勝ち取った。その後もオーストラリア製作作品に出演し、その中に "The Man Who Sued God"があり、 ビリー・コノリーが演じる登場人物の娘役をエミリー・ブラウニングが演じている。(エミリー・ブラウニングはレモニー・スニケットで再びビリー・コノリーと共演している。)

テレビドラマ"Blue Heelers"では問題を抱えて、テス・ギャラガーに連行される10代少女ヘイリー・フルトンの役をエミリー・ブラウニングは何度か演じたころ、初の大役がエミリーにやってきた。エミリー・ブラウニングは定期的に2000年から2002年まで登場した。そのころのエミリー・ブラウニングは本当の家族のところへ帰らざるを得ない時期だった。エミリー・ブラウニングはその後ホラー映画 "Darknes Falls" に出演、そして2003年のドラマ映画 "Ned Kelly" にオーランド・ブルームやヒース・レジャーと一緒に登場している。

エミリー・ブラウニング登場の最新作は『レモニースニケットの世にも不幸せな物語』で、作品中エミリー・ブラウニングは発明の才能に長け賢明な一番年上の姉ヴァイオレット・ボードレールを演じている。エミリー・ブラウニングはジム・キャリーやメリル・ストリーブと共演している。

伝えられるところによると、エミリー・ブラウニングは映画の撮影は休んでオーストラリアに戻り学校へ通っているようである。エミリー・ブラウニングは現在学校の友達のリアム・シャムブルックさんと付き合っているようだ。レモニー・スニケットで共演したリアム・エイケンと間違えて混乱しないように。
  

エミリー・ブラウニングのフィルモグラフィー

翻訳はここまでです。誤訳がありましたらご指摘ください。

原題:Lemony Snicket's A Series of Unfortunate Events
監督:ブラッド・シルバーリング
原作:レモニー・スニケット
脚本:ロバート・ゴードン
音楽:トーマス・ニューマン
出演:ジム・キャリー、メリル・ストリープ、エミリー・ブラウニング、リアム・エイケン、カラ・ホフマン
製作年度:2004年
製作国:アメリカ
上映時間:109分
  

映画『レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語』の原作本やサウンドトラックを紹介します

世にも不幸なできごと (1)(2)(3) 3巻 箱入りセット
レモニー・スニケット 宇佐川 晶子
世にも不幸なできごと (1)(2)(3) 3巻 箱入りセット
こちらは映画『レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語』の原作の本ですね。「世にも不幸なできごと」の3巻箱入りセットです。それぞれのタイトルは『最悪のはじまり』、『爬虫類の部屋にきた』、『大きな窓に気をつけろ』です。なんとこのシリーズは世界で3000万部以上を売り上げだとか。
1巻ずつの購入もこちら→レモニー・スニケットの世にも不幸なできごとシリーズからできます。
洋書のレモニースニケットの世にも不幸なできごと
もあります。

レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語 サウンドトラック
サントラ
レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語
レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語のオリジナルサウンドトラックです。
Lemony Snicket's A Series of Unfortunate Events (Original Motion Picture Soundtrack)は輸入盤のサウンドトラックです。リンク先で試聴もできます。

By NOV at 08:43 | Comments [10] | Trackbacks [22]

2005年05月06日

映画『海を飛ぶ夢』

『海を飛ぶ夢』公式サイト
『海を飛ぶ夢』を上映している映画館は?
アレハンドロ・アメナーバル『海を飛ぶ夢』独占インタビュー - FLiXムービーサイト

映画『海を飛ぶ夢』を見ました。実在した人物、ラモン・サンペドロが前向きに死ぬ権利を勝ち取ろうとする話です。この作品『海を飛ぶ夢』は第77回(2005年)アカデミー賞外国語映画賞を受賞。最近は伝記映画にアカデミー賞が贈られることが多いと聞きます。もしかしたら『海を飛ぶ夢』もその一連の流れ中にあるのかもしれませんが、『海を飛ぶ夢』がそのような流れの中で単純に選ばれた映画ではないと思います。アレハンドロ・アメナバール監督が見事にラモンの人生を描いています。生きることの意味を深く観客に突きつける映画です。また、主演のハビエル・バルデムの表現力豊かな演技が素晴らしい。人生とは?、命は誰のもの?、様々な答えの無い問いがそこにある。

ラモン(ハビエル・バルデム)は25歳の時に引き潮の海へ飛び込んだために頚椎損傷する。四肢麻痺となりラモンが船員だった時代の自由な時間は過去のものとなってしまった。それ以来ラモンは家族の手厚い看護で生活していた。しかし、事故から26年後、ラモンはそのような人生を自由に楽しめない生き方に疑問を感じ、自ら命を絶つことを希望するようになる。ラモンは人権支援団体や弁護士の力を得て合法的に命を絶つことを可能にしようと活動する。

四肢麻痺のラモンの周りには多くの人がいます。兄、義姉、父や甥など、ラモンの家族、ラモンを支援する弁護士フリア(ベレン・ルエダ)や人権支援団体のメンバーのジュネ(クララ・セグラ)、テレビでラモンのドキュメンタリー番組を見て勇気付けられたロサ(ロラ・ドゥエニャス)。彼らとラモンとの交流を見ていると、本当はラモンは人生を楽しんでいるのではないかという錯覚を感じます。とても死を望んでいるようには思えなかったりします。とても妙な違和感を感じました。なかなかこういった感覚を覚える映画はないと思います。

この先少しネタバレ含みます。

単純に言えば、ラモンはとにかく命を断ち、人生を終わらせたかったのでしょう。明日も生きることを望んでいる死に直面した人とは対極の位置にあったラモン。「人はいつか死ぬのだからそんなに死に急がなくても」と私は思うのですが、死を自ら決定するということがきっとラモンに残された唯一の本当の自由だったのでしょう。

しかし、家族の側に立つとそれはとても悲しく思えます。特にラモンが青酸カリウム水溶液を飲む前の言葉「今まで生きてきて楽しいことなんて何も無かった」は家族にとって悲しいメッセージです。わざと挑発的なメッセージを投げることによって、ラモンは世間にいろいろと問いたかったのかもしれません。亡くなる前の期間、ラモンは恋愛を楽しんでいたように見えただけに「今まで生きてきて楽しいことなんて何も無かった」の言葉は衝撃的でした。

ところで、この映画は尊厳死がテーマと言われていますが、尊厳死とは少し違うような気がしました。このことに関して専門家ではないのではもしかしたら見当違いかもしれませんが、私が認識していた尊厳死は該当患者が不治の病であり、死期が迫っていて、延命治療をしないと生存できない状態となった場合それを行わずに該当患者が死を選択することと捉えていました。

ラモンの場合、四肢麻痺なので不治の病には当てはまりますが、死期が迫っているとまでは言えません。また、一般的に延命治療と呼ばれるものは行われておらず、看護あるいは介護を受けている状態でした。その考えで行くと、ラモンはどちらかと言うと積極的な安楽死を求めていたような気がします。(2005年4月23日TOHOシネマズ緑井で鑑賞)

海を飛ぶ夢@映画生活にもレビュー・批評・感想があります。
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監督:アレハンドロ・アメナバール
脚本:アレハンドロ・アメナバール、マテオ・ヒル
音楽:アレハンドロ・アメナバール
出演:ハビエル・バルデム、ベレン・ルエダ、ロラ・ドゥエニャス、クララ・セグラ、マベル・リベラ
製作年度:2004年
製作国:スペイン
上映時間:125分

映画『海を飛ぶ夢』の本やサウンドトラックあります

海を飛ぶ夢 本
ラモン・サンペドロ
海を飛ぶ夢
by G-Tools

海を飛ぶ夢 オリジナルサウンドトラック
サントラ
海を飛ぶ夢  オリジナルサウンドトラック

By NOV at 07:18 | Comments [4] | Trackbacks [21]

2005年05月01日

映画『ハイド・アンド・シーク/暗闇のかくれんぼ』

『ハイド・アンド・シーク/暗闇のかくれんぼ』公式サイト
『ハイド・アンド・シーク/暗闇のかくれんぼ』を上映している映画館は

『ハイド・アンド・シーク/暗闇のかくれんぼ』 かくれんぼを最後にしたのはいつだろう。小学校に行っていたころにかくれんぼをした記憶はあるのに、最後のかくれんぼの記憶ってないなあ。そんな昔の記憶を思い起こさせる題名の作品『ハイド・アンド・シーク/暗闇のかくれんぼ』(以下『ハイド・アンド・シーク』)を観ました。

『アイ・アム・サム』で一躍有名となった名子役のダコタ・ファニングと名俳優ロバート・デ・ニーロが出演。また、『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2』、『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3』のマーティーの恋人役として出演していたエリザベス・シューも登場します。

デビッドとエミリー親子の妻であり母であるアリソンが浴室で自ら命を絶ってしまった。その事件がきっかけでまだ9歳のエミリーは心に深い傷を負う。心理学者であるエミリーの父デビッドは娘の心の静養のためにニューヨークの静かな郊外へ移り住む。快適な環境と思われたが、エミリーの心はどんどん閉ざされていく。そして、チャーリーと呼ばれる目に見えない友達とエミリーは遊ぶようになる。

それほど観るつもりはなかったこの作品『ハイド・アンド・シーク』。『海を飛ぶ夢』を観る前に2時間ほど開いていてちょうど時間的に都合がよかったので観ることとなったのです。

昨年『マイ・ボディガード』にも出演していたダコタ・ファニングが出演しています。この作品にも出演し、次回は『宇宙戦争』にも出演しているわけですごく忙しいだろうなあ、この子って思います。そして、演技も見事です。完璧すぎて少し面白くない気もします。もう少し、演技に子どもっぽさがあってもいいのにと思うほどです。ロバート・デ・ニーロがお父さん役ですが、ちょっと年齢的に高齢なパパですね。年も体形も変わりましたね。ゴッド・ファーザーⅡのデ・ニーロとは違いすぎです。

心に傷を持った子どもが架空の人物に自分の気持ちを語らせるということは心理学的によくあるということですが、この映画『ハイド・アンド・シーク』では、心的外傷を持つエミリーがチャーリーという架空の人物にエミリーの心を語らせていることになります。実際、エミリーの気持ちをチャーリーが代弁しているのか思わせるシーンが何度も見られます。

このチャーリーエミリーの想像上の産物と思っていたら、チャーリーは事件を引き起こします。ネコのセバスチャンが殺されてしまうのです。空想のチャーリーが本当にいるのだと思わせられ、ぞっとします。それから、悲劇がまた起きていくのです。本格的な恐怖ものの映画が好きな人には物足りないかもしれませんが、ちょっとした怖そうな映画を観たい人にほどよい映画だと思います。

これから先、ネタバレを含みます。ご注意を。

私の考えですが、実は母殺しの犯人をエミリーはある程度感づいていたと思います。そう考えるとエミリーの行動がいろいろつじつまがあっています。引越しした家でのゲストに冷たいエミリー。人のお人形をバラバラにするエミリー。それはゲストを危険から遠ざけるためのものだったと思うのです。父デビッドがチャーリーであり、母アリソンを殺していたわけですから。

物事を深く考えない私は騙されました。犯人がパパだったとは。私は本気でとなりのオヤジか夜中にカギを持ってきたヤツが怪しいと思っていました。そして、パパは施設職員のキャサリン(ファムケ・ヤンセン)に殺されるわけですが、救出後のエミリーが描いていた絵が不気味ですね。エミリーも二重人格な人物として成長していく予感を感じさせます。(2005年4月23日TOHOシネマズ緑井で鑑賞)

原題:Hide and Seek
監督:ジョン・ポルソン
脚本:アリ・シュロスバーグ
音楽ジョン・オットマン
出演:ロバート・デ・ニーロ、ダコタ・ファニング、ファムケ・ヤンセン、エリザベス・シュー、エイミー・アーヴィング
製作年度:2005年
製作国:アメリカ
上映時間:102分

ハイド・アンド・シーク 暗闇のかくれんぼ@映画生活にもレビュー・批評・感想があります。
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By NOV at 15:19 | Comments [0] | Trackbacks [10]

2005年04月28日

映画『甘い人生』

『甘い人生』公式サイト
『甘い人生』を上映している映画館は?
『甘い人生』イ・ビョンホン独占インタビュー - FLiXムービーサイト

「甘い人生」 ~イ・ビョンホンの代表作になるまで~ 『甘い人生』はフィルム・ノワール的要素に満ちた作品で、イ・ビョンホン主演の本格的アクション映画。イ・ビョンホンの壮絶な生き様がこの作品『甘い人生』の見どころでしょう。イ・ビョンホン来日時のインタビューで、試写会で9割が女性の観客だったことについて、「どうやら日本の男性は映画を愛してくれていないのかな(笑)」と言ったようですが、案の定、私が劇場へ『甘い人生』を観に行った公開初日、観客は確かに9割以上が女性。「日本の女性はイ・ビョンホンを愛し過ぎ!」ですね……。

7年かけてホテルの総マネージャーの地位を手に入れたソヌ(イ・ビョンホン)はホテルのカン社長(キム・ヨンチョル)に絶大な信頼を置かれる存在であった。カン社長は闇社会も支配する権力を持つ冷酷な男。上海へ出張に出かける間、カン社長はソヌに若い愛人、ヒス(シン・ミナ)の監視を命じた。

フィルム・ノワールのテイストが漂うこの作品。若い愛人の監視をきっかけに事態は急展開していきます。ソヌの運命は行き詰まり、悲愴感漂う展開になっていきます。観客はソヌの運命にただただ驚き圧倒されるばかり。流血シーンが多いので、イ・ビョンホン見たさで劇場に足を運んだ女性の中には鑑賞に堪えられなかった方もいるのではないのでしょうか。

このようなことを言うとジェンダーフリー推進派の方に怒られそうですが、この映画は男の観る映画だと思いました。多くを語れない、気持ちを表現できない男の辛さがよく表れています。動く心がこの映画のキーワードにもなっていますね。そして、アクションに目を向けるととても本格的でしっかりと構成されています。イ・ビョンホンが違和感を感じたという銃器を扱うシーンですが十分に迫力ありました。あれほどの破壊的なシーンは銃器なしではあり得なかったと思います。一人の男だけでなく何人もの男を地獄へ陥れていまったヒスがある意味とても恐ろしい。

これから映画のネタバレが少しあります。
カン社長とソヌの問答が一つの見どころでした。寡黙な男の目には見えない揺れ動く心が切ない。そして、社長の命令に背いたことで結果的には命を落としてしまうソヌ。ソヌは一度目の危機を見事に繰りぬけてしまいます。ジェイソン・ボーンならインドのゴアに行って静養するのですが、命知らずなソヌは銃器を手に入れカン社長を殺してしまうわけです。実に恐ろしいです。予想以上に壮絶な映画でした。最後のソヌの携帯電話は切なかったですね。そして280000ウォンの電気スタンドでヒスにソヌの想いが届いたことをただ祈るばかりです。しかし、なぜヒスの若い恋人を逃したことがバレたのかよくわかりません。ヒスの様子がおかしいと悟ったカン社長が問い詰めたのでしょうか。005年4月23日シネツイン2で鑑賞)

用語解説
フィルム・ノワール―虚無的・悲観的・退廃的な指向性を持つ犯罪映画の総称である。(こちらフィルム・ノワール(Wikipedia)から引用)

ところで『甘い人生』という題名が印象的なくらい甘くない人生の映画だったので、『甘い人生』の日本語での題名と、原題の韓国語、英語題をそれぞれ訳したものを列挙してみました。
日本:甘い人生
英語:ほろ苦い人生
韓国:甘ったるい人生
それぞれ微妙に表現が違いますね。どの題もそれぞれ味があるなと思います。
ちなみに、原題である韓国題訳はKAOMEAブログ版-イ・ビョンホン最新作『甘い人生』より引用させていただきました。

甘い人生@映画生活にもレビュー・批評・感想があります。
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原題:달콤한 인생
監督:キム・ジウン
脚本:キム・ジウン
出演:イ・ビョンホン、キム・ヨンチョル、シン・ミナ、キム・レハ、ファン・ジョンミン
製作年度:2005年
製作国;韓国
上映時間:120分

映画『甘い生活』のサウンドトラックやDVDのご案内

甘い人生 DVD
甘い人生  DVD
発売は未定です。リンク先のページから発売
お知らせメールの登録もできます。

甘い人生 サウンドトラックCD+DVD
サントラ
甘い人生 サウンドトラックCD+DVD
DVD付き国内盤オリジナルサウンドトラックが5月13日発売!フォトカード&ポスターなど豪華特典付き。DVDには、メイキングDVDにも収録されていない映像収録予定。

「甘い人生」 ~イ・ビョンホンの代表作になるまで~
キム・ジウン イ・ビョンホン キム・ヨンチョル シン・ミナ
「甘い人生」 ~イ・ビョンホンの代表作になるまで~
イ・ビョンホン迫真の演技が際立つ『甘い人生』のメイキングDVD。

甘い人生 ノベライズ本
キム・ジウン(脚本) 星野 卓也
甘い人生 ノベライズ本

「Korea Movie」コリア・ムービーVol.5

by G-Tools
イ・ビョンホン主演『甘い人生』の28ページ大特集、
イ・ビョンホン最新グラビア&インタビューなど掲載。

By NOV at 22:29 | Trackbacks [3]

2005年04月27日

映画『ホワイト・ライズ』

『ホワイト・ライズ』公式サイト
『ホワイト・ライズ』を上映している映画館は?

ホワイト・ライズ 『ホワイト・ライズ』は白銀の冬景色のシカゴを舞台に繰り広げられるミステリアスなラブストーリー。『パール・ハーバー』のジョシュ・ハートネット、『トロイ』出演のダイアン・クルーガーやローズ・バーンが出演しています。また、この映画『ホワイト・ライズ』はフランス映画『アパートメント』をオリジナルにリメイクされた作品です。

ニューヨークで成功を収めたビジネスマンのマシュー(ジョシュ.ハートネット)は、ニューヨークから故郷のシカゴに戻っていた。マシューは結婚を控えた婚約者のレベッカ(ジェシカ・パレ)と共に、レストランで食事をしていた。そんな時、マシューは電話ボックスの前で2年前突然姿を消してしまった昔の恋人の姿を目撃する。かつての恋人リサ(ダイアン.クルーガー)の後ろ姿がそこにはあった。レストランの電話ボックスに残されたホテルのキーを手がかりにマシューはかつての恋人を追い求めるのだが……。

映画はミステリアスでスリリングな展開をみせてきます。元恋人のリサを追い求めるマシューは必死でリサを探すもののリサは現れず、リサと名乗る元恋人とは別の女(ローズ・バーン)が登場。その女はマシューを自分の物にしようとします。元恋人と同名のリサやマシューの友人ルーク(マシュー・リラード)を交えながらのかつての恋人をめぐる物語は予測不能な面白さにあふれています。さてマシューはリサに逢えるのでしょうかといった展開です。それから、映画にはいろいろな嘘が出てきますが、はじめは何が本当で何が嘘かわからなくて混乱しそうでした。

元恋人と同名のミステリアスなリサ、マシューのエキセントリックで憎めない友人ルーク、そして美しい元恋人リサとその恋人を追い求めるマシューの四人それぞれの恋の行方に胸を締め付けらそうな思いがします。また、オリジナルの『アパートメント』も観て比べてみたいと思いました。ロマンチックなだけでなくミステリアスでスリリングでどろどろとした恋愛映画を観てみたい人にはオススメかなと思います。

余談ですが、映画『ホワイト・ライズ』のもともとの題名は『Wicker Park(ウィッカー・パーク)』。シカゴの地名が原題のようですが、日本向けには名前がホワイト・ライズと変更されています。ホワイト・ライズはおそらくwhite liesということで罪の無い嘘とかたわいのない嘘といった意味ですね。でもこの映画『ホワイト・ライズ』に出てくる嘘をたわいの無いものと呼ぶにはちょっとひどいですね。ホワイトと雪景色からいいイメージにつながるので付けられた題名のような気がします。

ちょっとここからネタバレです。
最後はそれぞれに喜びあるいは悲しみとなる結末となりましたが、マシューの婚約者はかわいそうですね。中国出張もすっぽかし婚約者の兄の顔もつぶしたのできっとマシューはあの後クビになるか干されるような気がします。この映画のオリジナルが出来たころは携帯電話全盛の時代ではなかったので『ホワイト・ライズ』があり得たのでしょう。今のインフラ状況を背景にするとこの映画は成立しにくいでしょうね。(2005年4月22日サロンシネマで鑑賞)

ホワイト・ライズ@映画生活にもレビュー・批評・感想があります。
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原題:Wicker Park
監督:ポール・マクギガン
脚本:ブランドン・ボイス
音楽:クリフ・マルティネス
出演:ジョシュ・ハートネット、ローズ・バーン、マシュー・リラード、ダイアン・クルーガー
製作年度:2004年
製作国:アメリカ
上映時間:116分

映画『ホワイト・ライズ』のサウンドトラックやDVD、書籍のご案内

ホワイト・ライズ DVD
ジョシュ・ハートネット ローズ・バーン マシュー・リラード
ホワイト・ライズ  DVD

ホワイト・ライズ ノベライズ
ブランドン・ボイス
ホワイト・ライズ

Wicker Park [Original Soundtrack]
Original Soundtrack
Wicker Park [Original Soundtrack]

ホワイト・ライズ サウンドトラック
サントラ
ホワイト・ライズ  サウンドトラック

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2005年04月21日

映画『トニー滝谷』

『トニー滝谷』公式サイト
『トニー滝谷』を上映している映画館は?

『トニー滝谷』が東京で1月に公開されて遅れること約3カ月。ようやく広島でも公開されました。原作は村上春樹の短編小説『トニー滝谷』です。村上春樹の映画は過去に数本製作されています。私は『風の歌を聴け』の映画作品をビデオで観たことはあるのですが、その時、映画よりも小説の方がいいと感じました。そして、この『トニー滝谷』に対しても同じように思うかもしれないと思いつつも映画館へ足を運びました。

映画『トニー滝谷』ですが、果たしてこれは映画と言えるのでしょうか。ナレーションが多用されておりこれはもはや映画とは別の作品のような気がしました。ナレーションに頼らないと村上春樹の小説世界の再現は難しいという見方もあるかもしれませんが、それでも村上春樹の作品が持つ世界をナレーションに頼らない方法で構築して欲しかったですね。例えばトニー滝谷がなぜトニー滝谷と呼ばれるかについて明らかになる場面では、ほとんどナレーションで理由が説明され、映像表現は挿絵程度にしか使われていません。きちんとアメリカ兵がトニー滝谷の父にセリフ付きでトニーの名前を提案するシーンを見せる映画的なやり方で製作して欲しいと感じました。ナレーションを映画で用いるべきではないという意見がある中、あえてナレーションを用いたのには明確な理由があるのだろうと思います。これは実験的試みと言えるのかそれとも村上春樹小説風世界を構築するための妥協的方法と言えるのかちょっと判断しかねるところです。

坂本龍一のゆったりとした音楽と西島秀俊のナレーションの融合音波によって私は眠くなり、起きて鑑賞するのが難しい時がありました。音楽もナレーションもよくできていたと思います。宮沢りえの一人二役もきちんと演技できていましたし、イッセー尾形も長髪の大学時代を除いては何の問題も無く演じていたと思います。多少違う点はあるもののおおむね小説の静謐さを忠実に再現したような作品です。いわゆる村上春樹作品を象徴する喪失感も出ていました。でも、小説には存在するどうでもいいようなある種の細かい描写が失われていたような気がします。でも、映画として作品全体をとらえると満足いく映画ではなくちょっと戸惑わされる映画でした。よくよく考えると原作の小説自体それほどお気に入りの話しだったわけではないのが満足度が低い理由かもしれません。また、原作に無い最後のワンシーンはちょっと余計でしょうか。(2005年4月16日シネツイン2で鑑賞)

トニー滝谷@映画生活にもレビュー・批評・感想があります。
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監督:市川準
原作:村上春樹
脚本:市川準
音楽:坂本龍一
出演:イッセー尾形、宮沢りえ、篠原孝文、四方堂亘
製作年度:2004年
製作国:日本
上映時間:75分

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2005年04月20日

映画『ラブ・アクチュアリー』

『ラブ・アクチュアリー』公式サイト
『ラブ・アクチュアリー』を上映している映画館は?

Love Actually 『ラブ・アクチュアリー』は、日本では昨年の2月公開された作品です。少し気になる作品ではあったのですが劇場では観ることなく一年ほど過ぎてしまいました。たまたまシートも入れ替えて間もないシネツイン2で再上映されていたので、800円を払い鑑賞しました。

いろんな人のいろんな愛の物語がぎっしり詰め込まれたお話しです。なんだかちょっと高めのチョコレート詰め合わせを味わうような感覚で映画を観たような気がします。いろんな人がいて、いろんな愛があって、結構ベタかもしれないけれど、もうそれははじめからほぼそう思わせる導入だったのですんなり作品を味わえました。チョコレートの一粒一粒に個性があって楽しめました。歌の上手な少女に恋をしている少年のお話が一番好きです。子どもには私は弱いのかもしれない。

群像劇は少し苦手でしたが、この映画はうまく作られていて観客を退屈にさせることなくリズム良く展開していきます。映画で使われている音楽もラブリーなものばかりです。いくつかのうまく行き過ぎる展開をみせるお話しに驚きますが、ちょっと疲れた時に観るときっと心が癒されますね。イギリス人ってアメリカであんなにモテるのでしょうか。
All you need is love, isn't it? (2005年4月16日シネツイン2で鑑賞)

ラブ・アクチュアリー@映画生活にもレビュー・批評・感想があります。
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監督:リチャード・カーティス
脚本:リチャード・カーティス
音楽:クレイグ・アームストロング
出演:ヒュー・グラント、リーアム・ニーソン、エマ・トンプソン、アラン・リックマン、コリン・ファース
製作年度:2003年
製作国:イギリス/アメリカ
上映時間:135分


映画『ラブ・アクチュアリー』のサウンドトラックやDVDなどのご案内

ラブ・アクチュアリー DVD
ラブ・アクチュアリー DVD

ラブ・アクチュアリー ギフト・スペシャル DVD
ヒュー・グラント リチャード・カーティス ヒュー・グラント エマ・トンプソン
ラブ・アクチュアリー ギフト・スペシャル DVD
同じDVDが二枚入っています。一枚はプレゼントに……。

「ラブ・アクチュアリー」サウンドトラック
サントラ ガールズ・アラウド シュガーベイブス ケリー・クラークソン
「ラブ・アクチュアリー」サウンドトラック

ラブ・アクチュアリー オリジナル・サウンドトラック [Limited Edition]
サントラ ガールズ・アラウド シュガーベイブス ケリー・クラークソン
ラブ・アクチュアリー オリジナル・サウンドトラック [Limited Edition]
少しお求め安い価格になっています。

Love Actually
Original Soundtrack
Love Actually Original Soundtrack

ラブ・アクチュアリー 書籍
DHC
ラブ・アクチュアリー
DHC完全字幕シリーズです。英語学習のお供に。

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2005年04月17日

映画『阿修羅城の瞳』

『阿修羅城の瞳』公式サイト
『阿修羅城の瞳』を上映している映画館は?

映画『阿修羅城の瞳』を観てきました。映画『阿修羅城の瞳』は、劇団☆新感線による舞台での『阿修羅城の瞳』をベースにして映画化された作品です。私は劇団☆新感線の舞台を一度も観たことがないのです。そういうわけでこれから書くことは基本的に映画だけのことを書いていきます。

文化文政の時代の江戸を舞台に物語は始まる。江戸の町には鬼の住む場所があり、鬼を討ち払う「鬼御門」という組織があった。「鬼御門」の病葉出門(市川染五郎)はスゴ腕を振るい鬼を退治していたが、あるできごとをきっかけに「鬼御門」を離れ、舞台役者として四世鶴屋南北(小日向文世)の一座へ入る。一座へ入り五年経ったころ、出門は謎の女、つばき(宮沢りえ)と出会う。

映画の印象はなんといったらいいんでしょう。ゲームにすると面白そうな映画だなあと思いました。鬼を切ると蛍光グリーンの体液が飛び散るんですよ。なんで蛍光グリーンなんでしょうね。ゲームにした時グリーンだと残酷な感じが少ないからかもしれません。鬼の体内にはおそらくグリーンスライムでも入っているんでしょう。様々なCGを活用しているせいもありゲームっぽさ満点です。「さあ、きみは阿修羅城にたどり着けるか」なんてね。

この作品の滅茶苦茶というか荒唐無稽なところもそれなりに楽しみながら眺めていました。つばきと出門の逢瀬も四世鶴屋南北の気分で眺めていました。でも映画としてみるとよくできているとは言い難い気がします。雑なCG、全般的にちぐはぐな演技、宮沢りえのゆっくりチャンバラなど気になったものは一杯あります。一番残念だったのは個人的につばきの変身を楽しみにしていたのにあまり大したものではなかったこと。つばきの変身まではまあまあ満足して観れたのですが、それ以降は満足できないものでしたね。切ないと思われるラストがあまり切なくなかったのも残念です。ゲームオーバーって感じでした。ゲーム的な雰囲気があると先ほど書きましたが、子供向け番組のヒーロー物のような雰囲気もありました。舞台はもっと面白いのかもしれないと思います。(2005年4月12日広島松竹東洋座/広島名画座で鑑賞。RCC試写会でした。)

阿修羅城の瞳@映画生活にもレビュー・批評・感想があります。
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監督:滝田洋二郎
原作:中島かずき
脚本:戸田山雅司、川口晴
音楽:菅野よう子
出演:市川染五郎(七代目)、宮沢りえ、大倉孝二、皆川猿時、二反田雅澄
製作年度:2005年
製作国:日本
上映時間:119分


映画『阿修羅城の瞳』のサウンドトラックや書籍のご案内

阿修羅城の瞳 サウンドトラック
阿修羅城の瞳 サウンドトラック

A SHU RA―ストーリー・オブ・ザ・ムービー阿修羅城の瞳 本
出水 秋成
A SHU RA―ストーリー・オブ・ザ・ムービー阿修羅城の瞳
映画『阿修羅城の瞳』を完全小説化。

By NOV at 20:51 | Comments [0] | Trackbacks [3]

2005年04月11日

映画『コーラス』

『コーラス』公式サイト
『コーラス』を上映している映画館は?
『コーラス』ジャン=バティスト・モニエ少年独占インタビュー - FLiXムービーサイト

コーラスフランスで『アメリ』の観客動員数を塗り替え870万人以上を動員というもの凄い記録を打ち立てた感動作『コーラス』。サウンドトラックも何百万枚も売れに売れているとか。『ニュー・シネマ・パラダイス』のジャック・ペランが製作・出演していることも多くの方がご存知と思います。さらにジャック・ペランの愛息子マクサンスもペピノ役で出演。親子で映画出演できるとはうらやましい限りです。また、ジャック・ペランの甥、クリストフ・バラティエが監督をしています。『コーラス』は先週の土曜日より公開されましたが、期待している方もたくさんいらっしゃることでしょう。

世界的な指揮者ピエール・モランジュ(ジャック・ペラン)は母親の訃報を聞き故郷のフランスへ帰る。故郷へ戻ったピエールは50年ぶりに幼き時代を共に過ごした友人ペピノ(ディディエ・フラマン)と出会う。ペピノは一冊の日記をピエールに手渡す。その日記は音楽教師、クレマン・マチュー(ジェラール・ジュニョ)の形見だった。幼き日々の記憶がマチュー先生の日記を読むピエールの脳裏に蘇る。
フランスの田舎町にある「池の底」寄宿舎という名の寄宿学校に音楽教師のクレマン・マチューは舎監として赴任する。親を戦争で失った子や、素行に問題があるとみなされた子らがそれぞれの事情を抱えて寄宿舎での日々を過ごしていた。マチューは赴任早々さまざまなトラブルに遭遇する。マチューは校長(フランソワ・ベルレアン)の教育方針には疑問を感じていた。マチューはコーラス団を組み合唱の練習をスタートする。そして、ある日マチューは素晴らしい歌声を耳にする。それは学校で一番の問題児と言われていたピエール・モランジュ(ジャン=バティスト・モニエ)の歌声だった。

フランスで観客動員記録更新にも納得の作品。そしてさわやかな涙がこぼれそうになります。多くの人に「ぜひぜひ観てよ」と言いたくなりました。とにかく心に響きます。感動します。大満足でした。泣いてしまう人もいっぱいいるでしょう。少し感情的になってしまいましたが、この映画を観た人なら私の気持ちわかって頂けると確信しています。

ストーリーそのものはかなりシンプルです。特に奇をてらうことなくよどみなくストーリーは展開していきます。フランス映画によくあるわかりにくいところや理解不能なものはほとんどありません。本当にフランス映画だろうかと思うほど多くの人に受け入れられそうな仕上がりです。よくある手法ですが、過去を回想するシーンで映画の本編は始まります。この映画『コーラス』の力のひとつはやはり作品中のコーラスそのものにあると思います。このコーラスは「サン・マルク少年少女合唱団」のものです。また映画には実際に「サン・マルク少年少女合唱団」のソリスト、ジャン=バティスト・モニエが出演しています。少年たちのコーラスの歌声を聴けば、ピュアで一点の曇りも無いさわやかな感覚になってしまいます。そう感じずにはいられない歌声です。コーラスを聴いてそんなふうに思ったのは初めてのような気がします。

マチュー先生と子どもたちの距離感が次第に変化していくところが印象的です。はじめはかたくなで心を閉ざした少年たちでしたが、コーラスにやりがいを感じると次第にマチュー先生に心を開いていきます。子どもたちの様子も変わると周りの先生たちの様子も変わっていきます。作品中で歌われるコーラスはまさに子どもの心そのものです。途中で札付きの不良役のモンダン(グレゴリー・ガティニョール)が登場しますが、モンダン役の少年の演技はかなり迫真なものがあると感じました。それもそのはず、彼は実際に青少年更生施設に入所している少年だそうで、監督は少年の担当判事の反対を押し切って少年を出演させたそうです。

映画のラストでは素晴らしい感動がこみ上げてきます。子ども一人一人に対するとても温かいマチュー先生の眼差しを感じました。どんな場面かはここでは書きませんが作品をまだ観てないみなさんにはじっくりと味わってもらいたいです。実は私はここで少し涙がこぼれました。

映画『コーラス』では、両極端な教育スタイルが描かれています。校長の教育方針とマチュー先生の教育方針です。校長先生のそれはもはや教育とは呼べない印象すらありましたが、そうせざるを得ない状況だったのでしょうか。教育関係者や子を持つ親たちはもちろんですが多くの人々にとって大変興味深い内容です。教育関係者の方々にとっては、私が感じるようなこととはまた別の深いものを感じるのではないでしょうか。ところで「池の底」寄宿舎ってなかなか変わった名前ですね。日本だとありえない名称だと思いました。映画を観られたみなさん、いかがでしたか。よろしければコメント、トラックバックぜひ残していってください。(2005年4月9日シネツイン1で鑑賞♪)

ここから先はネタバレがあります。

最後は寄宿舎が火事になる展開でしたが、誰が放火したかあからさまでしたね。冤罪で寄宿舎を追い出された少年モンダンが放火したみたいでしたが、私はもう少し誰がしたんだろうなと観客に思わせたままでも良かったと思うのです。みんな寄宿舎の子どもたちはみんな外出していたから、比較的容易に犯人の想像がつくと思います。ちょっとお節介なワンシーンに私には感じられました。

紙飛行機いっぱいのラストシーンはやられました。子どもたちとマチュー先生の温かい心のつながりが具体的に表れたシーンです。感情にダイレクトに訴える力が最も強いシーンでした。教育の仕事をする者として当たり前なのかもしれませんが、紙飛行機に書かれた文字をみて子どもたちの名前がすぐにわかるマチュー先生がとても素敵でしたね。

コーラス@映画生活にもレビュー・批評・感想があります。
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原題:Les Choristes
監督:クリストフ・バラティエ
脚本:クリストフ・バラティエ、フィリップ・ロペス=キュルヴァル
音楽:ブリュノ・クーレ、クリストフ・バラティエ
出演:ジェラール・ジュニョ、フランソワ・ベルレアン、ジャン=バティスト・モニエ、ジャック・ペラン、マリー・ブネル
製作年度:2004年
製作国:フランス
上映時間:97分

オススメ!!映画『コーラス』のサウンドトラックのご案内

コーラス サウンドトラック(サントラ)
コーラス サウンドトラック(サントラ)
サン・マルク少年少女合唱団の歌う天使の歌声。買って手元に置いておきたい一枚です。(国内盤)

Les Choristes [Original Soundtrack]
Les Choristes [Original Soundtrack]
こちらは輸入盤(US)のサウンドトラックです。国内盤よりもお求め安い価格になっています。リンク先で試聴もできますよ♪

By NOV at 20:18 | Comments [0] | Trackbacks [1]

2005年02月06日

映画『オペラ座の怪人』

原題:The Phantom of the Opera
監督:ジョエル・シューマカー
脚本:ジョエル・シューマカー、アンドリュー・ロイド=ウェバー
音楽:アンドリュー・ロイド=ウェバー
出演:ジェラード・バトラー、エミー・ロッサム、パトリック・ウィルソン、ミランダ・リチャードソン、ミニー・ドライヴァー
製作:2004年、アメリカ/イギリス
上映時間:140分
『オペラ座の怪人』公式サイト
『オペラ座の怪人』を上映している映画館は?
『オペラ座の怪人』監督&プロデューサー独占インタビュー

ストーリー
19世紀後半、パリのオペラ座では、オペラ座に潜む噂の怪人ファントムによる怪事件が起きていた。クリスティーヌは「音楽の天使」によるレッスンを受け、遂には彼女がオペラ座のプリマとなる日が来る。幼なじみのラウルはクリスティーヌに惹かれ愛を告白するが……。

レビュー
アンドリュー・ロイド=ウェバー版のミュージカル「オペラ座の怪人」を基にして製作されている。初上演が1986年のそのミュージカルがついに映画化された。私は本場のではなく劇団四季の日本語ミュージカルなら一度だけ観たことがあるので、映画版はどのようなものになるのだろうと興味を持っていた。

役者がスクリーンに大きく映るところが映画でのいいところだなと感じた。舞台だと双眼鏡やオペラグラスなどが必要であるが、映画ではその必要が無いのがいいところ。また、舞台は一万円ほどかかるが、映画は正規料金で1800円なので舞台の五分の一以下の値段で観てもらうことができる。アンドリュー・ロイド=ウェバー自身は多くの人にこの作品を観てもらい、この作品を永久に残したいと語っている。

ストーリーはヒロインのクリスティーヌを巡るファントムとラウルによる争奪戦がメインである。このクリスティーヌにファントムとラウルは翻弄される。陶酔しそうな甘美な歌曲と華麗な衣装やセットが観客を別世界へといざなう。そしてファントムとラウルの恋のさや当ての結末はやはり切ない。

この映画に満足したという人で、まだ舞台版の『オペラ座の怪人』を観ていないという人はには、ぜひ舞台もお薦めしたい。映画もなかなか素晴らしいけど、舞台(劇団四季だが)も素晴らしかった。ただ残念なのは音量が映画館では少なかったことだ。(2005年2月1日ワーナーマイカルシネマズ広島で鑑賞)

追記(注意:ネタバレ含みます。)
やはりクリスティーヌは優柔不断で、特にファントムとの別れのシーンはひどかった。わざわざファントムのところへクリスティーヌは戻ってきて、ファントムに付いて行くのかと思ったら、指輪をファントムに返していた。そんな思わせぶりなところがさすがクリスティーヌだなと改めて思う。

最後のシーンは舞台版にはなく、映画版だけのものだが、なんとクリスティーヌの墓がある。驚いた。そんなものが出てくるとは。さらに驚いたことに、墓の横にはぽつんと一輪のバラが置いてある。しかも、クリスティーヌがファントムと別れたときのあの指輪が茎に通されている。恐るべしファントム。

2万個のクリスタルガラスを使用したというシャンデリアの落下シーンはあれはあれでよかったけど、映画なのだからもっと派手にやって欲しかったと思う。ファントムがなぜオペラ座にいるかという理由が映画ではしっかりと描かれている。残念ながらそのせいでファントムの怪しさが少し減少したような気がする。

こちらにも映画『オペラ座の怪人』のレビュー・批評・感想があります。
「あ」嬢の別宅。ただいま準備中。
四季の隠れ家
ネタバレ映画館
オペラ座の怪人@映画生活

映画『オペラ座の怪人』の関連商品です。
オペラ座の怪人 コレクターズ・エディション (初回限定生産)  DVD
オペラ座の怪人コレクターズ・エディション (初回限定生産)
by G-Tools

サウンドトラックは3種類あります。
The Phantom of the Opera (Original Motion Picture Soundtrack) (Special Edition)
Simon Lee Alison Skilbeck Chris Overton Ciaran Hinds
The Phantom of the Opera (Original Motion Picture Soundtrack)
こちらは映画『オペラ座の怪人』のオリジナルサウンドトラックですが、輸入盤になります。

「オペラ座の怪人」 オリジナル・サウンドトラック
サントラ エミー・ロッサム パトリック・ウィルソン ジェラルド・バトラー

「オペラ座の怪人」 オリジナル・サウンドトラック(初回生産限定盤)
サントラ エミー・ロッサム パトリック・ウィルソン ジェラルド・バトラー
「オペラ座の怪人」 オリジナル・サウンドトラック(初回生産限定盤)
売り切れで手に入らないかもしれませんが、紹介しておきます。マーケットプレイスでかなり高額になっていることも・・・・・・。

映画を観たあとにさらにこの一冊はいかがですか?
オペラ座の怪人パーフェクトガイド
日経エンタテインメント!
オペラ座の怪人パーフェクトガイド
内容充実のパーフェクトガイドです。

By NOV at 23:49 | Trackbacks [0]

2004年12月26日

映画『ベルヴィル・ランデブー』

『ベルヴィル・ランデブー』公式サイト
『ベルヴィル・ランデブー』を上映している映画館は?

ストーリー
一人ぼっちで内気な孫のシャンピニオンが幼いころ、おばあちゃんは三輪車を買ってあげる。やがて、おばあちゃんはシャンピニオンをツール・ド・フランスの選手にまで育てあげる。ところが、シャンピニオンがツール・ド・フランスのレースに参加中力尽きてしまう。そこへフレンチマフィアが現れるのだが……。

レビュー
こんなシュールなアニメーション映画はこれまで見たこと無い。まずキャラクターが超現実的で、キモチ悪さが漂いつつもついつい見入ってしまう妙味がある。おばあちゃん、孫のシャンピオン、三つ子のシンガー老婆、犬のブルーノそれにフレンチマフィアなどみんなみんないい意味で変なキャラクターばかり。船も緊張感漂うあり得ないカタチをしている。

おばあちゃんの行動力がとってもこれまたシュールでタフだ。三つ子の老婆たちもいい味出していた。音楽もリズミカルでこの映画によく溶け込み馴染んでいる。

この映画の大きな特徴はセリフがほとんどない。あってもそれはニュースのセリフだったり、ツール・ド・フランスの実況だったりする。人と人の会話はほとんどない。そのことがこの作品の奥行き深さに貢献している。

セリフが無くても意外と意味は伝わるのだなあと感心してしまう。事件が発生するまでは結構だらだらとした展開だが、おばあちゃんの孫救出劇が始まる頃から話にしまりが出てくる。

一部に手塚治虫の画風のキャラクターがあったと思うのだが、そう思っている人は私だけではないと思う。そのキャラクターデザインが意図的なものなのかどうか気になるところだ。

ところでこの映画の邦題は『ベルヴィル・ランデブー』だが原題は" Les Triplettes de Belleville "となっており。原題からだとこの映画の主役はもしかしてあの三つ子の老婆たちなのかもしれない。

シュールという言葉ばかり持ち出してくどかったが本当にそうとしか言いようがない。このシュールなフレンチアニメーションが少しでも気になったら、今のうちにぜひ劇場で『ベルヴィル・ランデブー』を体験してもらいたい。実に味わい深い奥行きのある作品だった。そして、エンドロールは最後まで見ていよう……最後のオチがあるので。(2004年12月26日サロンシネマにて鑑賞)

こちらにも『ベルヴィル・ランデブー』のレビュー・批評・感想があります。
風花
secret*cafe
ライオンは起きているか
シネマの缶詰
生きてるだけで儲けもの☆
ベルヴィル・ランデブー@映画生活

原題:Les Triplettes de Belleville
監督:シルヴァン・ショメ
脚本:シルヴァン・ショメ
音楽:ブノワ・シャレスト
声の出演:ジャン=クロード・ドンダ、ミシェル・ロバン、モニカ・ヴィエガ
製作:2002年、フランス/ベルギー/カナダ


『ベルヴィル・ランデブー』のサウンドトラック(サントラ)
劇場ではかなりサントラは売れていました。日本発売のサントラはCCCD(コピーコントロールCDしかないのが痛いですね。輸入版のほうがいいかもしれません。)

ベルヴィル・ランデブー オリジナル・サウンドトラック(CCCD)
ベルヴィル・ランデブー オリジナル・サウンドトラック(CCCD)

Triplets of Belleville(輸入版)試聴可!
Triplets of Belleville


『ベルヴィル・ランデブー』のDVD

ベルヴィル・ランデブー / エディシオン・コレクトール (初回限定生産)
シルヴァン・ショメ
ベルヴィル・ランデブー / エディシオン・コレクトール (初回限定生産)
初回限定生産の特別版DVDです。

ベルヴィル・ランデブー
シルヴァン・ショメ
ベルヴィル・ランデブー


By NOV at 23:58 | Comments [0] | Trackbacks [2]